1⇒4、10、3、8、14、7、16、2 (168点)
4⇒10、3、8、14、7 (60点)
10-3、8-
3、8、1、4、14、7、16、2、6 (15点)
1週間前は雨予報だったが、どうやら道悪の心配はなくなった。菊花賞では時計勝負に弱さを露呈し続けているディープ産駒にとって恵みの雨になるはずだっただけに単というイメージがますます薄れていく。
3分4~5秒台がレコードだった時代が大昔のような錯覚になるほど年々、高速化が加速していく京都。とりわけ菊花賞は時計が速ければ速いほどパンクする馬が続出している"殺人レース"。条件変更の時代に差しかかってきたことは間違いない。いずれにしても3分2秒台より速く走った馬は相当なダメージがあることは過去の傾向からも避けられないだろう。
二千四ではっきりと距離の限界が示されているディープ産駒にとって時計と上がり時計が求められる極限の決着ではどうにも太刀打ちできなくなっている。本質がスピード型。特に牡馬は3歳までにクラシックディスタンスで活躍していた馬でも年を取るごとに千八~二千がベストになっている傾向が強くなっている。スピード、瞬発力は一級品でもスタミナだけは一枚も二枚も劣るということ。絶対的な強さは3つの条件がちょうどいいバランスになる際に限られている。
ディープ産駒の菊花賞最高順位
11年
3着トーセンラー3分3秒5
12年
4着ベールドインパクト3分3秒5
13年
2着サトノノブレス3分6秒0
14年
6着サトノアラジン3分1秒9
15年
2着リアルスティール3分3秒9
時計が速くなるほど苦戦、時計がかかった際に上位と接戦は過去から傾向がはっきりしてきたことがわかるはず。天皇賞春ではさらに如実に表れている。ディープ産駒の大将格だったはずのキズナが直線もがく姿で浮き彫りになった距離への壁。時計がかかったとしても、今開催の超高速馬場を考慮すれば、稍重に近い良馬場でも3分3秒台の決着になるのは想像がつく。いずれにしても能力の高さだけでどこまで抵抗できるか程度の評価しかできない。
振り返れば父自身、連戦圧勝だったが、菊花賞は残り1ハロンで負けを覚悟したほどギリギリの争い。父の勝ち時計は当時の菊花賞レコードより1秒4も遅い勝ち時計、レコード更新した翌年より1秒9も遅かっただけに差し切れたとの解釈もできる。ディープ産駒が勝ち負けできるレベルはあくまで3分3秒台より遅い決着の際ということで決め打ちする。
ディープ産駒の中でまずはサトノダイヤモンドから見極めたい。前走は着差以上の強さだったことは間違いない。残り250で早くも先頭、内から2着馬が迫ってきたが、最後に並ばれてもうひと伸びした内容は着差以上に余裕があるようにも映る。相手は夏場に使い込んで順調さの違い、気楽な立場で徹底待機が可能だったことなど、数々の条件で2着馬に有利に傾いていたことを考慮すれば悲観するどころか、ダービー2着の威厳は感じられる。
それでも距離の壁があるディープ産駒にとって高速決着の弱さと瞬発力勝負に絶対的な武器がないと策がない。この馬自身、デビュー3戦連続の最速上がりのイメージが薄らいで相手なりの瞬発力型で評価は落ち着いている。3走前は最速上がりより0秒9も遅いメンバーNo3。前々走はNo3。低調なメンバーのはずの前走でもNo2など、仕掛けを我慢したにもかかわらず、最速上がりの称号を得られなかった事実は見逃せない。時計が速くても遅くても上がり時計が求められるのは避けられないレース。さらなる距離延長でペース次第ではどのレースでもレコード決着可能な超高速馬場となって手詰まり感が否めなくなった。
ディーマジェスティはどうか。とにかく見た目はドマイラー、血統的には兄弟にスプリンター色の強い馬も存在しているだけにサトノより長距離戦でイメージが浮かばないのも当然になる。前走もコロンと映る体型。休み明けを割り引いても極限勝負になるステイヤーで接戦できる計算もイメージもできない。ダービー1~3着馬は勝負どころから意識し合って甲乙つけがたいほど能力が接近していることがうかがえるが、三千ではさすがに血統的なモロさが出るだろう。JRA2勝の姉エルメスグリーンはダートの短~中距離馬。現役の兄セイクレットレーヴは千四~千六ベストのマイラー。現役の兄ワールドレーヴは二千四がギリギリで中距離ベター。現役の姉ホクラニミサは千四~千六ベストのマイラーなど、これだけスピード型に偏った血統で突然、淀の三千をレコード近くの時計で走り抜けるのは無理がある。ダービーよりさらなる距離延長で少なくてもプラスはない。
前走の内容は酷評していい。過去10年でワーストNo3となる平凡さ。本来、上がりレースラップはすべて11秒台で及第点だが、時計やラップ的には3年前のユールシンキング並み。直線入口先頭で後ろを確認しながら追ったにもかかわらず、坂でモタつき気味になって完全に交わしたはずの2着馬に迫られれば強調点を見出すのに苦労する。皐月賞でタイレコード勝ちした馬が、デビュー2連勝で勢いの止まったプロディガルサンと同タイムの最速上がりに距離への不安と夏を越した成長具合に不信感を抱く。
エアスピネルはトライアルだけの挑戦と思ったほど休み明けの前走でマイラー色が強く出ていた。母も3歳秋以降はマイラーとして素質開花のスピード血統。デイリー杯、朝日杯当時から走るたびに評価を落としていって、小細工の利かない限界を超えた三千まで距離が延びると同時にまったく存在感がなくなったか。前2走は直線半ばを待たずに勢い失速気味。時計が速くなってもスローで極限の瞬発力勝負になっても、大きな壁が待っている。前2走で鞍上も明らかに自信を失っているだろう。どのみち内々で直線まで仕掛けを我慢。ひたすら乱ペース、混戦を待つ。
単純な瞬発力勝負では分が悪いが、ウムブルフは意外性あるディープ産駒として評価を上げている。以前はテンションの高さがそのまま折り合い難に直結した悪癖持ちだったが、最近はレース慣れして折り合い良化がそのまま瞬発力強化につながっている。二千より距離延長で素質開花。前2走はいきなり最速上がり連発、強引なマクり競馬から圧倒した前走で改めて春当時とまるで違った爆発力の持ち主であることを印象付けた。まさにディープ産駒の急激な本格化時に大一番を迎えた絶好のタイミングというツキも味方にするか。テン乗りの連続で常にポカを覚悟だが、二千六の前走で結果を出したことは何より心強い。つい最近の本格化だが、上がり時計ベストはミッキーロケットより0秒2劣るだけでカフジプリンスには0秒2速い。
休み明けを上々の試運転でもプロディガルサンには成長が感じられなかった。前4走でスムーズな折り合いだったのは前々走ぐらい。その他のレースは完全に引っ掛かる気性の幼さ。前走の直線は自らヨレて勝ち馬と積極しそうになって戦意喪失など、いぜん完成されてないのが現状。世代ハイレベルの中でまず長丁場の折り合いが最大のテーマになるようでは策がないか。全兄リアルスティールと同じ時期の完成度を比べると明らかに低い。
超スローだろうが、外差しが利かぬ馬場だろうが、鞍上は単純な乗り方しかできないレッドエルディストに怖さはない。必要以上に徹底して控えて離れた後方待機が定位置。追い込み馬にとって3角過ぎの仕掛けがご法度の京都で決め打ちの乗り方では八方ふさがりだろう。馬場、レース特性、鞍上は最悪に近いフィーリングの悪さ。前走も4角ブン回して残り100で息切れ。ダービーでは残り1ハロンでピタッと勢いが止まったように、長続きしない脚に特徴があることがはっきりしている。それでも同じ乗り方に徹する工夫のなさ。距離適性の高さより鞍上が足を引っ張るマイナス面の方が大きいことは目に見えている。単純な上がり時計比較でメンバーNo10。
不気味なのがカフジプリンスだ。前走は直線入口から残り1ハロンまで半分あきらめた不可解な追い方。そこから手応えを感じたのか、追い出し始めてエンジン全開の伸び。ゴール後に4着馬を交わした瞬発力はまともならもっと際どかったことは言うまでもない。いずれにしても徹底した二千二以上に照準のローテーションでスタミナには自信。母も兄も地方交流重賞3着のダート血統から異色の菊花賞挑戦だが、500万⇒1000万連勝で前々走は1600万を飛び越えたオープン挑戦にもかかわらず、最速上がりに素質の高さがうかがえた。上がり時計比較ではメンバーNo14。
母ヒカリアモーレはフィリーズR4着、忘れな草賞3着など芝で好走実績はあるが、JRA2勝は千七、千八のダート。姉グランデアモーレは芝、ダートを問わず千四~千八でJRA4勝。それでもシュペルミエールは徹底した二千以上を照準で通算(313000)にステイヤーとしての素質の高さを感じさせる。さらに5走前以外はすべて最速上がりだから恐れ入るだろう。二千四で上がり33秒0の経験は仮想スローの菊花賞としてまさに理想的。
アグネスフォルテはシュペルと真逆な展開で大駆け可能になる。とにかく平均ペースで逃げまくること。どのみち失うものは何もない立場。これまでなぜか番手競馬にこだわって1度も逃げてない先行馬という珍しいタイプ。相手のリズムに合わせてレッドエルディスト、スマートオーディンの2着ならば、自分のリズムで走れた際の大駆けがあっても驚かない。3走前に千六を使ったレインボーラインが時計か、上がり時計か、または両方で極限の数字を求められる三千となって常識的に無理。体型的にマイラー色が強いマウントロブソンもひと叩きで変わり身を求めるには厳しい。 |