6、5⇒6、5、4、2⇒6、5、4、2、3 (18点)
6、5、4、2、3
6、5、4、2、3
馬場の意図的な操作と思いたくないが、土曜日の馬場は先週までとまったく異質な状態になっていた。天気予報をアテにして水を撒くのを控えたか、あえてディープ産駒向きの固めの状態にしたのか。いずれにしても先週までのパワー馬場とまったく違っていると割り切るべきだろう。
今年、出遅れたディープ産駒が皐月賞に4頭も出走。すべてが人気馬で重賞ホルダーだから恐れ入る。金曜日まで馬場のイメージからディープ産駒にとって鬼門になると思っていたが、土曜日の馬場状態からどうやらディープ産駒向きの馬場になって輝ける舞台になったことは間違いない。
苦戦覚悟と思ったのは確かな理由があった。今年は久しぶりに如実に出たエアレーション効果。2、3回中山でディープ産駒が勝ったのはわずか6頭だけ。さらに時計もかなりかかっていた。
カデナ(弥生賞)
グレーターロンドン(オープン)
ジッパーレーン(未勝利)
ファンディーナ(フラワーC)
ウルブルフ(1600万)
ヘリファルテ(未勝利)
未勝利勝ちは別にしてそれ以外はすべていずれGⅠに届くレベルの期待馬が揃っている。それだけ瞬発力だけでは太刀打ちできない馬場だったということ。とにかく求められるのはレベルの高い瞬発力と同等のパワー。弥生賞、フラワーCでは通用していた末脚でも、さらなる相手強化のGⅠになるとキンカメ、ハーツ産駒に色気が出てきたのが金曜日までの評価だった。それが一変。
弥生賞
2分3秒2
5ハロン通過63秒2でレースの上がり時計は35秒0。
同じ良馬場の土曜15日の未勝利
2分0秒4
5ハロン通過61秒5でレースの上がり時計は34秒5。
約1か月前の馬場状態は土曜15日に比べて少なくても時計2つか、3つ以上も遅いパワー馬場になっていた。それが先週と同じBコースのままでこれだけ一変すれば、何かしらの操作か、ミスがあったと思うのが自然な考えだろう。土曜日3歳500万の千二で1か月前の1000万を軽く上回る1分8秒6が高速馬場へ変身した決定的な証としてはっきり表れている。
ファンディーナは確かに牝馬限定なら強い。現時点でも二千以上ならソウルスターリングと同等レベルだろう。それでも牡馬相手になると話は別。GⅠでなくても、GⅡ程度の相手でも通用するかというイメージがある。理由はひとつ。デビューからすべてのレースで楽に勝ちすぎたこと。
3走前は残り150から流し始めて2着馬に1秒5差。前々走はムチを使わず軽くしごくだけで3着馬に1秒4差。前走も直線入口で早くも先頭。ムチを使わないでオーロラビジョンで後続を確認すると残り1ハロンから流した。
スプリングSは過去10年でごく標準的なNo5の勝ち時計、上がり時計ワーストNo3。翌日のフラワーCに0秒3下回る勝ち時計が評価しにくくしている。1度も本気で追ったことのない馬が大一番でいきなり追い出して案外だったことも多数ある過去の歴史。
もとより牝馬、千八までの距離経験、これまでまったくモマれたことがなく、すべてが5ハロン61秒以上のスローオンリーの緩い経験レベル。土曜日に突然ディープ産駒向きの馬場へ変身したとはいえ、数々のマイナス条件が重れば、厳しいレースだけが待っていることは否めない。
そのスプリングSを勝ったカデナはこれまで1度も高いレベルの数字を残してないのが現実。前々走は同日の未勝利より上がり時計は0秒4、勝ち時計で0秒5上回っただけ。道悪がすべてだった可能性はあるが、アドマイヤミヤビの桜花賞惨敗で3走前の2着の価値も吹き飛んでいる。
低レベルの象徴的なのが前走だ。過去10年の良馬場でダントツのワースト1の勝ち時計。同じ良馬場で昨年より3秒3も遅いのはある意味衝撃的だった。細かい数字も見出せるものがない。最速上がりとはいえ、5着馬と同タイム。同日の古馬500万より1秒7も速い上がり時計でも、2秒8遅い勝ち時計なら当然の結果とも言える。
デビューからすべてのレースで最速上がりの切れ味はさすがディープ産駒で、今週一変した馬場は大歓迎だが、前走は直線の坂下から少しずつ外へヨレ気味になったこともどうにも引っかかる。いずれにしてもスロー~超スローをひたすら待つだけ。2分1秒台より速い決着はまだまだ未知数。
レイデオロの評価はパドック重視しかない。3戦3勝の内容は数字よりレースぶりでとにかく異次元レベル。数字以上に中身の濃いレースの連続だった。手探りだったデビュー戦は少し行きたがりながら、当たり障りのない好位差しだったが、前々走から強烈なインパクトを連発。前々走はスローの縦長で4角前に一気に凝縮する特異な流れをほぼ直線だけのゴボウ抜き。軽くしごくだけで残り150に先頭に立つという余裕の差し切り勝ちは、まさにクラシック級を確信させる豪快さだった。
前走もさらなる極み。唯一の上がり35秒台で残り150までに一瞬にして先頭に立つ瞬発力は見事。3角過ぎから加速していく仮想皐月賞としては申し分ないレースで、2分1秒台を連発すれば間違いなくGⅠレベルということ。連戦好走が珍しい厩舎でソウルスターリングの大コケは嫌な傾向だが、当初の青写真どおりにいかなかった変則ローテーションを考慮して割り引いても完成度の高さ、能力の違いから"真の2歳王者"であることは断言していい。ダービーを見据えた仕上がりか、次の反動より目の前の一冠をとる覚悟か。数字の増減よりすっきり映る馬体が理想。
絶好のチャンスが回ってきたスワーヴリチャードは鞍上を無視すれば絶対的な存在になっていたが、主戦は馬群を縫って抜けるような器用さも考えもまったくない単調な4角外出し専門騎手。好枠がアダになる可能性が高まって評価を落とした。バラけた流れになれば馬任せでロスなく立ち回ってくるが、4角団子のような隊列では策のないレースぶりが目立っている。少なくても地方競馬なら即乗り替わりの制裁があっていいような乗り方。
この馬とのコンビでも例外はない。デビュー戦はスローの流れを見極めきれずに直線しばらくしてから仕掛けるという判断の悪さ。大逃げの形で体内時計が狂ったのか、それでも勝てる大物と確信していたのか。教育的な乗り方で折り合いなどを覚えさせるためとしても、実質残り250だけの競馬では脚を余して負けるのも当然だった。続く2戦目もスタートミス、道中は掛かり気味、直線は追い始めて残り1ハロンまで逆手前で走らせて終始ムチを連発するというデビュー間もない兄ちゃん並みの走らせ方では、人気になったGⅠで信頼度が低くなるのも仕方ない。
前々走でも再び惨劇。残り100で左ムチによって外へヨレてからムチを持ち替えることなく、その後はまったくムチを使わないでレースを捨てたのは驚くばかり。肝心なところでまったく追わないでGⅢ0秒4差ならば、まともに追った前走の圧勝は当然の結果ということ。馬が強さとモロさ同居というより勝負勘が鈍り、衰え顕著な鞍上の下手さと運の強さの交錯がすべてのカギを握っている。
高速馬場で時計勝負となれば、アウトライアーズをもう1度期待したい。ダービー向きではないマイラー色の強いスピードタイプ。陣営のレースマネージメントの悪さがなければもっと際立つ実績を残していただろう。距離に限界が近い馬を千六⇒二千⇒二千⇒千六⇒千八。先を見据えず、思いついたレースを使うようなローテーションになれば、当然馬自身は戸惑う。それでも前走は休み明けの距離延長でもがっちり折り合っていたレースセンスの良さ。向正面で後方5頭が3角過ぎから一気に動いて結局掲示板を独占する特異な流れ。直線入口で一瞬前が壁にならなければもっと際どかった。結局勝ち馬とは4角の差からも休み明けや距離選択の悪さなどを考慮すれば、むしろ勝ち馬より中身は濃い。単純な上がり時計比較ではこのメンバーNo1。距離二千の上がり時計限定でもNo3。 |