7、5⇒7、5、4、6⇔7、5、4、6、12、1(40点)
例年より古馬に迫力を感じない。3歳馬アンビシャスにとって願ってもないメンバー構成になった。とにかく前2走の内容が雲泥の差。同じ1着、最速上がりでも別次元のレースと考えていい。前々走は大逃げの直線捌きやすい追い込み競馬で、掛かり気味になったことや最後の上がりレースラップが12秒台だったことなどが奏功。ごく普通の3歳オープン特別並みの時計で走ったが、それ以上に強烈だったのが前走の勝ちっぷりだ。同日古馬500万並みの時計とはいえ、仕掛けてからの反応、推進力はまさに究極の瞬発力だった。これぞディープ産駒の成長力の凄さと思わせる圧巻の内容。本質千六~千八ベストのマイラーよりのスピード型で、近年の1分45秒~46秒後半の決着では十分に太刀打ちできる計算が成り立つ。
昨年の3着馬スピルバーグの英国遠征は驚きしかなかった。厩舎的にも古馬のディープ産駒という立場的にもようやくつかんだ栄冠だったが、なぜあえてイバラの道を選ぶのか。ローテを守れるスタミナのない馬が勢揃いの厩舎では疑念が増すだけだった。激走の直後だったジャパンC3着で連戦の全力投球や時計勝負にメドを立てたが、中途半端な休養も加わってすべてクリアになった可能性が否めない。ディープ産駒の古馬牡馬で二千以上のGⅠを勝ったのが唯一この馬だけ。枯れ方の異常さが問われる中、東京(613001)の条件で馬券を外すような結果になると今シーズンというより現役生活も微妙になってくる。いずれにしてもディープ産駒の成長期は一瞬。1度成績が落ち込むとV字回復の確率はかなり低くなる。
エイシンヒカリの強さは現時点でGⅢレベル。8戦7勝でも負けた一戦と前走の内容が良くない。ともに重賞、たかがGⅢで数字的に低調ぶりが示されている。負けた3走前の内容はとりわけ悪い。上がりレースラップが11秒0-11秒6-12秒9で大バテは明らかにGⅡレベルではないと断言できる。前走も最後は完全に勢いを失っていた。なるほど最後のラップは12秒2だから残れたということ。1分45秒前半で上がり34秒前半が求められると再びポカが頭をよぎる。
イスラボニータの前走はある程度予測できた結果だった。ダービー2着で陣営が高望み。距離適性は千六~千八、ギリギリ二千までの限定スタミナにもかかわらず、前々走で二千四のジャパンCを使うなど、エリート馬だからこそ、あり得ないローテーションだったことが否めない。スローに絶対的な強さを誇って良績集中だが、これまで最速上がりは1度もなし。驚くような瞬発力はなく、レースセンスで勝ち星を積み重ねてきただけに、スローのないエイシンの逃げをどう立ち回って、どこまで通用するか。まずは"一線級相手にはワイドライン"のレッテルをはがしたい。
ディサイファはロスなく立ち回れば、3走前や前走のように走れることを証明。昨年GⅠでフタ桁着順だった当時よりも確実にレベルアップが示された。鞍上の関東下手は周知のとおりで、馬群を割れない未熟さから差し馬は常に外ブン回し癖が同居する鞍上だが、エイシンの存在で縦長の隊列になってレースをしやすくなることが、最大の魅力であり強調点だろう。東京(401203)という全成績の中で稼ぎ頭どおりの走りは最低限期待できる。いずれにしても突然、必要以上に控える競馬に持ち込むのが、この馬とのコンビの特徴。外差しが利かぬ馬場であえて外から追い比べに持ち込む前々走など、すべて裏目に出る乗り方も覚悟しなければならないだけに人気になると妙味が薄れる。
ヴァンセンヌは血統的に本番よりもここ全力だ。成績どおりの千四~千六ベストのマイラーで、千八(310000)ほど凄みを感じないのが本音。それでも古馬重賞を初挑戦で初制覇となった3走前の中身がいい。正攻法から早めに抜け出して凌ぐ着差以上の完勝。完全に折り合いを欠いて重馬場に近い稍重をメンバーNo4の上がり時計で振り切ればフロックではない証にもなった。現実に前々走は重賞で初の最速上がり。前走も残り300で前が壁になる不利もあったが、連続の最速上がりで同タイム2着に持ち込んでいる。斤量には恵まれて瞬発力勝負に強さ。死角らしい死角は見当たらない。 |