6⇒12、8、3⇒12、8、3、4、7 (12点)
馬場の改良によって同じコース、同じ馬場状態でも時計にばらつきがあるので最近は敬遠される傾向なのか。今では時計より見た目のインパクトと着差重視。マスコミに担ぎ上げられて先週のジュベナイルFで1番人気となったのがリアアメリアだった。まさかの単勝100円台という異常人気。時計も上がりも1秒以上劣る馬があのような競馬になることは十分に考えられた。経験不足と完成度の低さから直線半ばで白旗状態。勢いだけが頼りのディープ産駒がぶっつけ桜花賞のローテならば大一番でも怖さはなくなっただろう。いずれにしても数字の裏付けがあれば疑心暗鬼になる必要もなく、レコード確実なハイレベルなレースならばなおさら時計が大事になってくる。
とにかく馬場の把握が大事。昨年も同じ時期の前回終了後にエアレーション作業をしなかったが、今開催の阪神は異常とも思える超高速馬場へ変貌している。今回のメンバーにレコードホルダーが3頭もいること自体も驚きだが、コースや距離によってはレコードの称号は何の自信にも自慢にもならない馬も出てくる。
朝日杯といえばまだまだ中山のイメージが強い。不滅の記録と思われていたマルゼンスキーの中山千六1分34秒4という当時の異次元的な時計を平成元年にアイネスフウジンが同タイムで駆けたことに驚いた。さらに翌年の朝日杯でその不滅の記録をリンドシェーバーが0秒4も更新する1分34秒0を小雨の降る中で叩き出したことは強烈なインパクトとして残っている。昔のレコードは本物の馬だけが成し遂げられる記録。今や超低調、未勝利レベルでも更新されることからも価値が薄まっていることは間違いない。
今のレコードが出るか出ないかはJRA職員がどのくらい水を撒くか、エアレーションやシャタリングなどの"馬場いじり"をするかしないかで決めるという人為的な記録でしかない。やはりどんな時計でも同日の時計、前後の週と比較することが一番重要な作業であることは今も昔も変わりない。
一応時計の目安としては2歳夏に古馬1勝クラス、2歳秋に古馬2勝クラス、11月に古馬2~3勝クラス、12月に古馬3勝クラス~オープンが翌年春にGⅠ直結する大まかな数字。サリオスは前走で古馬2勝クラスを上回ってエリート街道を突き進んでいることがはっきり示された。前走の数字を翌日の古馬2勝クラスと比較するとレベルの高さが如実に浮かび上がる。
古馬2勝クラス
1分33秒5(5F通過59秒5、レース上がり34秒0、最速上がり33秒2)
サウジ
1分32秒7(5F通過59秒2、レース上がり33秒5、最速上がり33秒1)
ラップはわずかに上回った程度のほぼ同じ流れだったが、時計は0秒8も上回る高レベル。残り250の時点で2着馬に一瞬差し込まれたが、そこから巻き返して残り150で完全に先頭立った内容も称賛。初戦の異次元的な瞬発力がフロックではなく、本物の武器とだったこと。デビュー戦よりも無様な馬体でレコードで走ったこと。休み明けで半信半疑だったハーツ産駒にとって前走より組みやすい相手になったことなど、勝ち方が焦点になるような数々の自信が加わっている。
いくらか行きたがった前走だが、重賞とは考えられないペースの遅さだっただけで、これだけ千四からの距離延長馬が揃えば折り合いを欠くようなことはあり得ない。時計勝負も上がり勝負も心配なく、この馬が意識を強める他馬も不在。むしろこの馬自身の故障だけが今後の心配と課題となるだろう。どう勝つかだ。
2頭目の前走レコード。タイセイビジョンもサリオス同等の価値を見出せる。翌週の古馬2勝クラスと比較。
古馬2勝クラス
1分21秒4(5F通過58秒4、レース上がり34秒1、最速32秒8)
京王杯
1分20秒8(5F通過58秒0、レース上がり34秒1、最速33秒5)
最速上がりに若干の開きがあるものの、時計が速いために仕方ない。数字的にはほぼ互角かそれ以上のレベルとみていい。直線入口で行き場を失くしたが、前が開くのをじっくり待って仕掛けを我慢。残り2ハロンで前がクリアになってもまた仕掛けず、残り350から軽く仕掛け始めて残り150からのムチ3連発だけで残り100に先頭に立った。絵にかいたような仕掛けのタイミングからの横綱相撲で、追うほど伸びる瞬発力は一流馬を感じさせる切れ味。課題は距離延長がどう転ぶかだけに絞られた。3角過ぎに一瞬鞍上が立つほどの折り合い難をみせた折り合い難が距離延長によって再発すれば致命傷になる可能性も出てくるか。テン乗り、初距離に加えてさらなる馬体成長という課題が解消されているかも注目したい。ポカを覚悟の狙いが妥当。
今年もディープ産駒は拍子抜けとはいえ、されどディープ産駒。レッドベルジュールは前走でまさに盲点となった。千八から距離短縮や休み明けなどを嫌われたのではなく、単に馬柱に載っている着差の少なさで売れなかったのだろう。3着に0秒8差、5着に1秒3差という数字が載っていれば、前走は1番人気になっていた可能性さえある。前々走はわずか2頭だけ上がり33秒台の中で最速上がり。前走は1頭だけポツン追走からラチ沿いにこだわってガラガラの内目から再び最速上がりで突き抜けた。スローになると上がり差なしが常識的だが、唯一の33秒台で上がりNo2より0秒4も速い数字が別次元レベルの瞬発力であることの証でもある。前走は過去5年で3年ぶりの1分34秒台。完成度の高いディープ産駒か、馬体にかなりの良化余地を残す成長中のハーツ産駒との争いは馬券云々抜きで興味深い。
少なくてもこの3頭より先着するには時計か、瞬発力が上回ってないと厳しい。芝の最速上がりを経験してない4頭にとって試練だけしかない。3頭目の前走レコード勝ちであるメイショウチタン、脚質的に難しいとはいえ、重賞2着のビアンフェ、セレクトセール1億2000万円のジュンライトボルト、ダートで2戦連続の最速上がりだが、芝経験のないタガノビューティーら4頭は今開催の超高速馬場で時計と上がりを求められるとどうにも太刀打ちできない可能性が高まって見限った。
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