7、16⇒7、16、18、11、5⇒
7、16、18、11、5、3 (32点)
7-16、18、11 16-18、11
牡馬相手のGⅠでこれまで今年の牝馬の活躍は近年になかった快挙だろう。高松宮記念、大阪杯、安田記念で牝馬のワンツー。距離の短めな高松宮、安田はある程度納得できても、大阪杯だけは牡馬が守らななければ最後の砦的なGⅠでも牙城が崩れた。牝馬2頭だけの出走で牝馬ワンツーはまさに屈辱的。直前のレースでダノンキングリー程度に完敗だったラッキーライラック、時計勝負に何の裏付けもなかったクロノジェネシスらに手も足も出なかったことから、もはや"牝高牡低"というより"牝高牡超低"という表現がしっくりくる。
今回の相手も前走並みにレベルが低い。今年の天皇賞春の時計は少なくても過去10年でワースト1、2を争うレースレベルの低さだった。
昨年の古馬2勝牝馬限定クラスで
千八1分45秒8、5F通過57秒4、レース上がり3F36秒4。
今年も同じ条件で
千八1分46秒0、5F通過57秒9、レース上がり3F36秒4。
ほぼ同じ馬場差にもかかわらず、天皇賞春の時計は昨年より1秒8も遅く、レースの上がりは1秒5も遅いことが決定的な証だ。多少、今年の馬場が悪かったとしても、過去10年で良馬場9回中これまで16秒前半がわずか1度だけ。15秒台が標準の中で16秒台後半は段違いの遅さ。その天皇賞馬も出走しないならばごく普通に大阪杯組優勢だが、上位馬は展開に恵まれただけに大阪杯組の中でも取捨が難しくなる。
大阪杯を振り返りたい。天皇賞は時計が特殊ならば、大阪杯はラップが特殊。道中1、2番手でワンスリーだった同日の古馬1勝クラスより5ハロン通過が0秒6も遅く、GⅠとしては超スロー。5ハロン通過時点で前々決着が決定づけられるという先行勢が絶対的有利な競馬だったことは言うまでもない。まともにペース判断ができるジョッキーが不在だったことが要因か。向正面で前2頭から驚きの4馬身も離れた隊列になったことがペース音痴集団だったことが裏付けられる。結局、低調な先行馬が崩れて集団先頭、2番手の馬がワンツー。スロー確実なメンバー構成で前半控えたブライトワンピース、隊列で位置取りを決めて無理やり抑えて折り合いを欠いたワグネリアンらは位置取りの選択を完全に見誤って自滅していった。3角過ぎから各馬が動く中、直線まで仕掛けを我慢できたラッキーライラックはまさに思い通りの展開と位置取りと流れ。何の不利もロスなく立ち回っている。クロノジェネシスは納得の2着。道中は終始勝ち馬を意識した位置取りでラッキーをマンマーク。4角前だけがラッキーの2頭分だけ少し外を回った程度で追い比べに持ち込んだものの、着差以上の完敗だったことは否めない。最後の脚色は勝ち馬よりかなり劣っていたこと。牝馬2頭が理想的な乗り方で有力馬の2頭だった牡馬が不甲斐ない乗り方。この4頭に決定的な差はなく、再び乗り方ひとつ、展開ひとつで簡単に優劣は変わっていく。
とにかく一番牝馬の絡みやすいGⅠが宝塚記念。転機はやはり開催日の変更だろう。6月の1週目から一時、7月1週目で行われるなど、開催が遅くなったことが大きな要因のひとつ。暑さの牝馬。まさに6月の2週目までに行われていた96年からガラリと変わっている。
過去30年で1980~96年まで馬券に絡んだのは
84年3着グローバルダイナ
93年2着イクノディクタス
4着以下でも3頭だけ。
81年4着ハギノトップレディ
83年5着ヤマノシラギク
85年5着グローバルダイナ
96~19年まで馬券に絡んだのは
96年3着ダンスパートナー
97年3着ダンスパートナー
98年3着エアグルーヴ
05年1着スイープトウショウ
10年2着ブエナビスタ
11年2着ブエナビスタ
13年3着ジェンティルドンナ
14年3着ヴィルシーナ
15年2着デニムアンドルビー
3着ショウナンパンドラ
16年1着マリアライト
17年3着ミッキークイーン
19年1着リスグラシュー
99~09年に若干の不振時期はあったものの、これだけ如実に傾向が変われば今年の牝馬の勢いから傾向どおりになる可能性は高い。
ラッキーライラックは正直、頭からは買いづらい。強さとモロさ同居というより展開に注文のつくタイプ。勝つ時は鮮やかだが、負けた時のレースが淡泊すぎる。確かな敗因も見当たらず、前々走まで牡馬との格差、落差を感じさせていたことは間違いない。エリ女も過去10年で良馬場限定になるとワースト2という時計の悪さ。大阪杯同様に考えられないほどの超スローとなる上がり勝負を制したものだった。3走前は残り1ハロンの時点で勝てる勢いがあったがその後の勢いは止まり気味。前々走も上がり勝負だったが、3角過ぎにペースアップすると若干置かれ気味になったのが致命傷となる始末。勝負どころで動くと終い甘くなる傾向ならば、外枠で再びモロさ露呈の可能性は高まっていく。キセキの存在によって特異なラップで馬場悪化からパワーも求められると二千二は微妙な距離になる。少なくても距離延長でプラスにならない危うさ。
クロノジェネシスはここでどの位置を選択するのか。鞍上の力量、陣営の勝負勘が試される。スローの桜花賞、エリ女を引っ張り込みすぎて、ハイペースのオークスを行きすぎ。ペース的に理想通りの位置取りになった秋華賞、京都記念で着差以上の完勝がこの馬の本質を表している。とにかく平均ペースならば中団待機がベターな瞬発力型。極限の時計や上がりが求められない馬場もこの馬にとっては追い風で、ラッキーを意識するよりブラストを意識した乗り方が正解か。ブラストは鞍上の性格上、枠順からどのみち4角前の早仕掛け。ワンテンポ遅らせた仕掛けでこの馬にとって理想的な展開になるはず。阪神コースはジュベナイルF2着、桜花賞3着、大阪杯2着。東京(201000)も含めるとしっかり直線の長さがあるコースでは崩れない安定感がある。稍重も含めて道悪(300000)。スタミナと底力を求められた前々走で最速上がりの横綱相撲から、少なくてもラッキーより条件は好転した。
サートゥルナーリアは本当に強いのか。古馬GⅠで勝ってから評価を固めるのがセオリーだろう。とにかく今でも半信半疑。この相手で勝てるほどの確かな裏付けがない。古馬相手にわずか3戦、3走前の天皇賞秋では完全なるスピード負けを露呈して、前々走の有馬記念では勝ち馬に子供扱いされるのを完全に無視した人気だ。有馬記念の過去10年でレースの上がり時計がぶっち切りのワースト1。混戦乱戦レースで後方から差して0秒8差に何ら価値を見出せない。前走も何を強調すればいいのか。2、3着に重賞未勝利馬。過去10年では稍重も含めた9回中、ワースト1の勝ち時計を持ったままで勝つことはクラシックホースとしては最低限の仕事ということ。カナロア産駒の鬼門でもある二千以上の距離で全幅の信頼を置けるのはアーモンドアイだけ。前4走で前走以外は折り合いを欠いていたことからも、ひとつ歯車が狂えば折り合い難を露呈する可能性もある。好枠だけが頼り。
本来ならば狙いはブラストワンピースだったが、乗り替わりなしと大外枠で再び前走の悪夢がよみがえる。早仕掛けが御法度な馬だと理解してないことを前走で確信。超スローをなぜか後方待機。決め打ちなのか、平均より速いと感じたのか。いずれにしても向正面で勝ち馬より4馬身後方ではこの時点で勝負あり。向正面から動いて3角過ぎには勝ち馬より4頭分も外を回る早仕掛けでは馬券圏外も当然だろう。とにかくこの馬は3角から直線までどれだけ仕掛けを我慢できるかが勝負の分かれ目。札幌記念は3角過ぎから内目馬群を縫ってきたから最後の伸びにつながったことを鞍上が理解しなければ前走の二の舞の可能性がますます高まるだろう。昨年の大阪杯も鞍上が慌てたマクり競馬で掲示板外。この枠順からラチ沿いで立ち回る技術も考えもなければ、人気的にもむしろ見限るのが正解か。馬場悪化をひたすら待つ。
ワグネリアンはまた同じコンビに嫌気が出たが、このメンバーで一番の変わる余地を残していることも事実。これまでもうまく乗れない、感じない。この前5走で4戦が同じコンビだが、1度として流れに乗れたことはない。昨年の大阪杯は4角で4、2番手でワンツー。位置取りとしてはもう1列前がベストだったが、勝ち馬の直後の位置取りだからこそ後手後手になった。4走前は両前落鉄。3走前は4角の位置取りが5、3、1番手でワンツースリー。前日の2歳未勝利より5ハロン通過が遅いラップであの位置取りはない。極め付きが前走だろう。結局、ひらめきもマジックもできない鞍上の勝負弱さを露呈。同日の古馬1勝クラスより遅いラップを無理やり控えて惨敗覚悟の折り合い難では策がない。4角でこの馬より前の位置取りだった馬で1~3着独占からも、いかに位置取りが悪かったかが示されている。再びこの馬向きの流れをひたすら待つのか、この馬が勝つために自ら動いて活路を見出すのか。ふたつにひとつ。
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