8、12、11⇔4⇔8、12、11、14、10 (36点)
8、12、11⇒8、12、11、14⇒8、12、11、14、10 (27点)
4、8-4、8、12-12、11、14、10 (10点)
4⇔8、12、11、14、10 8、12、11
有馬記念は昔と比べるとまったく別もののような変貌ぶり。馬場向上と馬の進化で年々時計が速くなっていたが、2010年を境に単なる上がり競馬へと変わっていった。
00~09年で2度のレコード更新を含んで2分31秒台以下の決着が7度もあったが、10年~17年までわずか1度だけ。レコードどころか、前日の1600万、同日の1000万より勝ち時計が遅くなるという異常事態の年もあったほど時計は遅くなって、より高性能な瞬発力が求められるようになった。
賞金の高騰、鞍上のスローペース依存症、瞬発力型のサンデー系の蔓延に加えて、個性派の逃げ馬が絶滅危惧種的な存在となっている近代競馬では仕方のない傾向なのか。いずれにしても現役最強馬が集まってその年の総決算レースにもかかわらず、終わってみれば前々有利のスローペース。単純な瞬発力勝負になりやすい暮れのグランプリはどこかむなしさを感じさせる。
前々で折り合える機動力を兼ね備える先行型か、切れより息の長い持続性の瞬発力型か、各馬が3角過ぎから動きは始める中、内々でじっくり我慢できた好枠の瞬発力型の3つが最近の上位馬の特徴。
能力的にキセキが圧倒できる計算も成り立つが、今回は常識的に狙いづらい。ジャパンCだけの激走でも反動が心配になる中で、この馬は3戦続けて異次元の時計決着で結果を出し続けている。今回なのか、休養を挟んで来年に一気に出るのか。どちらにしても破格の時計を出し続ければ確実にいつの日か反動、または燃え尽き症候群に陥ることは避けられないだろう。これだけの馬をパンク覚悟で使い続けることに違和感があるが、これまで勝てなかったのは巡り合わせが悪かったことも事実。
徹底してハナにこだわって完全本格化。なし崩しに後続馬に脚を使わせて高速決着で振り切るという完璧な好走パターンを確立している。何よりも評価が揺れ出した父ルーラー、ブルーメドサイアーの評価が今ひとつだった母父としてのディープにも待ちに待った活躍だったことは間違いない。
不滅の記録と思われたオグリキャップを差し切ったホーリックスの2分22秒2の絶対レコードをさらに更新したのが05年のアルカセット。その同タイム2着ハーツクライが反動もなく、有馬記念で見事に勝ち上がったローテが年内6戦目だった。休養⇒天皇賞秋⇒ジャパンC⇒有馬のローテ。キセキの秋冬4戦目はギリギリの綱渡りをしているような危うさか。前走以上に軽くなった中間の追い切りで本来は完全見切りの選択がベターだけにひとまず気配優先だが、超一流の能力を兼ね備えて絶対的な展開の利の逃げ馬は最後まで取捨に悩む。
そのキセキの勝ちパターンをあっさりと崩して横綱相撲の勝ちっぷりだったレイデオロにも死角はある。前走からの距離延長に確かな裏付けはない。キセキが状態面の危うさに対してこちらは折り合い面の危うさがある。確かにダービー勝ちを含んだ二千四(210000)は凄みがあるが、内容的にもうワンランク上のレベルがグランプリでは求められる。
二千ベストの中距離型ということに異論がなく、二千二がギリギリの守備範囲はレースぶりから判断できるだろう。初距離だったダービーはご法度の向正面で大マクり。神戸新聞杯はまさかの番手競馬から軽く押し切った。昨年のジャパンCでは引っ掛かる一歩手前までの行きたがり、最後残り100では苦しがって逆手前になっていた事実。決定づけたのはドバイのレース。3角までに何度も頭を上げる強烈な折り合い難で微妙な距離と確信。もちろん折り合った際の強さは現役最強レベルだが、外枠を引いて悪癖再発の条件も揃ったことは間違いない。2週連続の最悪調教のポリトラック調整にも足を引っ張られる可能性。1周目スタンド前の折り合いがすべてのカギを握りそう。
名手とコンビならブラストワンピースは自信の本命馬になっていたが、レベル高いレースでへぐりの目立つような鞍上では強気になれない。鞍上ははっきりと衰えがみえている。ダービーは残り300でわざわざ一旦下げて外にコース変更。約2馬身ロスという選択をしないで馬群を割る選択をすればおそらく勝てたレース。前走もごく普通に立ち回れば勝てるレースだった。歴史に残る超スローの瞬発力勝負。実質最後2~3ハロンだけの競馬だっただけに、どれだけロスなく立ち回るか、前々の位置取りを確保するかが勝負の分かれ道となった。それでもこの馬はなぜか1周目から外だけを意識で外へ外へ。向正面では1~3着馬よりも位置取りは後ろ。当然4角では外を回らなければならなくなり、ラチから6、7頭分も外を回るという大ロス。内々で我慢した馬に直線だけの競馬を競り負けるのは当然ということ。鞍上がレース後の的を得てない敗戦の弁にも鞍上の勝負勘の鈍さ、騎乗レベルの低下が決定づけられただろう。
加えてGⅠ未勝利の陣営が常識外のことをやりたがることにもうんざりする。これまでの見事に裏目に出た異色ローテが象徴的。ダービーで休み明けの馬は3着以内がほぼ皆無の傾向を知らないのか、まさかの毎日杯から直行。この失敗を懲りずに菊花賞は驚きの新潟記念から直行で再び結果が出せなかった。馬主だけの意向と思えぬ悪行を2度も繰り返し。個人馬主ならば転厩も考える大失態で反面教師として長い間語り継がれる黒歴史となった。
鞍上と陣営は言わば"最凶コンビ"。馬の実力そのものは接戦や先着した相手から最強3歳世代の中でもトップクラスの能力を陣営がどれだけ打ち消さないかに焦点を絞っていい。10キロ前後の馬体増減や3角過ぎから外を回って中団から仕掛けるという有馬記念の御法度を犯したら、もはや笑うしかない。
限界が見え隠れしているのは僚馬シュヴァルグランと変わりないマカヒキだが、少なくても前走は不完全燃焼。前走以上のパフォーマンスは期待できる。完全にマークする馬を見誤った最悪に近い乗り方。まったく走らなかった1番人気の10着馬に意識が強すぎるあまり、極端に控えすぎた位置取りで見せ場もなく終わっている。すでに瞬発力に陰りが出てきた5歳ディープ産駒にとって4角ギブアップ状態から、メンバーNo3の上がり時計を使えたことだけが唯一の収穫だった。スタート直後から押してどれだけ好位を確保できるか。二千四は凱旋門賞以外で(200100)。上がり33秒台以下を8度の経験は人気馬上位を軽く上回る確かな切れ味。わずかな衰えなら驚く好走があっていい。
シュヴァルグランに強調点が見当たらない。明らかに昨年のジャパンCで燃え尽きたレース戦績。昨年の有馬記念こそ見せ場があったが、前4走は平凡な勝ち時計でも結果が出なかった。もとより瞬発力勝負に弱さ。上がり33秒台以下がわずか3回からもスローの上がり競馬に苦手意識が伝わってくる。中山(001001)でピーク時からさらに瞬発力が陰りでは策はない。スローの上がり勝負では勝負どころを外を回ると直線半ばでギブアップ。ひたすら乱ペースを待つしかない。
サトノダイヤモンドは前走ではっきり衰えを確信した。間違いなく現役生活を短くした要因は海外遠征。昨年の凱旋門賞を挑戦を境に転落した典型的な例となった。結局相手にも時計にも恵まれた京都記念は勝てたものの、その他のレースは見せ場もなく完敗続き。とりわけ前走は4着のシュヴァルを一旦完全に差し込んだが、残り1ハロンで力尽きて差し返されたことが現役終了のシグナルそのものになった。叩き2戦目でこの不甲斐なさはV字回復の難しいディープ産駒なら即引退勧告レベルの決定的な追い負けだった。雨降った際だけの出番。
穴はミッキー2騎のどちらかだろう。ミッキースワローは鞍上のやる気のなさにどうしても嫌気が出てしまうが秘めた能力から侮れない1頭である。4角付近で上位不可能と判断するとかなり早めにレースを捨てるのが鞍上の特徴。前走もスタート直後からまったくやる気なし。出しに行くこともなく、置かれるだけ置かれて3角で馬券圏外を決定づける位置取りの悪さ。唯一の上がり33秒台の最速上がりで、3着に0秒4差でもまったく期待値が上がらない。このコンビ誕生前は好位差しで良績だっただけに、引退間近の鞍上が職人として一変した乗り方を選択するかどうか。積極策から好位差しだけが唯一の好走条件。
ミッキーロケットはここ14戦で1戦のGⅢを除けばすべてGⅠか、GⅡ。GⅠに限ると菊花賞5着(3着に0秒3差)、大阪杯7着(0秒5差)、宝塚記念6着(3着に0秒6差)、天皇賞秋10着、天皇賞春4着(0秒2差)、宝塚記念制覇、天皇賞秋5着(0秒4差)で馬券圏内まで常に展開ひとつというレベル。二千ベストのイメージがない中で前走の天皇賞秋好走こそがピークを示す象徴的なレースなのかもしれない。前走で二千の持ち時計を更新して叩き2戦目(110101)のベストローテ、前々で捌ける自在性、二千(220013)と二千四(120200)の比較からも確実に前走以上に走る条件が揃っている。
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