9、1⇒9、1⇔7、15、10 (12点)
9-1、7-1、7、15、10、14、13 (9点)
1年中、緑のじゅうたんを喜んでいるのは競馬し始めの半素人とJRA職員だけ。いい馬といい騎手が揃えば、芝の色を問うものなどいないということ。芝の色にこだわり続けた結果が、馬場に加えてレースの傾向も確実に変えてきた。とりわけ東京コースは以前と別次元。特に春のGⅠは異次元レベルの時計が連発して、天皇賞秋はひと昔前と別レースのように変貌している。
天皇賞秋は30~40年前、レースの上がりが35秒前後、20~30年前が34秒半ば。勝ち時計は遅くて上がりが速いか、上がりは遅くて勝ち時計が速いかの両極端だったが、今や同時に求められることが必然となっている。さらに昭和~平成で王道路線のひとつだった京都大賞典はほぼ死のステップ、毎日王冠も同じような末路に向かっている傾向。変わってスピード重視のマイラーが多数活躍していることを忘れてはいけない。
振り返ればレースの上がりが33秒台で1分59秒を切ったのはこの20年で09年の1回だけ。しかし、レースの上がりを34秒5以下に広げるとこの3年すべてが該当する事実。しかも勝ち時計は短縮されてすべて1分58秒以下が近代競馬の象徴的な事例だろう。すでに二千四から距離短縮では極限レベルのスピード決着に対応し切れないのが現実か。二千四以上より千六得意なスピード型に良績が集中している。
天皇賞秋の上位馬の千六実績と千六持ち時計を比較すると
15年
1着ラブリーデイ(000011)1340・二千1573
2着ステファノス(210110)1332
3着イスラボニータ(110000)1352・千八1458
16年
1着モーリス(610100)1320
2着リアルスティール(000001)1340・二千1584
3着ステファノス(210110)1332・二千1576
18年
1着レイデオロ(未経験・二千1582)
2着サングレーザー(113011)1313
3着キセキ(未経験・千八1447)
19年
1着アーモンドアイ(301000)1309
2着ダノンプレミアム(300001)1326・千八1487
3着アエロリット(150121)1309
20年
1着アーモンドアイ(411000)1306
2着フィエールマン(未経験・千八1462)
3着クロノジェネシス(111000)1331・二千1584
千六で1分31秒5以下、千八1分45秒台以下、二千1分58秒5以下のいずれかに該当する持ち時計か、または千六で抜けた距離実績のある馬に良績集中している。例外だった19年ダノン、20年フィエールはいずれもGⅠ馬だった。
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京都大賞典からのステップが死のロードとなった昨今、今や毎日王冠も超一流馬が集まらないレースに変身しているのは周知のとおり。宝塚記念の時期の遅れや11月以降の主要レースの賞金加算。さらに外国競馬への参戦などがリンクして天皇賞秋は休み明けで始動するのが最も好まれるようになった。17年は1~3着馬すべて宝塚記念以来。18年は2着馬が8月以来。19年は1、2着馬が安田記念以来。20年は1~3着馬すべて休み明けだが、安田記念、天皇賞春、宝塚記念と三者三様のローテだった。
この5年で安田記念以来だったのは16年2着リアルスティール、19、20年1着アーモンドアイ、19年2着ダノンプレミアム。新たな道筋をつけた先輩たちに習って王道路線になりつつある安田記念からのステップとなるのがグランアレグリア。過去をなぞればローテ的な不安は皆無とみていい。もとより休み明け(511100)の仕上がり早。外厩頼りの馬の特長らしく、むしろ休み明けだけが走るローテになっている。
千六でも千二でも掛かる心配のないレース巧者。3走前は初の二千でどうかと思えたが、むしろ鞍上がうながして仕掛けるほどがっちり折り合っていた。敗因は各馬が雨と馬場を意識しすぎた前残りにもかかわらず、前半で必要以上に控えたこと。4角の前4頭で1、3、4、5着。マクり気味に動いても勝ち馬に振り切られたことは単なる展開負けとみていいことが結果にも表れている。初の二千がGⅠ、極悪条件だったことを考慮すれば、上々の内容だったと胸を張っていい。
いずれにしても前2走ですでに軌道修正完了。どちらも唯一上がり32秒台という最速上がりが超エリートの修正力だ。前走は初の叩き3戦目を経験でわずかな戸惑いがあった可能性もある。良馬場で距離2度目。今度は立場も結果も違ってくる。
一瞬で差し切るような王道ディープ産駒と常に比較されがち。派手さがないために超エリートより一枚落ちのようなイメージを抱かれるコントレイルだが、見た目やイメージに反して十分に超一流の数字を残している。王道とわずかに違うのはいい脚が使える時間だけ。それでも3ハロンあればGⅠで鋭さ負けしない証もある。何より誇らしいのがジャパンCで最速上がり。勝ち馬アーモンドアイより0秒4も速い上がり時計を残せば文句はないだろう。上がり33秒台以下はわずか2回だけの経験だが、皐月賞、ダービーを含まれた最速上がり6回が凄さを物語る。三冠で上がりNo1、1、2の世代絶対王者が良馬場で無様な競馬になる姿がまったく浮かばなくなるほど無敵に近い成績を兼ね備えている。最内枠の勝ちパターンである中団より前の位置取りが取れるかどうか。とにかくスタートに集中。鞍上の手腕が問われる。
3歳馬は異次元レベルの成績を残してきた馬だけが天皇賞秋で通用するというのが常識だ。それにあてはまらないのがエフフォーリアではないか。強調できる数字を持ってないことは致命傷。レコード確実な馬場だった前走でも1~3着馬まで同じ最速上がりで、道中の折り合い具合と位置取りに左右された。上がり33秒台だった6頭のうち、4頭で1~4着。同じようなタイプの同じような実力の馬が上位を独占したことがうかがえて、決して世代でズバ抜けた能力があるわけでもないことを数字が物語っている。
前走は若干の早仕掛けだったことを割り引いても、勝ち馬よりうまく立ち回って追い負け。最後差されたことは相手が着差以上に能力が上だった証だった。微妙な瞬発力に極限決着に裏付けのないスピードなど、古馬一線級相手になれば人気ほど怖さを感じない。
フィエールマンは昨年同様に評価を落とす。昨年はあくまで1分56秒前半が標準になる超高速馬場だったが、1分57秒台の決着で、より瞬発力を求められたことがこの馬にとって奏功したと分析している。乗り替わって折り合い下手の鞍上不安という配置にも嫌気。とにかくペースが落ち着くか、勝ち時計が昨年並みになるか。予報以上の雨をひたすら待つしかない。
カレンブーケドールは最強2勝馬のままフェードアウトが大多数の予測だろう。勝てるレースで取りこぼした前任騎手にこだわり続けた結果がこの様。へぐり連発でも任せるなら腹をくくってこの馬の引退まで引っ張るべきで、明らかに遅すぎた乗り替わりが悲劇を生んだ。陣営の自業自得。適距離もつかめぬままにゆっくりと止まらない下り坂にどっぷり入り込んだ。
ポタジェもまた異色のディープ産駒。言い方を変えれば非エリートというよりエリートになれないディープ産駒。最大の欠点が上がり33秒台以下の経験が1回だけ。キャリア3戦目の世代同士のレースでしか経験がないこと。重賞未勝利馬で、馬群を捌くのに苦労するような多頭数フルゲートの経験も皆無に等しい。極め付きは56キロ以上で勝ち鞍がないこと。東京1分59秒0の持ち時計は55キロ。プラス3キロ増の単純計算で1分59秒6では大人と子供ぐらいの差がある。
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