7、5、11⇒7、5、11、1、9、17⇒
7、5、11、1、9、17 (60点)
7-5、11、1-
5、11、1、9、17、8、2、6 (18点)
7⇔5、11、1、9、17、8、2、6
スプリンターに近いスピード型として評価をしていたタワーオブロンドンには脱帽しかない。超高速馬場で時計にそれほどの価値はないとしても、着差以上の完封劇にはインパクトがあった。いつも以上に控えた位置取りから直線早々に行き場を失くして仕掛けが遅れる不運も重なったが、鞍上は慌てず騒がず。前がクリアになるのを待って追い出すと一瞬にして突き抜けている。休み明けからダイエット成功の理想的な馬体重で心身ともに充実。前2走でも高いパフォーマンスだったが、とりわけ前走は決め手勝負にメドを立てるという本番前のテストレースで完璧な足固めとなった。一貫して大事に使われてひと叩きでさらに良化余地を残すようなローテーション。これまで最速上がり3回、メンバーNo2が2回。前々走のGⅠでNo5がこの馬自身の最低レベルになる上がり時計ならば、超高速馬場の上がり勝負は願ってもない条件か。少なくても1分32秒前半の決着なら主役として扱える。
12キロ減の誤算はあったものの、細くなったという印象のなかったカツジは2着ケイアイノーテックの勝ちパターンを大外一気で差し切り勝ちの凄み。2戦連続の長距離輸送で押せ押せローテなどハードルは高いが、千六の重賞で1、2着の実績は何よりの強み。振り返ればキャリア2戦目のデイリー杯は早め先頭で勝ちパターンに持ち込んだが、勝ち馬ジャンダルムの瞬発力に屈した2着。そのジャンダルムはホープフルS2着、弥生賞3着。3着以下をち切ったことからもマイラーとしての資質はデビュー当初からハイレベルの評価で安定している。距離延長で寄り道した前々走は条件が合わなかったと納得。先行~追い込みまでこなしてきた自在性と前走で上がり勝負に強い瞬発力を武器にどう立ち回るか。気楽に乗れる立場なら鞍上のイップスはないと信じたい。
ギベオンがクラシックに見向きもせず、路線変更は驚いたが、それだけ勝算あっての参戦と割り切るべきなのか。雰囲気的には中一流をにおわせるエリートのディープ産駒の好馬体。これまで上がり時計はメンバーNo2、1、2の切れ味からも一流馬として完成間近となっている。高いレベルで時計は安定、走るたびに磨きのかかる瞬発力。前走は4角で勝ち馬の直後から追い比べ。坂下までは勝機も浮かぶ勢いがあったが、坂でヨレる痛恨のロスが致命傷になっただけ。勝ち馬はダービーでも印がつくほどの素質馬で、一枚落ちのこのメンバーでは距離短縮などまったく問題ないだろう。コースも距離も未知数だった前々走で4着に0秒7差、唯一の上がり33秒台の最速上がりが示すとおりに時計も上がりも重賞レベルを物語っている。
テトラドラクマは強さとモロさ同居の中で前日3番人気にどこか違和感。過去10年でレースの上がり時計はワースト1というレースレベルにもかかわらず、字面だけの人気が否めない。ラスト2ハロンのレースラップは11秒5-12秒4という落差。各馬がバダバタになっての差し切り勝ちに価値を見出せず、結局桜花賞を使えなかったローテーションなど減点材料が多すぎる。単純な上がり時計比較でメンバーNo13、千六限定でもNo8。ペースを見極めて積極策で粘る姿は鞍上からもまったく浮かばない。
同じ牝馬でもプリモシーンはまったく評価が違う。とにかく前走は直線で行くところ行くところ前が壁になる不運。スランプ気味だった鞍上でも皐月賞制覇で勢いつけば、ますます色気が出てくるだろう。スムーズさを欠きながらメンバーNo2の上がり時計に0秒1差劣っただけの上がり時計No3。少なくてもテトラより0秒8も上回る上がり時計となった3走前で、対テトラにははっきりと勝負付けが終わっていることがうかがえる。ぶっつけの桜花賞からひと叩きで輸送なし。超高速馬場で極限の時計と瞬発力が求められれば、ますます差し切るイメージが強まっていく。
ニュージーランドT組は勝ち馬以外で勝ちを見出せない。2着馬ケイアイノーテックはやはり瞬発力にモロさ、弱さを抱えていた。前走も本来ならば勝ちパターン。マクり気味に動いて4角先頭。いくらか仕掛けが早く、勝ち馬に内と外でやや離れた追い比べの位置取りとなったとしても完全なる鋭さ負け。さらに高速馬場になる舞台となると八方ふさがり感が否めない。瞬発力では一流になれないことは明らかだが、それでも陣営は瞬発力頼りのような発言。前走時の評価同様に差し馬としての限界をはっきり感じている現状で直線勝負に賭けるような乗り方では妙味がない。前々勝負ならば大駆けもあったか。
圧巻のデビュー戦から重賞級と確信していたミスターメロディーだったが、それでも前走の芝で圧勝劇は驚きだった。馬っぷりは明らかに砂馬そのもので、絶好のスタートから無理やり控えて道中は完全に引っ掛かる折り合い難などをクリアして着差以上の完勝は胸を張れる。メンバーNo4の上がり時計も意外そのもので、ハナを切って自ら主導権を取れば距離克服できる底力は兼ね備えているだろう。ペース考慮で控えて折り合い難より、ペース無視で馬任せの逃げが理想。
NZT3着デルマバローズはさらなる試練が待っている。根本的に経験不足。前走の時計も標準以下の時計で、何より瞬発力勝負にはまったく裏付けがない。クラシック路線もマイル路線もこの厩舎は少ないキャリアで大一番というのが信念なのか。結局本番ではキャリアが少なすぎて経験値の足りない馬が多数存在している中の1頭だろう。前走はあくまで絶好枠が奏功。流れに乗れてメンバーNo5の上がり時計でも0秒1差に迫れたのは展開が向いたことがすべて。価値を見出せないのが本音。
転厩初戦としてもロックディスタウンの前走は無様な騎乗ぶりだった。重賞の1番人気馬をスタート直後から極度の折り合い難で早々にレース終了。正念場が続く鞍上は関東営業が成功したものの、見事な裏切りで人馬ともに崖っぷちに立たされている。距離短縮や左回りでも同じコンビが続く限り、前走の悪夢を払拭することはなく、デビュー戦以外は瞬発力勝負に課題を残したままのオルフェ産駒は早熟の懸念も出てきた。いずれにしてもデビュー2連勝で重賞勝ちのインパクトは薄れて、折り合うだけの教育的なレースか。まずはスランプ脱出のきっかけ作り。
1度でもいいから千六を経験していればルーカスの評価は変わっていたが、皐月賞トライアルを使ってからの見極めで一気にマイル路線へ舵を切った馬に魅力を感じない。ハイレベルなデビュー勝ちから次走でワグネリアンに完敗、ホープルS惨敗で距離の限界と瞬発力勝負の弱さはわかっていたこと。背伸びし続けて見せ場のなかった前走も当然の結果だった。極限の時計勝負か、瞬発力が求められる超高速馬場で太刀打ちする姿は計算上もイメージ的にも浮かばない。
スタート不利があったとしても、リョーノテソーロの前走は消極的すぎてここへつながる内容とは言えない。瞬発力に裏付けのない馬を直線勝負に挑む無謀さ。ラップ的にも本来ならばマクり気味に動くのがセオリーだが、ペース音痴の鞍上は流れを見極め切れずにあえて直線だけの差し比べに挑んでいる。数字以上の太めを割り引いても徹底待機でメンバーNo6の上がり時計は切れ不足の象徴的な数字。過去10年の比較でワースト3となる勝ち時計で追い負けたことが追い打ちとなる。千六の時計勝負、瞬発力勝負にメドは立ってない。
見た目の良さが結果に直結しないフロンティアはデビュー2戦だけの輝きで終わりそうだ。兄ドリームパスポートの下というより、デビュー3戦でほぼ燃え尽きた元オープン馬の兄ラウンドワールド似。距離選択に問題か、瞬発力勝負に極度の弱さか。いずれにしても極限決着が避けられない千六GⅠの舞台で、デビュー当初の輝きを取り戻すのは難しい。
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