6⇒4、15、3⇒2 (3点)
6、15、4、3 4⇒15、3、13 (18点)
三冠馬3頭で3強。確かに字面だけは超一級のように映るが、実際は万全な態勢で挑むような最高レベルの能力同士の争いでもないだろう。緩やかな下り坂のアーモンドアイ、反動が心配なコントレイル、未熟そのもののデアリングタクト。衰え、反動、世代レベルの低さが見え隠れする人気馬がすべて馬券圏外は考えにくいが、この3頭で決まる確率もまた低いとみている。減点方式で中心馬を考えたい。
まずはアーモンドアイ。やはり衰えは顕著だった。前走は勝ってもまさに展開の利。2、3着馬が無意味な徹底待機策だったためにギリギリ凌げた程度の勝ちっぷりに何ら強調点もない。GⅠとして考えられない未勝利並みの超スローとなった5ハロン60秒5。前日の2歳未勝利千八より0秒1遅いペースが異質中の異質を示している。過去10年の5ハロン通過トップ3が56秒5、57秒3、58秒4からも、差し馬のアーモンドが常識的な位置取りで、離れた後方を選択した2、3着馬がほぼギブアップの位置取りだったことがわかるはず。
いかに騎手が大事か。ペースを見切って好位から挑んだアーモンドに対して2、3着馬は知恵も工夫もない待機策。負かしに行く、勝ちに行くより崩れない乗り方を選んだことがGⅠを何度も勝てる超一流騎手との絶対的な差ということ。上がり差が開きにくい超スローの中で2着フィエールマンは勝ち馬より上がり時計が0秒4、3着クロノジェネシスは0秒3も上回って脚を余したことがすべてを物語る。
海外競馬と距離もコースも不適だった有馬記念を除けば、これまでキャリア12戦で最速上がり8回。逃した4戦でも昨年のジャパンC、天皇賞秋で上がりNo2だった。前2走はいずれも上がりNo3。絶対的に自信のあった千六で牝馬にも劣った瞬発力が決定的な衰えの前兆とみるべき。さらに前走も上がり時計だけの比較で完敗の上がりNo3に昨年とはベースの能力そのものが低くなっていることが確実になった。
いずれしても瞬発力型にとって衰え始める最初の数字悪化が上がり時計。まさに前2走がシグナルとして捉えるのが常識的で、本質が千六~二千までのスピード型が前走から一気の距離延長にさらなる不安が増す。天皇賞秋の快勝からのステップでレコード勝ちした2年前とはまったく別次元の話。6戦連続の最速上がりから挑んだ2年前とは明らかに充実ぶりも勢いも決定的な差がある。今年は例年に比べてかなり馬場が悪いことも結果に左右される心配がある。
パンパン馬場で圧倒してきた女王が前々走で直線もがく姿。この馬より後ろから差し込まれた事実もあって良くて平行線の5歳牝馬をここで主役として扱うのは難しい。あくまで有力馬の凡走待ちか、名手のマジック待ち。
コントレイルの焦点は反動があるかどうかに絞っていい。能力だけなら楽に現役最強クラス。年齢的にこれからさらに成長期を迎えて絶対王者になるのも時間の問題だろう。だからこそ、休養なしにジャパンCを使うことに違和感がある。過去の歴史からも菊花賞を勝った超エリートがジャパンCを使う例はシンボリルドルフ以来か。仮に前走の反動がなければ圧勝があっていい力関係でこの強行軍がどう転ぶかだけ。
ハードな菊花賞からのステップから挑んで"馬券に絡んだ馬"は9頭だけ。
過去40年で
83年3着シンボリルドルフ (菊花賞1着3分6秒8)
93年3着ウイニングチケット(菊花賞3着3分5秒7)
98年3着スペシャルウィーク(菊花賞2着3分3秒8)
01年1着ジャングルポケット(菊花賞4着3分7秒6)
03年2着ザッツザプレンティ(菊花賞1着3分4秒8)
04年2着コスモバルク (菊花賞4着3分6秒0)
3着デルタブルース (菊花賞1着3分5秒7)
06年2着ドリームパスポート(菊花賞2着3分2秒7)
10年1着ローズキングダム (菊花賞2着3分6秒3)
結局、菊花賞で取りこぼしたためにリベンジ戦で挑む馬が多数。超高速馬場だったスペシャル、ドリーム以外は標準よりも遅い時計でそれほど疲れがなかったために巻き返せたという見解もできる。
菊花賞を勝ってジャパンCに挑んだ馬は過去20年に絞るとわずか3頭だけ。
JC3番人気で14着の00年エアシャカール
JC7番人気で3着の04年デルタブルース
JC4番人気で5着の08年オウケンブルースリ
この10年では1頭もいない。ひと昔までパンク馬が多数出たほど過酷なレースだったことからも御法度なローテだとわかる。なぜ現役最強馬になれるはずの超エリート馬を目先の金ほしさか、JRAの要請に応えてかはわからないが、使うこと自体が異例中の異例。見た目にごつさはなく、むしろ非力さが漂う成長途上の馬体。勝っても負けてもまずは無事であることを願うだけ。
もうデアリングタクトの説明はいいだろう。何度も示してきたように3歳牝馬の世代レベルは超低調。三冠達成後、牡馬相手にまったく太刀打ちできず、世代レベルの低さで牝馬三冠を達成できたことを裏付けてしまったメジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネに近い存在。
レコード確実だった超高速馬場のオークスでも想定より1秒近くも勝ち時計が遅く、そのオークスのみの上がり33秒台の経験ではいかにも瞬発力不足も感じさせる。モマれた経験はほぼなく、外々を回って直線だけでぶっち切ってきたような大味なレースぶりでは経験不足も明らかだ。勝負どころで外を回りすぎても伸びない馬場状態。直線は荒れたラチ沿いを選択する大博打でどこまで伸びてくるか。
2年前の勢いと今年の勢いか雲泥の差となっているアーモンドは単より連軸向き。コントレイルは単あって連なしか。どちらにしても死角が見え隠れして絶対的な立場にないとはいえ、この2頭以外から軸馬を探すとなると消去法でも浮かび上がってこないのが現実か。
微妙な牝馬の取捨に迷いが出るならば、頼りはやはりディープ産駒の牡馬。前走でもう以前の姿が望めないと酷評したが、見事なV字回復で復帰戦を快勝。グローリーヴェイズにはただただ脱帽するしかなかった。馬場も向いたとはいえ、残り1ハロンで先頭。残り150で逆手前になるものの、即修正してもうひと伸びした内容は時計、着差以上に凄みを感じさせた。直線坂コースのキャリア不足は否めないが、1戦ごとの成長力が他と絶対的な違いのあるディープ産駒に期待が高まるのは当然。中京、名古屋(110000)で左回り云々より直線の長さが魅力の東京はイメージどおり。好位差しでたれた4走前とは真逆になった前走からも、相当なスケールアップが見込める。外差し馬場になっていることが理想。
意外性の塊、キセキを前走で悲観することはない。結局スローの瞬発力に持ち込まれた時点で負けレース。道中のどこかでマクってこの馬が主導権を取れば、また違った結果になっていたはず。とにかくつかみどころのない気分屋。本来ならばハナがベストの選択でも、最近は年齢的なズブさもあってスタート直後からハナに立つのは絶望的となっているため、余計に乗り方が難しくなっている。58キロを背負った極限のスピード勝負では分が悪かったと割り切れば、ここで簡単に軌道修正しても驚かない実績。二千四(031002)で掲示板外の2戦は香港ヴァーズと凱旋門賞だけ。2着3回は神戸新聞杯(勝ち馬レイデオロ)、ジャパンC(2年前のレコード決着で勝ち馬アーモンドアイ)、前々走の京都大賞典。前走のような直線ヨーイドンが合わないことがわかれば、鞍上2度目でどの位置取りからも、4角前に動くのがセオリーだろう。中山より相性のいい東京だけに次のことよりここで全力。
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