３、８⇒３、８⇔２、９、10　(12点)

ヴァナヘイムは前走で案の定、取りこぼした。デビュー戦の持ったまま快勝は数字的には泥仕合のような低レベル。サラブレットにも近年アスリート化が進む中で楽して勝とうとすることは改めて無意味なことを示しただろう。加速ラップになったとはいえ、上がりレースラップに11秒台が含まれてない数字で、前走のレース前から瞬発力勝負となった際に懸念されていたこと。鞍上はじっくり構えて４角で射程圏に入ったつもりが、追い切りでも実戦でも一杯に追ったことのない馬では、イメージより切れなくても当然と思える結果になっただけ。平凡な数字が並んだ前々走は追い切り程度の内容として割り切って、前走がデビュー戦のような扱いにしても劇的な変わり身は望めないのが現実か。前走は最速上がりでも、メンバーＮｏ２だった勝ち馬よりわずか０秒１上回った程度。少なくても瞬発力勝負に強いというイメージは薄いだ。

中心はカデナでいい。経験と中身が伴った前３走はまさに理想的だ。大事に使われている理想的なステップで３戦連続の最速上がり。走るたびに充実、成長がうかがえる内容は、まさにエリートのディープ産駒特有の成長曲線を描いている。デビュー戦は残り300でラチ沿いを狙うもごちゃついて行き場を失くした展開のアヤという取りこぼし。前々走は２着の勝ちパターンをケタ違いの瞬発力で奪い取ったという横綱相撲だったが、前走は直線で何度も窮屈になるロスがあっての０秒１差。実質残り300だけ追っただけで最速上がりに価値を見出せるだろう。ロスもミスもなく、思い通りの立ち回りとなった前々走は、減速なしの上がりレースラップで３着馬に０秒８差。何より上がり時計Ｎｏ２より０秒６、Ｎｏ３より１秒も速かった上がり時計に強烈なインパクトを残している。パンパンでもパワーが求められる馬場でも対応できるオールラウンダー。すでに他馬よりひとつ、ふたつ以上も上のステージへ到達しているか。

父エンパイアメーカーをアメリカに送り返したと同時に仔が走り出すという皮肉さ。プラチナヴォイスはまさにその代表産駒だろう。デビュー２戦と前２走がまったく別馬のような快進撃。以前は乗り方が悪かったのか、単なる本格化以前の姿だったのか。母母はディープインパクトより３歳上の異父姉という超良血馬が、前々走のレコード勝ちで完全に目覚めている。前々走は残り300で窮屈になりながら、メンバーＮｏ２より０秒９、Ｎｏ３より１秒４も速い最速上がりでレコード勝ち。まさにディープ並みの瞬発力で走るたびに驚かせている。前走もヴァナはジワーだが、こちらはギュンという表現がしっくり。少なくてもヴァナに負けることはない。