ディラクエは負けることが許されない相手にとりこぼした。鞍上の過信、慢心と思える騎乗ぶり。スタート直後から控えることは納得できるが、向正での位置取りはあまりにも後方すぎた。どの馬をマークすればあの位置取りなのか。ほとんどの人気馬ははるか前方、直前で追走していたディアヤマトが最悪の行きっぷりならば、相手はどう考えても前々の先行馬だろう。後ろから差されることはありえない前走の勝ちっぷりから、消極的すぎた乗り方がすべての敗因になっている。どうやら鞍上は京浜盃と同じような馬場をイメージか。当時とはまったく違って時計勝負が連発している高速馬場。馬場が軽くなっていることを理解してなかった。恥の上塗りになったレース後の"思ったほど伸びなかった"というコメントが決定的だろう。最速上がりの37秒6は破格の破壊力。それでも届かなかったのは反応が悪かったのでなく、前が止まらなかっただけだった。三冠候補が負けたこともショックだったが、それ以上に川崎リーディング争いをしている騎手がこの程度のレベルとは残念。ごく普通に乗れば再び圧勝可能な能力比較でも、常に鞍上不安は消えない。
ニックバニヤンは渾身の先行策から大金星となった。ディラクエを負かすには誰もが考える前残り。相手のポカがあったとしても、NO2の上がり時計から1分52秒8でフロックということは考えにくい。距離延びて大きな壁に当たっていた先行馬が突然の変身は正直驚いたが、デビュー3連勝は逃げ差し自在に動いて好時計を連発していたレースセンス。ひとつのきっかけで大化けしても不思議ではなかったと納得したい。鞍上はダービー未勝利。今年52歳から執念の一戦になるか。経験豊富な鞍上の差でマジックを期待する。
ディラクエとの勝負付けは済んでいるとしても、ロイヤルマコトクンの充実は侮れない。短距離馬としてイメージが強かったスピード馬が千七、千八にメドを立てる連続3着。デビュー当初から高いレベルで時計も安定すれば、さらに距離延びても評価が落ちることはない。逃げにこだわなくなった自在性を強調する。
コラボスフィーダは前走0秒6差でイメージが変わってきた。見るからにパワー型のマイラー体型だが、高速馬場を割り引いても1分53秒4は高い評価。掛かり気味になった前走からどう折り合うかが焦点になる。今度は積極的のディラクエ、目標になりやすいニックバニヤン、ロイヤルマコトクン。新星ギャンブルオンミー、ジャイアンツゲットなど先行型に人気馬が集まれば、後方待機で直線勝負でも面白い。いずれにしても流れに応じて折り合える強みは大きい。
最悪の行きっぷりとなった前走は向正で終わっていたディアヤマト。北海道2歳優駿でディラクエに0秒3差。続く兵庫グランプリを勝って全日本2歳優駿4着からも、千八以上になると時計勝負には限界が近づいたということだろう。馬体的にも二千で強気なれないマイラー体型。さらにハードルが高くなった。
モエレラッキーはハナが絶対条件の逃げ馬で、距離も千六が限界。はっきり千七に距離の壁を感じさせる実績ならば、スタミナが求められるサバイバルレースで入着ラインも厳しい。強調材料がない。
ギャンブルオンミーの飛躍は鞍上の好プレーが光る。京成盃では置かれるだけ置かれていたズブさだったが、前走は逃げ馬を大名マークの番手競馬で好時計勝ちしている。再び鞍上に内田博騎手。一気に素質開花した上がり馬はディラクエに1秒5差だった3走前より確実に差は詰まっている。意外性は十分。
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