8、6、10⇒8、6、10、2⇒8、6、10、2、11(36点)
今の馬場はスピードと瞬発力と器用さ。紛れのない流れになるほど、この三つの要素は大きな割合を占める。どれかひとつでも大きくレベルダウンすると太刀打ちできない馬場状態。ごく普通に流れれば1分31秒台突入は避けられない。
上が替われば馬が変わる。まさにレッドアリオンは典型的な変わり身をみせた。前任騎手は鞍上のスタイルに合わせた乗り方に徹して取りこぼしも多かった波のある戦績だったが、迷いない先行策で輝きを取り戻した。千六(533216)の中で掲示板を外した6戦は良馬場以外、休み明け、小牧騎手で4戦が該当。残る2戦の着差がいずれも0秒3差。4、5着でも着差が0秒4、0秒3、0秒6差なら、ほぼ完璧な戦績を残しているということ。瞬発力も一流馬に見劣らない。上がり34秒以下は32秒台3度が含まれた9度の経験。最速上がり9度の切れ味はいまだ陰りをみせていない。NHKマイルは1~3着馬より上回った上がり時計で0秒3差の4着なら東京に苦手意識はない。
モーリスの取捨は迷うのも事実。確かに瞬発力とスピードはケタ違い。前走も異次元のラップで突き抜けている。圧巻だったのは上がりレースラップ。1分32秒台の決着でラスト2ハロンは加速ラップ。さらに驚愕なのは最後のラップが10秒台ということ。とてつもない化け物の可能性を秘めたGⅠ級の上がり馬はマイルの新星誕生として扱われているのも当然と言えば当然か。今週は雨が降ったとはいえ、後方に構えるなら上がり32秒前半が求められる高速馬場に変わりなく、矯正不可能なスタート難をどこまで減点するかが焦点になる。流れはどうにも速くならないメンバー構成で1分31秒前半の決着は避けられることが救いだが休み明け、東京のキャリアはわずか1戦だけ、未知なる58キロなど数々の試練が待ち受けていることを加えると圧勝があっても惨敗があってもおかしくない。
ダノンシャークは年齢度外視で狙いたい。ピークの短いディープ産駒としては珍しく、好調期間の長いタイプ。重賞でほぼ崩れなかった2年前ほどの勢いはなくても、現実に昨年後半に重賞2勝目がGⅠ。前走も千四(000111)という経験不足の距離で最後底力を感じさせる末脚だった。距離と道悪の巧拙、数字どおりの太めがモロに出た結果を考慮すれば上々の試運転。昨年同様に褒められるローテーションではないが、瞬発力型が良馬場、コース替わり、距離延長で化ける姿が簡単にイメージできる。勝負強い鞍上に乗り替わりも心強い。
フィエロはとにかくツキがない。初重賞挑戦だった1年前のマイラーズCは勝ち馬の大駆けでレコード決着の2着。続く昨年の安田記念は経験のない不良馬場で見せ場なし。スワンSは鞍上特有の負けパターンに陥った。勝ち馬より0秒7も上回る33秒台の末脚を使いながら、必要以上に控えたために届かない0秒1差の3着。マイルCSは4角で勝ちを確信できる絶好の手応え。スワンSとは真逆に今度はなぜか早仕掛け。直線入口で早々に先頭だったが、ゴール寸前で内からダノンシャークに足をすくわれた。重賞未勝利にもかかわらず、海外遠征で結果が出なかったのは当然だが、確勝を期した前走はまたも歯車がかみ合わなかった。直線ラチ沿いをコース選択がそもそも間違い。直線入口から残り150まで完全に包まれて行き場を失えば策はない。本気で追ったことが1度もなかった0秒1差は叩き2戦目(120000)と東京コースでうっぷんを晴らせる。
ミッキーアイルは脚質に幅が出た反面、持ち味の絶対スピードに陰りが出てきた。問答無用の逃げで他馬を蹴散らしてきたスピード馬は、中途半端な小細工で長所を削られたということ。スローに落とすほど瞬発力型の差し馬有利になる特異な馬場状態、同型が大外枠のカレンブラックヒルならば無意味な消極策は考えなくていい。とにかく自分のスタイルに徹するべき。ある程度の速い流れでも踏ん張れる高速馬場は金曜日の雨でも変わらないだろう。ハイペースに巻き込まれて人気を裏切ったマイルCSの悪夢をここで払拭する。
どの時計をとっても良馬場のGⅠで通用する数字のないヴァンセンヌに興味はない。前々走は1~4着馬まで重賞未勝利で、結局相手に恵まれただけ。1番人気フルーキーは次走も馬券圏外で、レースレベルの低さが決定的になった。前走は直前の1000万千六より5ハロン通過が遅い超スローで実質残り3ハロンだけの極限の上がり勝負にGⅠ通用の根拠を見出せない。千六の最高上がり時計34秒2はメンバーNo16の平凡さが能力基準。 |