2、3、12、13⇔2、3、12、13、6⇔
2、3、12、13、6、4、14、5 (168点)
2、3-2、3、12、13-
12、13、6、4、14、5、15 (29点)
エアロヴェロシティとダンスディレクターが回避で一変して波乱含み。主役2頭の不在でどの馬にもチャンスが回ってきた。スプリンターらしい逃げ先行馬揃いで久しぶりに良馬場の高松宮記念だが、前日の土曜日に1000万1分7秒4のレコード決着で絶好の馬場状態。スピードはもちろん、底力が求められる過酷なGⅠになることは確実で、1分6秒台の決着が避けられなくなった。
ミッキーアイルはここで本当の真価が問われる。前走はスタート後に必要以上に出しに行った褒められない乗り方でも勝ち切れたのは同型が低調で恵まれたメンバーだったことが否めないが、とにかく数字的には胸を張れる。着差よりも個々の数字の高さがGⅠ馬の底力として表れている。前走は過去10年と比較しても遜色ない。前半5ハロン通過は過去10年でNo2の速さ、何より勝ち時計はNo1。2年前のコパノリチャードが逃げ切ったレースより、5ハロン通過が0秒3遅くて0秒8も上回った勝ち時計。エーシンフォワード、ロードカナロア、ビービーガルダンなどを加えた歴代の勝ち馬を並べると名手配置なら自信の本命馬になっていたことが伝わるだろう。いずれにしても鞍上の甘さを割り引くか、馬の能力を評価するかで取捨に迷う。
鞍上は騎乗馬に恵まれているが、ミッキーで今年3年ぶりの重賞制覇。単なる特別戦でもプレッシャー負け連発のチキンハートということは、今年これまで9勝で2着25回となる異常なほどの数字に勝負弱さが示されている。GⅠ、GⅡ未勝利ジョッキーにとって致命的な数字。前走とは一変して逃げ馬揃いにもかかわらず、ハナが切れなかった時点で鞍上の手腕が問われるレースでは期待よりも不安だけ。
行くしかない逃げ馬ハクサンムーン、ローレルベローチェ、アクティブミノルがミッキーを含めて未熟な鞍上が共通点だからこそ、レースが読めない難しさ。今まで安定してきたスタートでもプレッシャーに負けてあっさりミスして意外に逃げ先行馬有利になる可能性も否めないが、アドリブの利かない鞍上揃いでハナだけにこだわれば差し馬台頭が当然。さらに土曜日の結果から外差しが利かないだけに内枠の差し馬には色気が出る。
中でもウキヨノカゼは走る条件がぴたりとはまる。他力本願型の鞍上にとって待ちに待ったハイペース。馬の特性より鞍上自身の性格を貫く乗り方は前走が象徴的だろう。ポツンと1頭最後方待機。追い込みがまったく利かない馬場で4角ブン回して直線だけの仕掛けでは届くはずがない。前々走まで3戦連続の最速上がりの切れ味は道悪もあって殺されれば距離短縮、良馬場、ひと叩きで一変があっても驚かない。
3走前は同日500万より前半3~5ハロンまで遅いという前残り。前々走も同日1000万より2~4ハロンが遅く、勝ち時計まで0秒1劣れば、もはやGⅠの格や威厳などなく、単なる先行馬有利の泥試合ということ。それでも前々走まで3戦連続の最速上がりで、3走前は直線一気を決めて、前々走でも0秒2差まで直線だけで迫れば着順、着差以上の価値を見出せる。腹をくくって直線も外出しを我慢できるか。徹底した内狙いで大駆け可能。
そのGⅠ2着のサクラゴスペルは海外帰りでも侮れない。千四のスペシャリストが夢を見すぎのスプリント戦で海外挑戦だった。スタート直後から無理やり控えて離れた後方で完全に引っ掛かる始末。ただ回ってきただけの内容は陣営の思い出作りの海外旅行だったとして割り切るしかない。昨年あれだけ活躍した馬がわずか2、3カ月で急激な衰えは考えにくく、年齢的にも一戦入魂で走るなら休み明け(420115)の今回だろう。昨年のオーシャンSではハクサンムーンを同斤量で退ける大金星。高松宮記念では道悪に泣いたが、それでも4着馬に0秒4差。京王杯では次走、安田記念2着のヴァンセンヌに競り勝って再び大駆けを決めて、暮れのGⅠで2着ならピークに近い状態だったということ。中京千二を10頭経験の中で単純な上がり時計比較でNo3、持ち時計はNo2なら完全無視はできない。
勢いを失ったディープ産駒はV字回復が見込めないのが持論だが、ウリウリの前2戦は確かな敗因があったと判断すべきだろう。前々走は展開のアヤなのか、コース取りの悪さというのか。いずれにしても直線ラチ沿いを突いたのが裏目。残り150までまったく追えなかっただけに着順、着差にこだわる必要はない。むしろ0秒5まで迫れたことを評価したい。前走は絶好位から完全不発で流れ込んだだけの内容。それまで重馬場(101000)でまったく苦にしなかっただけに、馬場というより斤量泣きとして納得できる。中京(200000)で待望の良馬場。新鮮味のある乗り替わりもいい刺激となりそう。
鞍上からか、陣営のコメントからか。アルビアーノの人気はどこからくるのか不思議なぐらいだ。マイルであれだけの実績を残した馬が突然のスプリント路線で穴馬としてなら面白い存在だが、スペシャリスト相手で前日3番人気はいかにも人気過剰。妙味をまったく感じないのが現実で、どこの数字を注目しても見劣る。着差以上の強さだったとはいえ、スワンSの千四1分20秒2の持ち時計は、ここでごく標準レベル。得意なマイルでフラアンジェリコ程度に競り負けた4走前がスピード基準。レコードを求められるGⅠの上位争いはどうしてもイメージが浮かばない。前走も残り150で3着馬に前を横切られて軽くブレーキがかかったために鞍上があきらめた5着だが、スムーズだったとしても勝ち馬に届くことはなかった勢い。あくまでもヒモ扱いが妥当。
同じ時計不足ならエイシンブルズアイに魅力を感じる。アルビアーノが突然のスプリント挑戦に驚いたが、エイシンは突然のマイル路線には驚いた。典型的なスプリンターを理解に苦しむレースマネージメント。千六に勝ち鞍はあっても、重賞で通用することのないスピードは走る前から分かり切ったこと。前走は悪ローテから盲点になって人気をおとしただけで、圧勝も納得できる実績を千二では残している。直線の坂下から一気に加速して2着馬を置き去りした内容に以前より逞しさ。人馬ともに気楽に乗ってこそのタイプ。
底の割れた上がり馬ビッグアーサーに過度の期待ができない。結局直線坂コースのスピード勝負に弱さ。追い出してからのモタつき方は極限の決着になるほど顕著に表れる。持ち時計の1分6秒台はよくある京都の"コンクリート馬場"。それ以外は1分7秒半ばが限界のスピードで、鋭さ負けとなった北九州記念と京阪杯にこの馬の特徴が表れている。積極策がしっくりくるタイプをあえて控える競馬に徹してきたステップからも嫌気が出る。ひと雨ほしかった。
意外性の塊なのがスノードラゴンだ。とにかくつかみどころがない。芝はわずか1勝だが、その1勝がGⅠスプリンターズS。新馬、未勝利戦を除いた芝レースの経験はたった7戦だけだが、その中にGⅠの1、2着が含まれているのだから恐れ入る。前走も本来は試走ムードの1年以上のブランク明け。勝ち馬の直後から追い出し始めて反応の良し悪しで即引き離されたが、それでも勝ち馬より0秒3劣るだけの上がり時計なら、ここにつながる最高のステップレースを消化したとみていい。馬体から受ける見た目からのイメージより、実績を重視すべきタイプ。 |