5⇒13、12、9⇒13、12、9、11、7、15、6(18点)
運営側にとって常識的でも、お客にとっては非常識。馬場管理は土を扱うプロより、水まきのプロが必要とされているとは嘆かわしく、高松宮記念当日の馬場は明らかに人為的なもので時計が速くなった。芝刈りは2週前と同じ曜日で発表どおりの芝カットの長さなら、馬場の硬さの変化が超高速馬場へと一変させたことが決定的となっている。JRAがローラーを使ったことを否定することで、水まきの有無や強弱によって今年は京都そっくりの馬場に変身してしまったということに絞られただろう。
1週間まったく雨が降らなかったにもかかわらず、馬券検討を一変しなければならないほど緩めの馬場になっていた昨年の天皇賞春同様の珍事。天皇賞春の前夜に夕方から水をまきっぱなしで当日の晴れ予報が曇りとなって渇きの遅れが要因らしいが、そもそも"水をまかないと芝が枯れる"という理由で水をまくことが間違っている。お客にとって芝が緑でも茶色でもどちらでもよく、見た目などたいした問題ではない。運営側とお客との大きなギャップはこれからも埋まりそうにないだけに残念。雨が降ってないにもかかわらず、馬場を人為的にいじって当日にならないと馬場状態が見極められないことは前売りと当日売りの馬券を買う人の違いもあるだけに、公平性に欠く行為と思っている人も少なくないはず。
なぜ改めて水まき馬場に注目したかというと、チューリップ賞の時計はどうにも不可解。当日、突然の快時計連発の馬場は前後の週より明らかに断然速くなっている。芝のレースが少なく、馬場差を測るのは難しいが、同じ良馬場比較で3歳500万が前週の阪急杯より1秒5だけ遅い勝ち時計、16着に相当する数字からもおかしさが伝わってくる。チューリップ賞の1分32秒台決着も1、2頭ならまだ納得できるが、1~7着の着差がわずか0秒4。上がり33秒1以下が5頭、ほぼすべての馬が持ち時計更新となれば、疑心暗鬼になるのも仕方ない。時計ひとつ~ふたつ以上の大幅な割り引きが必要と受け取るべきだ。
1強他弱。超レベルの高い牡馬とは違って牝馬はとにかく1頭以外レベルが低い。1分34秒半ば~1分35秒台の持ち時計の馬が突然に1分32秒台で走れる馬場だったチューリップ賞も割り引く必要があれば、絶対王女メジャーエンブレムの1冠目はかなりの高確率。前走時に"時計勝負に課題"と指摘したことが恥ずかしくなるぐらいの圧勝劇で、同日未勝利が1分34秒3でもチューリップ賞ほどの減点はない。ダイワメジャー産駒は逃げ先行馬で必ず大物が出ると予感していた通りのスケールの大きさ。何より前走を鞍上がトライアルとしての試走ではなく、仮想桜花賞を想定して強気の逃げだったことで器用貧乏の嫌いもなくなり、完全に迷いのなくなった内容に好感がもてる。前々走は過去3年でワーストの勝ち時計。過去10年でNo6、レース上がり時計はNo9にレースレベルの低さが見え隠れしていたが、相手の出方に合わせることなく、自分のスタイルを貫くハナか、番手にこだわれば驚くような数字を出せるということ。2、3走前に掛かり気味だった折り合い不安も一蹴されて不安らしい不安はなくなっている。
デビュー戦からの上がりラップを比較するととにかくパンパンの良馬場に強さが示されている。
デビュー戦
11秒4-11秒0-11秒4
4走前
12秒0-11秒3-11秒3
3走前
11秒9-11秒1-11秒2
前々走
11秒7-11秒5-12秒6
前走
11秒2-11秒6-11秒9
常に4角先頭のレースぶりからもうかがえる自在に立ち回れる先行馬としての完成度の高さ。この数字にはっきりと単調な先行馬でない裏付けそのものとなっている。スタートムラな追い込みに偏るメンバー構成。同型のダート馬や外枠の馬が無理しない限り、天性のスタートセンスの良さからごく普通にハナを切って前走の再現。
打倒メジャーに求められるのは、やはり世代トップレベルの瞬発力であることがはっきりしている。中でもジュエラーとシンハライトは高いレベルでほぼ同じ能力。位置取りの差だけで着順がひっくり返るぐらい接近している。キャリア3戦の同じような成長過程で走るたびにスケールアップ。ピークが桜花賞になることはメジャーよりも理想的なステップで、さらなるステージへ到達することは簡単に計算できる。
両馬の能力が紙一重ならば鞍上の良し悪しを考慮してジュエラーを選択。首の上げ下げで決まった前走だけでシンハライトより評価を下げるのは禁物。終始この馬を目標にして立ち回った勝ち馬はレースがしやすかった事実。今度は枠順が逆になって常に意識して立ち回れる利点を強調したい。いずれにしても3戦すべてで最速上がりの瞬発力はますます磨きのかかった天井知らずの切れ味。平凡な馬体から一変した前走の雰囲気はまさにディープ産駒に負けない王道エリートを歩める感触を得ている。
シンハライトはジュエラーと違って徹底した牝馬路線でメンバーレベルが上がって微妙だったが、前走の差し切り勝ちはイメージを覆すインパクトがあった。終わってみれば短い期間で走るたびにスケールアップするディープ産駒の底力そのもの。クラシックを意識できるまで完成されていたということ。終始大名マークできた恩恵があったとはいえ、2着馬より外を回って差し切ったことは人馬ともに大きな自信につながったはず。スタート下手な鞍上らしく、走るたびに癖馬として固まりつつあることが死角らしい死角。小柄な牝馬でまずは馬体重に注目。
1分35秒台の持ち時計だった馬も含めて全馬すべてが1分33秒台以下、上がり33秒1以下が5頭という考えられない快時計の出たチューリップ賞はいかにも"ドーピング時計"。上がり33秒1がひとつの及第点となる馬場状態で、ラベンダーヴァレイの上がり33秒7はどうしても物足りなくなる。もちろん上がり34秒0のウインファビラスは、ますます入着ラインの相手なりタイプというイメージを強めて、完全に成長の止まった早熟馬として評価が固まってきた。
過去10年で5ハロン通過が最遅ラップとなったフィリーズRはチューリップ賞よりも価値を見出せない。ソルヴェイグ、アットザシーサイド、キャンディバローズは千六未勝利。距離に確かな裏付けもない低調さで見限ることができる。
唯一メジャーに土をつけたデンコウアンジュのアルテミスSは一生に一度の大駆けだったか。坂を上がって完全に力尽きたジュベナイルF、最速上がりで連勝を決めた頃の瞬発力より、確実に陰りのうかがえた前走から狙いづらくなっている事実。本質が遅咲きのメイショウサムソン産駒のV字回復やひと叩きの変わり身の期待ができても、休養で馬体の戻らなかったことがますますイメージを悪くしている。
前走を終始試走に徹したレッドアヴァンセは14キロ減の馬体でほぼクラシックは絶望的になっただろう。デビューから休養なしの反動が一番大事な時期に出たということ。最低でも430キロ台まで戻してどう転ぶか。やる気のなかった前走でも最速上がりに0秒1差の瞬発力が素質の片鱗で、秘めた能力は相当高いことは確か。
大穴ならばジープルメリア。ダート馬のイメージが強まったが、デビュー戦は芝でキャンディバローズを子供扱いして余裕十分の差し切り勝ちしたエリート。4着ティソーナは現3勝、7着ペイシャフェリシタは現2勝という超ハイレベルなメンバー構成なら本物の強さ。No2の上がり時計で差し切れば、むしろダートを使ったことに驚くほど。前走も古馬500万を軽く凌ぐ時計で芝替わりでも完全無視はできない。 |