6⇔8、15⇒8、15、13、9 (12点)
結論から言えばルージュバックは手を出しづらい。前3走がすでに記憶や歴史に残るレースぶりだったとしてもだ。デビュー戦はムチ1発で後方一気の差し切り、前々走はムチなしでしごくだけのレコード勝ち。前走はムチ2発だけで突き抜けた。とにかく能力そのものに疑いの余地はなく、すでに何年かに1頭の大物として評価ができる。将来的にはGⅠをいくつか勝てるイメージが浮かぶほど同世代では牡馬を含めてもズバ抜けている。それでも厳しいレースを1度も経験しないで、ローテーションもイレギュラーからいきなりの頂上決戦では圧勝があっても惨敗があっても驚かないということ。
千八⇒二千⇒千八、これまで1度も馬群にモマれたことのない楽な競馬で勝ち上がっているレースぶりも不安材料のひとつ。前走も相手の次走凡走で一気にトーンダウンしている。2着ポルトドートウィユは皐月賞出走権獲得に失敗、3着アッシュゴールドは毎日杯しんがり負けで人気先行馬の本性が暴かれた。4着グリュイエールは2着馬に0秒2差、上がりが同タイムでほぼポルトと同等の評価。そのグリュイは次走手薄な毎日杯4着でポルト以下のレベルの低さが決定的になっている。ポルト、アッシュは次走京都新聞杯を予定だが、いずれも勝ち上がる姿が浮かばなくなっているのが現実ならば、ルージュが本気になったしらさぎ賞のレースレベルそのものも疑いたくなる。
デビューから5ハロン通過が68秒7、60秒9、61秒6。59秒どころか、60秒も切ったことのないレース経験の未熟さで初の千六がGⅠではあまりに無謀。はっきりした距離適性もわからないまま。好位差しか、追いこみに徹するか、自分のスタイルもはっきり固まらないままの挑戦ならば、単あって連なしタイプとして割り切るべきだろう。
ひと昔前ほど桜花賞の価値が下がって桜花賞をスキップする馬も珍しくないが、距離も間隔も邪道路線はある意味大博打。やはり少なくても前2走で一戦ずつの距離延長か、王道のトライアルを叩いてのステップか、どちらかがはまれば悩むことはなかった。少ないキャリア(消耗)からクラシックを挑むなど昭和または平成初期までの話で、いまや休み明け3戦を全力で走っても耐えられるアスリート体質の馬が栄冠を手に入れているのが現実。レース後には陣営への賞賛か、非難か。来年以降の新しい道しるべになるか、反面教師になるか。色々な意味で楽しみな一戦になる。
仕事人の鞍上らしい見事な乗り方でココロノアイは休み明けの前走を快勝した。好位の外を虎視眈眈。直線追い比べで一瞬にして先頭に立って残り1ハロンで勝負を決めたレース内容は着差以上の強さ。千六での上がり時計はメンバーNo1。休み明けらしい10キロ増の馬体がそのままパワー、スピード、鋭さアップにつながれば、打倒ルージュ筆頭として十分すぎる実績かつ充実ぶり。
レッツゴードンキの前走は完全に引っ掛かって3角過ぎにハナに立つ誤算。すべての馬の目標になって最後は追い負けたが、トライアルとしては数々の収穫を得ただろう。"魔の桜花賞ペース"は今や死語。ハナにこだわる馬も不在ならば、前走並みのスローを覚悟で徹底待機はどの馬も避けたい分の悪さ。前走がいい経験と刺激になる。GⅠでの勝負強さは現役最強レベルの鞍上配置。乗り方ひとつで生まれ変われる。
アンドリエッテの前走は3角過ぎに内ラチに接触するアクシデントがあったが、まったく問題なかった立ち回りに精神面の強さが表れている。さらに正味直線だけで最速上がりがこの馬の凄さだろう。唯一の不安材料は時計勝負に確かな裏付けがないこと。すでに矯正不可能の置かれるズブさにもかかわらず、ごく標準レベルの上がり時計でこれまでの実績では計算上、勝ち負けまでに届かない。どのみちペース無視の徹底待機。ひたすら混戦を待つだけ。
クイーンズリングもルージュに負けぬ距離選択の悪さだろう。デビュー千八から徐々に距離を縮めるというイレギュラーなローテーション。結果が出れば何も言うことないが、失敗すれば陣営の手腕に疑問が残ることも否めない。すでに前走で歯車が狂い始めている。厩舎初の重賞勝ちへのプレッシャーという20キロ減。数字ほど細くなかったが、ダメージが残っても驚かない不安定な状態であることは間違いない。レースぶりは豪快そのもので、前々走は直線入口早くも先頭に立って残り100から流し始める横綱相撲。前走は4角前にムチを入れて再び最後流す楽勝。王道ローテーションならば主役としての扱いもできたほどインパクトがある勝ちっぷりだけに微妙な仕上がりを重視か、底知れぬ能力を信頼か。馬体重で取捨が決まる。 |