9⇒11、6、2、7 (12点)
11、6、2、7⇒11、6、2、7⇒
11、6、2、7、5 (36点)
71年のトウメイ制覇から牝馬の勝利は遠ざかっていたが、08年ダイワスカーレットの37年ぶり牝馬制覇で流れが変わった。14年に勝ったジェンティルドンナはもちろん、出走の割合からすれば牝馬上位が目立ってきた。
40~31年前は馬券に絡んだ牝馬皆無。
30~21年前
94年2着ヒシアマゾン
97年3着エアグルーヴ
20~11年前
01年3着トゥザヴィクトリー
07年2着ダイワスカーレット
08年1着ダイワスカーレット
10~1年前
09年2着ブエナビスタ
10年2着ブエナビスタ
14年1着ジェンティルドンナ
17年2着クイーズリング
歴史に残るほどの実績を残してきたヒシ、エア、ダイワ、ブエナ、ジェンティルなどは納得できるが、17年クイーンズの激走には正直驚いた。女性が自立、活躍してきた人間社会と同じく、競馬界でも昔と比べるど段違いの活躍をしていることがうかがえる。いずれにしても今年は牝馬中心の組み立てでいい。
持っている数字ははるか異次元レベル。アーモンドアイは雨予報がなければ未知なる中山にも何の不安も不満もなかった。直接対戦はなくてもJRA馬とはすでに勝負付けは済んでいると断言できるほど抜けた数字を誇る。メンバー云々ではなく、歴史的な名馬と比較できる馬。母フサイチパンドラの遺伝力を改めて認識させた。
逆に父からの遺伝には不安要素しかない。これがアーモンドの見え隠れする弱点とも言えるだろう。ディープ産駒の牡馬が古馬になって二千以上で苦戦を強いられる中、牝馬のジェンティルドンナが二千以上で無双状態と同じような流れ。とにかくカナロア産駒は二千限界となる限定スタミナがほぼ多数を占める中、この馬だけは別格の実績を残してきた。いつ距離の壁が訪れるのかを見極めるのは難しいが、今回がそのパターンであっても不思議はない。
最近になってようやくグランデマーレなど二千勝ちも増えてきたが、それでも古馬オープン以上で二千以上を勝ったのは3世代となった今でもアーモンド1頭のみ。2、3歳の世代限定レースに掘り下げてもサートゥルナーリアのみになっている。間違いなく、カナロア産駒は長距離不向きのスピード型。能力の違いで二千以上で無双状態は続いているが、パワーを求められる=スタミナを求められる馬場となって真価が問われるだろう。
じっくり乗って手探りだったデビュー戦と稍重のシンザン記念、さらに不滅の記録をにおわせたジャパンCで上がりが34秒台だっだけで、その他は常に上がり33秒台以下の切れ切れ瞬発力で圧倒してきた。負けたとはいえ、スタート直後の不利がなければごく普通に突き抜けた前々走でも勝ち馬より0秒5も速い最速上がり。明日は昼過ぎから雨予報。どうやら悪化しても稍重までだが、アーモンドにとって良か、稍重かは両極端な結果も覚悟しなければならない境界線だろう。少なくても最大の武器である瞬発力が少しでも殺されるような馬場になれば、これまでのようなイメージがしにくくなる。
一番の不安点は馬場よりもスローになりやすい有馬記念特有の流れ。陣営がなぜあれだけ有馬記念を避けようとしていたのもある意味納得できる。香港行きが頓挫して結局渋々使うことになった経緯も忘れてはならない。
以前は置かれるだけ置かれて直線勝負が好走パターンも前走でその不器用さを払拭。あれだけ積極的な位置取りで立ち回れば、中山に不安はなくなるはずだか、早々に香港行きを決定したことにこの馬の本質が中山向きでないことの裏付けでもあるか。
ジャパンCからドバイターフでマイナス600メートル。一気の距離短縮の際で引っ掛かって一瞬ひやりとさせた折り合い難を露呈。今回は一気の500メートルの距離延長。スタート直後に即ペースが落ち着きやすい中山二千五というコース形態に折り合う姿と掛かる姿が同時に浮かび上がる。
いくら無敵のアーモンドとはいえ、確実に距離の限界は二千四~三千の間に確実にあるカナロア産駒。ドバイでみせた折り合い難を再発させれば少なくても楽勝できるメンバーではない。本来のパフォーマンスが完全不発になる可能性もゼロではない。最大の焦点は前々走で千六を使ったこと。長距離を使う上でプラスにならない前2走以内のスピード競馬の経験。マイナスに作用することはあってもプラスに作用することはない。
数々のデータを打ち破ってきたアーモンドにとって無意味かもしれないが、勝ち馬に限れば過去30年で前2走のどちらか千六を使って勝った馬はたった1頭。ブービー人気で横綱相撲だった91年ダイユウサクのみ。前2走いずれも千六で当時の有馬記念レコードを更新した。
有馬記念2、3着に千六を使った馬を広げてみても、
92年3着ナイスネイチャ
06、07年いずれも3着ダイワメジャー
10年3着トゥザグローリー
もとよりスタミナ不安の血統、雨量によって致命傷になる雨予報、香港回避からのスクランブル出走。過去30年でわずか4頭のみ該当する異端ローテなど数々のマイナス材料が加わるとさすがの無敵女王でも自信が揺らいでくる。圧勝か、惨敗かの両極端な結果を覚悟ならば大胆な穴狙いも悪くない。
アーモンド以外はどんぐりの背比べ。ここからは有馬記念傾向を重視で見定めたい。
賞金が何年かに1度1000万程度賞金アップしていた頃とはまるで違う各陣営の力の入れよう。5000万円近くアップした00年頃から傾向が変わりつつある。
一番強い傾向は・・・・
"ジャパンCで燃え尽きるような激走して勝った馬は有馬記念で失速"。
00年からジャパンCと有馬記念を連勝した馬は
03年ゼンノロブロイ、
04年ディープインパクトの2頭だけ。
10年以上も現れてないことからも体調維持の難しさ、馬のアスリート化、秋冬は有馬記念だけをピークに持っていく執着する陣営など数々の要因が重なった結果が"1戦必殺"を物語っている。
逆に言えば前走で負けて盲点になった馬が数多く存在するということ。
過去10年に絞ると
09年1着ドリームジャーニー(2番人気)
前々走オールカマー1番人気2着⇒前走天皇賞4番人気6着
10年1着ヴィクトワールピサ(2番人気)
前々走凱旋門7着⇒前走ジャパンC8番人気3着
14年1着ジェンティルドンナ(4番人気)
前々走天皇賞秋2番人気2着⇒前走ジャパンC1番人気4着
15年ゴールドアクター(8番人気)
前々走1600万1着⇒前走アルゼンチン共和国杯1番人気1着
17年キタサンブラック(1番人気)
前々走天皇賞秋1番人気1着⇒前走ジャパンC1番人気3着
18年1着ブラストワンピース(3番人気)
前々走新潟記念1番人気1着⇒前走菊花賞1番人気4着
11年オルフェーヴル、12年ゴールドシップ、16年サトノダイヤモンドは菊花賞からの連勝で3歳馬の勢いそのもの。13年オルフェは凱旋門賞2着からの復活劇などからも最近は3つのパターンに絞られる。
1・急激な成長力を味方にした3歳馬や上がり馬。
2・外国競馬照準からJRAへ矛先を変えて立ち直り
3・天皇賞秋やジャパンC凡走からの立ち直り
1・ワールドプレミア、リスグラシュー、スワーヴリチャード
2・キセキ、フィエールマン
3・シュヴァルグラン
アーモンドアイを含めてこの7頭に絞りたい。
当初は昼過ぎからだったが、レース前後に振り出す雨予報に変わった。騎手の心情から一番の恩恵を受けるのが逃げ馬だろう。フランスの馬場は走る前から合わないことはわかっていた。前2走の敗戦は単なる"旅行"として割り切れるキセキの変わり身はどうか。昨年は2番人気になる確かな裏付け。毎日王冠、天皇賞秋、ジャパンCと3戦連続で例年の勝ち時計レベルまでの時計を連発。重賞わずか1勝だけでもどんな相手にも大きく崩れず、常に完全燃焼する逃げ馬は時計的な裏付けが十分だった。3戦連続の58キロ以上から比べると裸同然の今回57キロ、先行馬有利の中山二千五など自分のスタイルに持ち込めばまだまだもうひと花がある。スローなら番手もOK。
リスグラシューは人が替わって馬が変わった典型的な例。今まで名手配置でもあれだけ仕掛けのタイミングに苦労してきた馬と思えないほど前2走は強い内容だった。前々走はいつもよりかなり積極的な立ち回りでも終わってみれば最速上がり。十分な手応えで2着馬を終始意識しながら立ち回って早めの先頭から楽に振り切った。前走は先頭からかなり離れた道中だったが、大マクりから直線一気を見事に決めている。海外激走の反動があっても驚かないが、国内と海外GⅠを連勝したコンビの最終章には怖さしかない。
同じく馬が変わったのがスワーヴリチャードだ。置かれるのが当たり前のズブさでも、外国人騎手に乗り替わりで一変するということ。スタート直後から押して押して前を取りに行ってラチ沿いの絶好位キープ。多少仕掛けたために道中は行きたがる仕草が出てこのパフォーマンス。直線では強引に抜け出そうとするもフタをされて仕方なしにラチ沿いにコース変更。そこからスルスルと抜け出してメンバーNo2の上がり時計は今までにないイメージの勝ちっぷりだった。最後2着馬に盛り返されたことを除けば完璧に近いレースぶり。再び同じコンビで絶好枠。GⅠ2勝馬の底力でもう一段階のギアチェンジがあっていい。
ワールドプレミアは騎手ではなく、馬自身で変身してきた。春当時は勝負どころで置かれるのが当たり前だった反応の鈍い馬が京都のトリッキーなコースで手応え十分の立ち回り。春の大事なクラシック時期を休養にあてたのが奏功して見事なV字回復、成長を遂げた。前々走は勝ち馬と同じ最速上がりで極限の瞬発力勝負にメド。前走で豊富なスタミナを決定づければ、もはや死角らしい死角はないということ。初の関東遠征でいつもチャカつく気性にどのような変化が生まれるかがカギとなる。パドックでいつもテンションは高いが実戦ではまったく問題ない。ひたすら雨を待つ。
身内、陣営は過度に期待しても、第三者からみればフィエールマンの海外遠征は当然の結果だった。ディープ産駒が凱旋門賞で輝くにはJRAGⅠを馬なりで勝てる父並みの能力が必要なことは誰もが感じていること。何しに遠征したのかと思うぐらいに長い直線を待たずして脱落した惨敗は馬場適性の低さを示している。鞍上もわかっていたようにレースを早々にあきらめて最小限のダメージに抑えたことが唯一の救いだった。
いずれにしても瞬発力勝負にまったく裏付けのない特殊なディープ産駒。33秒台がわずか1度だけの経験。スローの瞬発力勝負になりやすいこのレースは本質的に合ってないが、これだけ行くしかない馬と行きたい馬が揃って例年のようなスローにならないことを願うだけ。雨が降って流れが速くなった際だけにわずかな光がみえてくる。とにかく菊花賞のようにどれだけ内々で我慢できるかが勝負の分かれ目。
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