8⇒1、11、3⇒1、11、3、6、2 (12点)
ドゥラメンテの出走にはどこか違和感がある。クラシック最有力候補が中1週の参戦。ルージュバックといい、クラシック無冠の調教師だからか、賞金加算の先走り感が強くなっている。確かにルージュのきさらぎ賞出走は異色だが、仮にミスをしても今後で挽回できる体質面にまったく心配のないゆとりあるローテーション。それに比べるとドゥラの強行軍には何のメリットもない。何のために年末を休養に充てたのか。2勝目の500万を無理するか、3勝目の重賞を無理するか。どちらが傷みなく勝てるのか。わかりきっていることをあえて冒険するローテは、この先何かがあれば陣営が責められても仕方ないということ。
サンデー系が蔓延している現在の日本競馬界で、ひと昔前にあった追い切りができないほど体質の弱い馬はほとんどいなくなった。その中でこのエアグルーヴ一族はパンクする馬が多いことにローテの不安が膨れ上がる。中には体質の弱い馬もいたが、追い切りであっさり好時計を叩き出し、レース後もケロッとしている高い心肺機能だからこそ、豪快な追い切りや無理なステップで負荷が蓄積されて陣営が同じミスを何度も繰り返してきた。
母母エアグルーヴ・・・レース中骨折
母の全妹イントゥザグルーヴ・・・骨折
母の弟サムライハート・・・骨折
母の弟ザサンデーフサイチ・・・骨折
母の妹ポルトフィーノ(ポルトドートウィユの母)・・・骨折
母の妹グルヴェイグ・・・屈腱炎
この過去の黒歴史でも出走を決意したドゥラメンテは覚悟の上か。いずれにしても能力そのものにまったく異論などない。出走すれば楽に勝ち負けになる器。わずかキャリア3戦ながら、それくらい強烈なインパクトを残してきた。圧巻だったのは前走より前々走だ。同日1000万より5ハロン通過で0秒9速く、上がりは0秒2速く、勝ち時計は0秒8速ければ、単純に2歳11月の時点で1000万超級の数字はGⅠ級。クラシック最有力候補として評価が上がることも十分に納得できる。前走は前々走より5ハロン通過が2秒3も速いラップ。時計短縮、1分46秒台は当然で、ムチなしから3戦連続の最速上がりを決めて勝ち上がったことだけが強調点になる。馬体的には前々走の方が上。中1週以外で死角らしい死角はない。ここを使ってクラシックまで無事かどうかが心配。
もう1頭の異色ローテ、アヴニールマルシェの評価は前走以上に上がりようがない。"後ろから差されたディープ産駒に未来なし"が自論。前走の負けははっきりと頭打ちを示している。直線で前が壁になったことは確かだが、結果的には脚をためられたということ。前が開いてから追い出すタイミングは勝ち馬とほぼ同じ。それで完全な鋭さ負けは致命的といえる。さらに相手は1戦1勝馬。重賞を経験してきたアヴニールより完全な格下馬で、いわば下剋上だが負けた理由ははっきりしている。本来、ディープ産駒はレースを使って化けることに特長だが、休み休みのローテーションがすべてだろう。さらに追い切りでは馬任せ。追い切りでもレースでも負荷をかけなければ、いつ強くなるのか。この厩舎にいた昨年のコディーノと同じようなローテで同じように枯れていっている。陣営はゴティーノのローテでうまくいった感触があるからこその二番煎じだが、第3者からみればコディーノにしても悪ローテと感じたのは少数意見ではない。さらに前走の惜敗で新潟2歳S最強レベルは完全に崩れている。休んで使って休んで使ってのローテでは重賞勝ちも遠くなりそう。このローテに固執してクラシック勝ちを決めて見事な手腕と崇められるか、時代の流れに乗れ切れない昔の人、"新人類"から"旧人類"と揶揄されるか。今の賞金のままではダービーボーダーラインになる可能性もあるだけに、本来は現状の賞金でも取りこぼせない。
リアルスティールは新星誕生としての資質を十分に兼ね備えている。前走の上がりレースラップは11秒2-10秒7-11秒7。1分50秒台で10秒台が含まれるラップなら、重賞級であることは間違いない。ただ、厩舎と育成牧場、牧場をいかに効率よく回るかという勝負になった厩舎。数(勝ち鞍)に固執しすぎて、強い馬が造れなくなったことは数字からもはっきりわかる。昨年はリーディングトレーナーになったが重賞未勝利。馬主からすれば、何とも言えないもどかしさだろう。競馬ファンからしてもリーディングトレーナーより、当然重賞勝ちに重き。原点を振り返るにはいい機会となる。
それにしても1戦1勝の期待馬をいきなり重賞挑戦は先週のレガッタ同様、無謀な挑戦に終わることの確率が高い。ここで賞金加算できなれば、皐月賞出走を決めるのはほぼ残り1戦だけ。もちろん、ここを勝てばダービーまで楽なローテを組めるが、この世代から2歳時の番組改編で重賞2着だけの実績だけではダービー出走が賞金的に難しくなっているのが現状だ。少数競馬からいきなり多頭数、時計を4秒近くも縮めなくてはならない厳しい競馬で勝てるほど甘くない。勝てば兄以上で、当然クラシック最有力候補。
ダノンメジャーはやっと乗り替わった。第3者からみれば大きなロスでもないのに、前々走の鞍上は"4角で致命的な不利"。単なる仕掛けのタイミングの遅さでとりこぼしているにもかかわらず、理解不可能ないいわけにはもううんざりだろう。前走もスローを徹底待機のペース音痴を全開。好位で折り合えるレースセンスを台無しにする乗り方で当然の乗り替わりとなった。デビュー当初に連発していた最速上がりがここ2戦で陰りがみえたのはメジャー産駒の特徴と納得。いつも以上の積極策でディープ産駒から逆転を狙いたい。いずれにしても後方待機で直線勝負では分が悪い。
ソールインパクトの前走は鞍上がギリギリなだめた折り合いの難しさを露呈しただけに、距離短縮は願ってもない条件だ。スローの上がり勝負で着差がないのは当然だが、それでもルージュバックやシャイニングレイを世代トップのAグループとすれば、Bグループのトップレベルと評価していいホープフルS0秒2差。再び乗り替わりで微妙だが、少なくてもここに向けたローテーションは叩き3戦目でメンバー中ベストに近い。
ティルナノーグに策がなくなった。前々走でトモ肉が落ちて印象一変したパドックの雰囲気。前走ではテンションの高さが気になり、心身ともに悪い方悪い方に転がれば、強調材料が乏しいのも当然だろう。京都のレコード駆けは馬場状態から当たり前の数字。これまで最速上がりはわずか1度だけ。デビュー戦はメンバーNo2、前々走はNo5。スランプ脱出のきっかけがほしかった前走でNo3。持ち直してきたが、スローの上がり勝負に負け続けているディープ産駒が突然キレキレの状態に戻ることはない。もっと確かな復活シグナルがほしい。 |