統一グレードの世代交代がこのレースで始まる。まさに現役最強世代の登場。破格の時計を連発してきたJRA勢はとにかくレベルが高い。今年暮れにはほぼ交流戦を制覇できるほどの計算ができる強さと層の厚さ。南関東勢、他地区勢に太刀打ちできるイメージがまったく浮かんでこない。
サクセスブロッケンはダートの強さがケタ違い。レコード勝ちを含めたデビュー4連勝は紛れもなく重賞レベル。色気が出てしまった前走は余計だが、良馬場の二千四百になると体型、走法から走る前にある程度、惨敗結果は予想できた。あくまで芝は基準外。デビュー戦でレコード勝ち、続く2戦目で同日の1000万を0秒8も上回る好時計、3走前は同日のフェブラリーS8着に相当する時計でメイショウトウコンと同タイムが、文句なしにダート王として位置づけられた。前々走は再び同日の1000万を問題にしなかった時計も当然といえるだろう。3歳春としてはまさに出色の時計で、ここは待ちに待った統一グレード。死角があるとすれば血統的な距離不安に絞られている。母サクセスビューティはGUフィリーズレヴュー勝ちの重賞ホルダーだが、距離は千四までの短距離馬。前々走は押え切れない手応えで、レースぶりからもはっきり距離に限界が近いことを示している。鞍上の性格から確実に3角すぎから早めのスパート。大井外二千では一歩間違えば致命傷の仕掛けになることもあるか。前走が限界ギリギリの仕上げで今回が初ナイター。まずは落ち着いていることが前提になる。
ユキチャンは平凡なダート勝ちが初勝利、2勝目も時計に強調点がない芝の勝利だった。前々走で見せ場もなく終わって前走は評価を下げたが、古馬相手でも通用するような快時計が本格化の証となった。全兄ホワイトベッセルもダート3勝の砂巧者で、もとより砂は走る血統。ブリンカー着用という些細なきっかけによって集中力が一変して能力を引き出した。早めのスパートから後続をち切った内容に明るい未来がみえている。若さは同居しているが、まだまだ底のみえない上がり馬。白毛、鞍上から実力以上に人気を集めるのは納得すべきだろう。牡馬相手の重賞でも通用する手応えを得れば軽視はできない。
イイデケンシンも例年ならば中心馬になっている存在。デビューから4戦は徹底した芝路線だったが、京王杯の惨敗で路線変更が奏功した。ダート巧者が揃った4走前は9番人気で逃げ切り勝ち。とりわけ3走前の全日本2歳優駿はディラクエ、レインボーペガサス相手を振り切っている。同日のB2交流を2歳暮れの時点で上回れば本物の強さ。前走もラチとの間に1頭、馬がいる変則的な逃げの形になったことがすべてだった。それでも手応えほど大バテしなかったことは大きな自信。競った相手が大差の9着ならば収穫のある一戦であることは間違いない。わずか3ヶ月のローテーションは気になるが、母の弟にパーソナルラッシュの血統で底力を期待。
スマートファルコンが再びダート路線で色気が出る。2歳暮れにはレコード勝ちしたレインボーペガサスのレースで3着馬ラッシュストリート、ナンヨーリバーに先着実績のあるアバレダイコを最速上がりで差し切っている砂巧者。前3走は芝というより展開負けがすべて。3走前は4着馬に0秒5差、前々走はディープスカイに0秒8差を強調したい。イイデ、サクセス、ナンヨーが揃って願ってもないハイペース。じっくり折り合える外コースを加味すれば大駆けがあっても驚かない。
ナンヨーリバーは芝→ダートで能力を引き出した。ダート初戦になった4走前は、前半11秒台を連発する差し追い込み有利の流れで4着。その後の3連勝が本来の姿で、ユニコーンS勝ちのユビキタスを一蹴した前々走で重賞に届く能力を示している。相手に恵まれた前走はある意味当然の結果。同型イイデで展開不利、父スキャンで距離不安。どうにも正攻法では分が悪くなるが、JRA移籍後の鞍上はますます勝負強くなっている印象。常識にかからない鞍上頼りで一発を警戒。
南関東勢の中ではモエレラッキーくらいか。昨年と比較すればレベルの低さが改めてわかる。昨年ダービーは前半61秒0のペースで2分5秒0、今年は61秒2で2分6秒5。馬場差はほぼ同じか、むしろ今年の方が速い状態で1秒5差は決定的なレベルの違い。前々で唯一粘ったのがモエレならば、勝ち馬よりも評価はできる。それでも二千がベストとはいえない馬に近年にない強さを誇るJRA勢では入着狙いが常識か。
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