9⇒2、5、10、7、15
9-2、5、10、7、15、16
ドゥラメンテは現役最強を前走で証明しただろう。世界レベルのレースでレース直前、落鉄のアクシデント。そのまま裸足で走らされて0秒4差は勝ちに等しい内容だったことは言うまでもない。直線入口で勝ち馬の直後から追い比べに持ち込んでしばらくして内に切れ込んだが、残り100で力尽きて追うのを止めた。裸足だったため一瞬の切れで終わったのはある意味納得。0秒4差に踏ん張れたことを評価ができる。
今後の課題は極限の瞬発力勝負への対応か。ダービー以降、積極策に乗り方を変えているとしても、デビューから5戦連続の最速上がりの記録はピタリと止まって、前々走もメンバー中、上がりNo4という平凡な数字だけ、少し時計のかかり気味になる馬場で一つめの不安は解消された。本質が典型的な脚をためるほど切れる差し馬。逃げ~追い込み馬までライバルがバラけているメンバー構成では乗り方が難しくなるが、乗り慣れた名手配置で2つめの不安が解消。すでにキタサンブラックとは完全に勝負付け済み、サトノクラウンは子供扱い。前々走でゴール直後に交わされたアンビシャスは2キロ増の斤量差があった事実なら、3つめの不安になる斤量58キロでもあっさり克服できる計算が成り立つ。いずれにしても体調万全で圧勝があっていい力関係だ。
馬体増がそのままパワー、スピードアップにつながったアンビシャスの充実は凄みさえ出てきた。スタート下手、掛かり気味になる気性など、どこか子供っぽさの残ったクラシックシーズンだったが、前2走で確かな成長を感じさせている。天皇賞秋では惨敗覚悟の引っ掛かり具合で4角十分な手応え。0秒2差に踏みとどまったことに価値を見出せていた。ゴール直後にドゥラメンテを交わした前々走で超一流の瞬発力型として確立して、前走はスタート直後からキタサン意識というイメージ一新の積極策で着差以上の完封劇。意外性と一戦ごとの成長力からドゥラにとって一番の脅威となるライバル。
キタサンブラックはいつ惨敗しても驚かないほど流れやペースに恵まれ続けている。この馬が主導権を握るとなぜか絡む馬がゼロとなってスロー~超スロー。有馬記念は過去10年でワーストNo3の勝ち時計、大阪杯は過去10年で良馬場限定すると7回中のNo4。前走の天皇賞春は良馬場ワーストNo2など、これほどまでに平凡な数字が並びながら成績が安定しているのは、それだけ楽な流れだったことの裏付けでもある。前走も逃げ争いをするはずの2着馬がスタート直後から決め打ちの控え。上がり34秒台が9頭もいながら35秒0で踏ん張れたのは展開の利があってこその粘り腰ということ。すんなり隊列が決まってギリギリ凌げた同タイム勝ち。控える競馬では策のないカレンミロティック、瞬発力勝負が苦手なトーホウジャッカル、控える競馬に限界が見え隠れしているラブリーデイ、早め先頭で押し切るのが勝ちパターンとなっているサトノノブレスなど、これだけ逃げ馬を目標になる先行型が揃えば、これまで以上に厳しい流れになることは間違いない。戦績ほどの凄みも怖さも感じない。
結果2着に食い込んだとはいえ、まさかの決め打ちからの控える競馬。カレンミロティックの前走は勝てるレースを取りこぼした印象が強い。出遅れてもまったく行く気をみせず、逃げ馬の直後の位置取りから追い比べ。瞬発力にまったく裏付けのない逃げ先行馬が直線まで仕掛けを我慢したことにも驚いた。乗り替わりの連続で馬の特性を理解していなかったことが、結果的に最後のひと押しが利かなったか。いずれにしても本来、ハナ切って能力全開の単調な気性で、今度こそ主導権を握って完全燃焼を狙う。京都(134301)から阪神(322312)。掲示板外の2戦は後手を踏んでまったく先行できなかった昨年の宝塚記念、道中行きたがっていつもより掛かり気味となった前々走の阪神大賞典だけ。まともに立ち回れば崩れない得意な条件にコース替わりと時計の掛かる馬場は理想的でまさに人気の盲点。
前走だけで評価すれば、1、2着馬より中身の濃かったのがシュヴァルグランだ。過去10年で良馬場のワーストNo2になる勝ち時計が示すとおりの前残り競馬。距離を意識しすぎた消極策が見事に裏目に出て、瞬発力に裏付けのない上がり馬にとっては厳しいレースになった。それでもメンバーNo4の上がり時計でGⅠ通用の手応えをつかんだ収穫のあったレース。56キロで勝ち鞍がなく、57キロの経験もなかった上がり馬が58キロにメド。上がり33秒台以下がわずか2度だけで瞬発力勝負の課題も同時に解消されれば鬼に金棒状態。阪神(311010)で時計がかかり気味の馬場もイメージどおりの好条件が揃った。 |