6、11、8→6、11、8、14→
6、11、8、14、10、15 (36点)
6−11、8−
11、8、14、10、15、18 (9点)
ゴールドシップの前走は見事な好騎乗というより、他馬があまりにも当たり前の乗り方をしすぎた印象が強い。人気薄の馬も通らなかった勝負どころでのラチ沿いのコース取りを選択したが、見た目ほど痛みのなかったことは最終レースで同じようなコース取りから3着に食い込んだ人気薄の馬からも示させている。道悪の巧拙の差ではなく、単純に力の違いという0秒4差。最後方から向正一気に仕掛ける大マクりなら、内外コース取りの差があったとしても見た目どおりに横綱級の強さであることは間違いない。
デビューレコード勝ちから2連勝。3連勝を賭けた札幌2歳Sはスローの流れを考えられない後方の位置取りから脚を余して0秒1差。続くNIKKEI杯は再び前半で必要以上に控えて、3角一気の仕掛けからマクるという荒っぽさではクラシック級相手に勝てないのも当然だろう。
転機はやはり乗り替わりだった。あれだけ置かれて展開負けが続いていた馬が、前々走は逃げ馬の直後の位置取り。行きっぷり良化以上に驚いたのが33秒3の瞬発力だった。デビュー時の34秒9が自身の最速上がりで、瞬発力勝負に分の悪さを心配していたが、むしろ瞬発力勝負向きとも感じられる圧勝に終わっている。
皐月賞はコース取りを割り引いても、最後おつりを残してディープ産駒を子供扱いで1頭だけ別次元レベルの差し切り勝ちなら二冠達成が現実的。相手云々より自身のスタミナ、距離適性に絞っていい。
母ポイントフラッグは千四〜千六までに良績集中。体型的にも決して長距離ベターとは思えないだけに、ステイゴールド×メジロマックイーンの同じ配合になる昨年のオルフェーヴルと単純に重ねるのは危険だろう。いずれにしてもクリアなスタートが絶対条件。長距離戦は逃げ馬だけ極端なハイペースか、スローでも隊列が縦長になるという特異な流れが最近の傾向。前走のような極端に控えた時点で今度は万事休すとなる。死語になりつつある4角での"ダービーポジション"は守りたい。
ワールドエースの前走は鞍上の資質の差がモロに出た。スタート直後、前の馬に寄られて落馬寸前のアクシデントがあったとしても、当たり前のように控えて必要以上に外を回る工夫のない乗り方ではGTを勝てないということ。勝ち馬と比較すると勝負どころで7、8頭分以上は外を回った大ロス。それでも上がり時計で0秒3差なら、実質この馬が最速上がりとして評価できるだろう。4角では離れた第3集団の中で力の違いを感じさせた大マクり。着差からも勝ち馬並みに中身の濃いレースだったことが示されている。
これまで徹底してロスを無視して外を回す乗り方に固執してきた鞍上が大一番でも同じ乗り方なら再び内から脚をすくわれる可能性が高い。2歳と牝馬しかGTを勝てないという鞍上が嫌なレッテルを消し去るために、4角大外ブン回しだけは避けるべき。馬自身はあらゆる面で完成度が高く、秘めたスケールはゴールド以上。ごく普通に直線ラチに近いコース取りから抜け出せば皐月賞の着順は逆転できる。
鞍上で減点されるワールドに対してフェノーメノは、勝負どころであせる必要のないレースセンスの良さが強み。青葉賞からのステップはダービー馬不在だが、前走のレベルの高さは過去と比べても特筆もの。道中、中団の内で少し行きたがって直線はモタれながらの追い比べ。それでも歴代の青葉賞→ダービーのステップで好走した馬たちに遜色ない時計を叩き出した。
負けた2戦に明らかな敗因があった。デビュー2戦目は追ってモタついて0秒3だけ届かず。前々走はスローを必要以上の消極策。直線で馬群を捌くのに時間かかって半ばからの伸びはメンバー中一番の切れなら、単に成長途上と展開負けだったと納得できる。
3走前はマクられても動じず、上がりレースラップに2つの11秒台で2分0秒9の破格時計。前走は過去10年の青葉賞でNo4の好時計勝ち。青葉賞馬でダービー3着となったハイアーゲーム、2着となったアドマイヤメイン、ペルーサに勝ち時計で及ばないが、青葉賞勝ち→ダービー2着だったエアダブリン、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、ウインバリアシオンより上回っている。青葉賞組の好走条件は皐月賞をスキップしたローテーションに良績集中。皐月賞組よりダメージの少なさが強みで、ひと息後を叩いた上積みは計り知れない。
今年の中山は最近なかった道悪続き。見た目以上にタフな馬場なら、反動からポカが出るのが過去の歴史。その中で、皐月賞をスキップしたヒストリカルは不気味な存在になる。前々走はワールドを上回る瞬発力。かなりエンジンのかかりが遅かった前走で4戦連続の最速上がりを決めて、楽に差し切った相手が土曜日オープン特別圧勝のマウントシャスタ。体調さえ整えばまさに世代トップレベルの爆発力を秘めていることがうかがえる。スタート下手で常に後方の位置取りになるが、ロスなく立ち回れる内々我慢から、直線で馬群を縫って一発勝負に賭ければ面白い存在になる。
トーセンホマレボシは前走のレコード勝ちをどれだけ割り引くかが難しい。どんな馬でも持ち時計が更新できるという超高速馬場に変身している今の京都。天皇賞春に出走した馬が次々にパンクする事態からも、上積みより激走の反動が心配になるのは当然だ。0秒5差だった4着馬が次走の自己条件を1番人気であっさり負けたのが現実ということ。二千1分59秒3の快時計で土曜日に完敗したアロマティコからも、数字ほど信頼度は高くないことがはっきりしている。名手が選択したことだけが強調点。
ディープブリランテは八方ふさがりとなった。3走前はハナ切ったことが最大の敗因と考える陣営なら、ごく普通に控える競馬を選択か。いずれにしても成長力という点で他馬より劣り、2歳時ほど底力を感じられなくなった現状で怖さはない。
以前から指摘しているように矯正不可能なササリ癖はGTで致命的になる悪癖。入口先頭でネジ伏せた力業のデビュー2連勝はそれほど影響なかったが、ラチに頼れた3走前でも左回りで左ムチを使わなければならないほどフットワークにぎこちなさ。前々走は早め先頭に立つこの馬の勝ちパターンに持ち込んだが、最後は結局モタれて勢いが止まっている。前走はモタれ方がさらに強烈で、ついに直線ムチ1発しか使えなかった。
控える位置取りを選択なら、4角先頭が絶対条件。鞍上はNHKマイルCのことがあるだけに非難覚悟の逃げは考えにくい。また前走の二千でも強烈に引っ掛かっただけに逃げ馬の外、番手の位置取りも自滅する危険を秘めている。折り合いを意識すれば、位置取りはやはり逃げ馬の直後のラチ沿い。ゼロスの暴走気味の逃げから早めにバテて、直線は終始ラチに頼れるようになる流れを待つしかない。
グランデッツァは大外枠としても昔の32頭立てと比べればほぼ真ん中で枠順的にまったく問題ない。92年に18頭立てになった後8番枠は3、4年に1度、3着以内に絡んでいる事実。内枠なら外から被されるのを嫌ってテンから無理するが、自分のペースで好位キープが可能な外枠は先行差し馬にとって理想的な枠順ということ。
それよりも前走で示したように血統的に距離をこなせるかどうかを第一に考えるべき。前走で確信に変わりつつある千八までという限定スタミナ。直線入口、手ごたえ十分ながらゴール前で完全に勢い止まっていた3走前は半信半疑だったが、本来ならある程度の脚を使えるはずの後方位置取りから見せ場なしに終わった前走で確定的になった。ほぼ同じ位置取りだったワールドより、上がり時計の0秒5劣ったことはクラシック1番人気馬として屈辱的な数字だろう。超スローの上がり勝負となったデビュー戦以外は35秒前半の壁も打ち破れないジリっぽさ。パンパンの良馬場となった時計勝負には明らかに苦手意識が芽生えてきた。京都ほどではないとしても東京も高速馬場。極限の記録を求められるダービーでは掲示板も怪しくなる。
スローの上がり競馬となったNHKマイルCは低レベルだが、鞍上特有の引っ掛かる負けパターンにはまったブライトラインは見直せる余地ができた。デビュー当初はクラシックを意識して暮れにゴールド、グランに0秒3差。当時のコンビ復活なら見限ることはできない。今年に入って一変して徹底したマイル前後に路線変更だが、裏目に出た乗り替わりで掛かり癖が強烈になった悪循環。折り合い次第では暮れのNIKKEI杯並みの脚は使える。
|