2⇒8⇔11、15、9、6、5、14、4 (14点)
すんなりハナ切られるとそのまま残る。スローになるのがわかっていても、ほぼ抵抗することもなく、レース前の予想どおりの前残り。特に近年のGⅠで"スローペース依存症"がますます強まっている。先週のジャパンCはまさに傾向どおり。前年と比較すると5ハロン通過が2秒4も遅いにもかかわらず、上がり時計は過去10年でワーストNo4に低調さがうかがえるだろう。タップダンスシチー以来の逃げ切り勝ちでもタップは重馬場で5ハロン61秒9。今年は良馬場で61秒7なら逃げ切り当然と改めて逃げ馬有利の流れだったことが示された。
絶妙なラップを刻んだというより、キタサンをマークする側に問題があった。ゴールドアクターが勝ち負けにこだわるなら、キタサンに鈴をつけに行かなければならないが、ゴールドの鞍上にそんな度胸も技量もあるわけがない。ワンアンドオンリーが玉砕覚悟で競りかけても納得できたが、意外なほど消極策。まさかキタサンが4角まで単騎逃げの予想はできなかった。各馬少なからずチャンスのあるレースとなって賞金3億に目がくらんでスローで隊列は縦長になったのか。いずれにしても今週もレース前からはっきりした隊列でアウォーディーにとって怖いものなし。青写真どおりのレース運びで鞍上は2週連続のGⅠ制覇がみえてきた。
アウォーディーに死角なし。完全に鞍上は馬の特性を理解して無敵に近い状態となっている。GⅠ級の馬を平気でへぐる鞍上から乗り替わってから別馬のような変身ぶり。重賞5連勝を含んだ6連勝より、4角ひとマクりに固めながら、6戦連続の最速上がりに驚く。単なる逃げ先行馬でなく、とにかく見た目以上の瞬発力、爆発力で他馬を圧倒。直線の追い比べで気を抜くような悪癖が見え隠れしながら、終わってみれば圧勝劇がこの馬の特長。並ばれてひと伸びの繰り返しで着差以上の能力差を感じさせて連勝が続いている。斤量が2キロ重いモーニンに接戦の前々走が唯一の危うい勝利だったが、直線の追い比べで交わしたと同時に気を抜くような仕草が出た事実。直線入口先頭からそのまま押し切った前走でその悪癖が出なければ、休み明けが少なからず影響したと割り切れる。いずれにしてもモンドクラッセの逃げにコパノリッキーが番手。その直後にこの馬が併走。コパノと位置取りが逆になる可能性はあるが、ほぼこの隊列どおりなら4角先頭のひとマクりで前走の再現が濃厚だ。
ゴールドドリームの前日2番人気は意外だった。ジャパンDダービーで完敗から一線級相手に通用するまでの期間が短すぎるだろう。前走は重賞2戦目で初の掲示板確保したカフジプリンスが3着にこれるようなレースレベル。時計は速くても中身そのものにそれほどの価値を見出せない。今年の夏に大井で追走から微妙な手応えとなって2分6秒台でもがいていた馬が、交流重賞で勝ちまくっている王者に通用する根拠が見当たらない。
前日3番人気のノンコノユメも同じような感触。セン馬になって以前より鋭さに陰りが見え隠れているイメージが強い。前走は完全にこの馬向きの流れ。残り5ハロンから一気に加速して最後のラップは連続の13秒台だったが、3角過ぎのマクり合いから動いて残り100で完全に止まっている。もとより千六(411100)に良績集中でマイラー色が強まったか。いずれにしても昨年は超ハイペースで届いたが、今年アウォーディーが残るような流れでは正直厳しい。
GⅠを8勝でもこのレースは過去2回連続の惨敗。前走の川崎も同じだが、前日4番人気のコパノリッキーはスタートしてすぐのコーナー周りのコースに苦手意識がある可能性。ハナを切ることをあきらめて先行抜け出しで完成形を目指しているとしても、どこか不完全燃焼で終わっていることからもスタート直後の折り合いが重要になる。いずれにしても乗り替わりで新鮮味が出てきたことは間違いない。逃げなくても先行でも4角先頭の横並びで強気の乗り方が基本的な好走パターン。アウォーディーをマンマークより、先手を取って先に動くような乗り方で大駆け可能な計算が成り立つか。
前日5番人気のモーニンも取捨に迷う。59キロを背負った前走は文字通りの叩き台としても、前々走の負け方がどうにも解せない。確かに斤量と初距離を意識した乗り方で勝ち馬より2キロ増の斤量で同タイム2着は数字的に立派だが、どうにも逆転のイメージが浮かばないのが本音。直線の追い比べで相手はソラのような仕草が出てたにもかかわらず、踏ん張り切れなかったこと。相手は千八のスペシャリストに対してこの馬は千八(010000)でまだキャリア1戦など、瞬発力も距離実績も劣れば強気になれないのも当然だろう。チャレンジャーの立場で鞍上の秘策待ち。
アウォーディーの相手はサウンドトゥルー。最近は地方交流専門になったが、JRA馬場に戻った時は勝負になると確信している。帝王賞勝ちも含まれた重賞馬だが、この馬の本質は時計勝負に強いこと。地方のパワー重視のサバイバルレースより、とにかく時計の速い決着で良績を残している。昨年のこのレースは勝ち馬との差は鞍上。うまく立ち回った相手に対して、知恵も工夫も技量も求められないという最後方からの大外ブン回しでロスありの外出し。勝ち馬より0秒8も速い上がり時計で届かなかったことが決定的な証拠。逆に考えれば最悪な乗り方でも3着死守がこの馬の底力で、ごく普通に乗るだけで勝ち負け可能になるということ。前走のゴール直前で1、2着馬より脚色は上だった。 |