1、10、3、11
2戦2勝が5頭。各馬が別路線から集結してGⅠらしいメンバー構成となった。今年は時計を額面どおりに受け取れず、良馬場でも馬場悪化。一段と前走のレースレベルを測るのが例年以上に難しくなっている。まずはGⅠ昇格後の14年以降の傾向を探ってみたいが、一番印象的なのが意外にディープ産駒が苦戦していること。
過去6回の1~3着馬の父は
14年
シャイニングレイ(ディープ)
コメート(ブラックタイド)
ブラックバゴ(バゴ)
15年
ハートレー(ディープ)
ロードクエスト(マツリダゴッホ)
バティスティーニ(キンカメ)
16年
レイデオロ(キンカメ)
マイネルスフェーン(ステイゴールド)
グローブシアター(キンカメ)
17年
タイムフライヤー(ハーツ)
ジャンダルム(キトゥンズジョイ)
ステイフーリッシュ(ステイゴールド)
18年
サートゥルナーリア(カナロア)
アドマイヤジャスタ(ジャスタウェイ)
ニシノデイジー(ハービンジャー)
19年
コントレイル(ディープ)
ヴェルトライゼンデ(ドリームジャーニー)
ワーケア(ハーツ)
毎年のようにクラシック候補が走っているが、GⅠ昇格後、3着以内の18頭中わずか3頭だけの馬券絡み。その3頭すべてが勝ち上がっているとはいえ、この少なさがディープ産駒の中山二千での適性の低さを物語っている。
今年もディープ産駒3頭、しかもすべて2勝馬という戦績的にはエリート揃いだが、まずはヨーホーレイクの評価を下げたい。前走は道悪を割り引いても強調点に乏しい低調な内容。直前の古馬2勝クラス千八で1分49秒2、レースの上がり35秒6ならば、2分3秒台で上がり35秒台が標準レベル。2分4秒台ならば34秒台が最低基準だったが、それを軽く下回る数字にレースレベルの低さがうかがえる。同タイムの2着馬が次走で京都2歳S惨敗が決定的な証。そもそもクロウキャニオンの仔はレースレベルが上がると乱れ始める早熟系が多数。デビューから5戦3勝だった全兄クリアザトラック、デビューから3戦2勝の全兄フォッククリーク、デビュー2戦目で8頭立てのきさらき賞2着だった全兄ストーンリッジは今だ重賞未勝利が現実。
シュヴァリエローズは不可解な二千挑戦だろう。きょうだい馬にマイル以下ベストというスピード型が多数いる中で、まさかの未知なる距離へ延長。体型的にもプラス20キロ増が理想という子供っぽさからハードな中山二千に何の強調点も見出せない。前々走で必要以上に置かれたのは鞍上のやる気のなさ、行く気のなさが伝染しただけの一過性のポカとして判断するのが常識的。ここを使って再び千六に戻すことが青写真なのか。いずれにしても前走でギリギリの折り合い。前走のように最後まで脚色確かで最速上がりだった内容を上回るイメージするのは難しい。
そもそもディープ産駒の今年の大将格であるランドオブリバティも比較レースに乏しく、内容を重視するのか、時計で悲観するのか。どらちも選択できるだけに取捨に迷う。
内容的には文句なしだった。直線入口でほぼ馬なりのまま、後続に2馬身差をつけて先頭。左から右回りに変わったが、手前替えもスムーズ。ムチを連打の激しさにもかかわらず、まったく動じずに残り150の時点では後続に4馬身差で勝負あり。残り50で後ろを確認して追うのを止めたほどの余裕からも着差以上の完勝だった。
数字的にはどうか。翌日にも比較対象の芝二千のレースがなく、強いて比較するならば前週の古馬1勝クラス。稍重で2分2秒0、上がり36秒4。比較対象が少なく、馬場差が約0秒5~1秒ほどの開きとして計算すると古馬1勝クラス程度にも2勝クラス前後にも受け取れるだけに主役としては材料不足が否めない。
プラス材料としては、デビュー当初よりかなりハードに追い切れるようになったこと。マイナス材料としては鞍上がここ9年間で重賞は年1勝(今年はすでに重賞勝ちあり)。決定的なのがGⅠ未勝利。馬の数字的な理由を加えると前2走はいずれも上がりNo3だったこと。過去勝ち上がっていたディープ産駒はいずれも最速上がりを経験していたことから、勝ち切るまでのハードルは過去の歴史からも高くなったことは間違いない。
やはり主役はダノンザキッドでいいのか。半兄ミッキーブリランテは生粋のマイラーだが、もう1頭の半兄オールザワールドは二千に良績集中。母が二千の重賞で2着経験からも、少なくても二千が距離の壁になることはない。
体型的にも迫力十分。まさにクラシック候補にふさわしいバランスの取れた好馬体で24キロ増はほぼ成長分。前走の中でもひと際目立つ雰囲気で結果に直結すれば文句なしの成長過程ということ。
前々走は4角前の一気の仕掛けで馬が驚いたのか、急斜行したものの、残り300からの加速力は異次元レベルだった。残り1ハロンから流し始めて後の重賞馬となった2着馬を楽々完封。前走は手応えで2着馬より劣っていたが、軽く追い出すとエンジンの違いから再びケタ違いの強さで圧倒した。
これで2戦連続のムチを使わずの圧勝劇は余力残しなのか、目一の経験不足なのか。いずれにしてもまったく本気で追ったことがないまま、大一番を迎えることになる。
東スポ杯で2戦2勝となったのが過去10年で11年ディープブリランテ、14年サトノクラウン、19年コントレイルの3頭からもGⅠ好走が確約されたと同然だが、馬場差を割り引くと17年のワグネリアンよりかなり劣って2着馬ルーカス程度となるような低調な数字。
さらに追い打ちをかけるなら、セレクトセール1億円馬。これまで1億円以上の馬が300頭以上いる中で、春のクラシック(ダービーやオークス)までに何らかのGⅠ制覇した馬はわずか2、3頭。たった1%の確率では嫌気も出る。
ダノンとランドにわずかでも不安材料を抱えるならば、オーソクレース中心でいい。前2走は着差以上の強さ。すでに完成形をにおわせる完璧なレースぶりだった。前々走は道中ラチ沿いで折り合って4角前から仕掛けるマクり競馬。ワンテンポ早い仕掛けだった2着馬の勝ちパターンを残り100からの瞬発力だけで差し切った。札幌では出にくい上がり33秒台。上がりレースラップがすべて11秒台でラスト11秒4だから恐れ入る。
前走も見事だった。直線入口から残り300まで行き場を失くして終始スペースを探しながらの追い比べ。残り300から残り100までかなり窮屈な位置取りでも抜け出してきた。
ムチは残り50まで使えない、使わないという鞍上の未熟さを露呈しながらの直一気に価値の高さがうかがえる。2着ラーゴムは次走の京都2歳Sで0秒1差の2着。0秒4差の4着アドマイヤハダルが次走の自己条件勝ちならば、レースレベルもある程度の高さが保証されている。
母マリアライトはわずか重賞2勝だけだが中身が濃い。重賞未勝利で初のGⅠ挑戦だったエリ女勝ち。有馬記念で4着だったものの、年を越して宝塚記念でドゥラメンテ、キタサンブラックを差し切り勝ちを決めたという大物食い。血統的にここぞという勝負強さに不気味さを感じさせる。鞍上のうまさも含めると頭ひとつリードか。
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