7、6⇔7、6、12、10、13⇒
7、6、12、10、13、4、9、8 (72点)
7、6-7、6、12、10-
12、10、13、4、9、8 (24点)
ジャパンCの結果をみて有馬記念が波乱含みになることが自然な流れだろう。過去10年で時計はNo6にもかかわらず、上がり時計はブービー。破格のレコード決着になった年を唯一上回っただけ。昨年より時計で1秒6も下回ったにもかかわらず、上がりが0秒1劣ったことに今年のジャパンCの低いレースレベルが示されている。
レースの上がり時計が35秒台だったのが最近ではウオッカの勝った09年と昨年のエピファネイアが勝った昨年だけ。09年はレコード決着に近い2分22秒4、昨年は2分23秒1と比較しても今年の勝ち時計2分24秒7、上がり35秒台はどうにも強調点が浮かばない。
最近の有馬記念はとにかく瞬発力。同日1000万より勝ち時計が劣ることも驚かなくなるほど各馬が引っ張り込んで終い勝負に賭けている。4年前のオルフェーヴルが勝った11年の有馬記念が象徴的。同日1000万より2秒7も遅い勝ち時計はある意味、衝撃だった。前半超スローの流れから後半は一変残り8ハロンから2ハロンまで加速ラップ。結局減速なしのラップになるという極限の瞬発力勝負で超ハイレベルとなっている。昨年も上がり3ハロンはすべて11秒台。今年もどう考えても流れが速くならないメンバーが揃えば、瞬発力を大きな判断材料として取捨選択するのが妥当だ。
まずは脱落組から。前走のジャパンCで特性が明白になったがラブリーデイだった。時計が速すぎていい脚一瞬だけの可能性もあった天皇賞秋だったが、同じようなレース内容の前走ではっきりした。どうやら直線坂コースに苦手意識。前2走はいずれも直線入口で圧勝も浮かぶ手応えの良さにもかかわらず、ゴール直前では完全に勢いが失われていた。前々走こそ凌げたが、前走は残り300まで持ったままという完全なる勝ちパターン。仕掛けを我慢して追い始めたが、残り100でピタッと止まったことで極限の瞬発力勝負になるほど厳しいレースが待っているだろう。直線平坦コースで弾ける末脚は中山の急坂でもがいても何ら驚かない。距離に確かな裏付けがなく、コース適性も微妙となれば、人気になって狙うほどの妙味はない。
キタサンブラックは数字にはっきりと瞬発力勝負に不適と表れている。単純な上がり時計比較ではメンバーNo16という平凡な瞬発力に強さというよりレースの上手さで勝ち上がってきたということが表れている。前走も二流騎手が向正からマクり始めるという菊花賞の御法度を犯した中、内々で直線までじっくり我慢できたことが奏功。まったくロスなく直線ラチ沿いからスルスル抜け出した内容が強さよりも上手さという象徴的なレースだった。瞬発力を求められる条件で古馬相手に太刀打ちできる姿はますますイメージできなくなっている。ひとまず経験レベル。
ゴールドシップは両極端な可能性を秘めているが、前走の馬体をみて復活のイメージができなくなったのが本音。可もなく不可もなくがこの馬らしさだったのが、かなりコンパクトに映る馬体にがっかり。ジャパンC凡走で有馬記念狙いたかった青写真が大きく崩れた瞬間でもあった。
前走は鞍上特有のかなりふざけた乗り方だったことは間違いない。4角前からマクり気味に動いたが、結局残り300で早くもあきらめて追うのを止めるという鞍上らしい捨てレースとしても、上がりメンバーNo12に衰えが見え隠れしている。海外遠征で現役生活を短くした典型的な一例。これまで11度の最速上がりという切れ者がこの1年、上がり35秒5で最速となった阪神大賞典が目立つ程度の瞬発力まで落ちぶれるともう策はない。外からマクるしかない単調な追い込み馬が昨年以上の結果を求めるには、ジャパンC同様に時計も上がりもかかる泥試合になるのをひたすら待つのみ。
乗り替わりで本命にジャパンC推したラストインパクトは再び鞍上を戻して魅力がなくなった。とにかくGⅠに参加する技量があるかどうかも疑問になるほど鞍上は未熟。内枠を引けば昨年のように直線内で行き場を失って捌けない姿が簡単にイメージできる。
まったく鞍上の成長がないことが天皇賞秋の騎乗ぶりに表れている。乗り慣れている馬にもかかわらず、2角で突然斜行してラチに豪快にぶつけてリズムを完全に崩した。乗り替わりでジャパンC2着馬までのし上がったことで改めて鞍上のレベル差が如実に示されれば狙い目なし。
瞬発力勝負に弱さがあるラブリー、キタサン。衰え懸念のGシップ。鞍上から論外のラストは数字的に外せたが、牝馬2頭は取捨に悩む。キャリア不足で良くも悪くもはっきりした数字の揃ってないルージュバックは評価が難しい。オークスでは直線の追い比べで最後の最後に苦しがって逆手前になった事実が、それまで二千までの距離経験から一気の距離延長が響いたのか、本質から距離長すぎてスタミナ不足が響いたのかはっきりしない。さらに前走の稍重のレースが一層悩ませる。上がりレースラップで11秒台がわずか1度だけ。過去10年で2分11秒台が当然のレースで2分14秒台の決着は馬場を割り引いても時計のかかりすぎが懸念材料になれば、勝ち馬マリアライト同様に牡馬の一流馬相手に二千五で出番はないか。
リアファルは鞍上のペース配分がすべてのカギを握る。すでに瞬発力勝負では太刀打ちできないもどかしさ。単純な上がり比較でメンバーNo15。先行馬としてもキタサンと共に唯一上がり33秒台以下の記録がないことで大幅に割り引く必要がある。あくまでも平均ペースでハナを切った際だけの残り目。理想はこの馬だけ大逃げで他馬が必要以上に控えれば前々走の再現。
サウンズオブアースはもうワンパンチ足りない。前走は直線入口で3着ラブリーの外から反応の鈍さを露呈。ゴール直前では完全に勢いが止まっていたことからも通算2勝、2着5回という勝負弱さが示されている実績でグランプリ制覇の計算が成り立たなくなっている。ラブリーと瓜二つで直線坂コースが苦手。
過去10年で牝馬が5度の馬券圏内という特異なGⅠでも今年は牡馬に注目したい。しかも極度の不振が続いていた"4歳馬の逆襲"として期待していい。"殺人レース"の菊花賞を使った反動で世代トップレベルの馬が壊滅状態だったが、ようやく立ち直り始めた。中でもゴールドアクターの強さは走るごとに成長を感じさせている。一戦ごとのレベルアップは天井知らずで持ち時計更新を連発や瞬発力に磨きのかかっている末脚。数字的に凄みを感じるのが菊花賞3分1秒台だった。出走した馬が極度のスランプやパンクする馬が続出する中で唯一と言っていい生き残り。菊花賞後に即使うのでもなく、中途半端な休養でもなく、十分すぎる休養が奏功したということ。まさに仮想有馬記念として昨年の菊花賞がイメージ通りで、道中2度11秒台が含まれて残り6ハロンから一気に加速ラップとなって最後まで減速なし。結局最後3ハロンの上がりレースラップは11秒7-11秒6-11秒6という極限のサバイバルレースで0秒7差の3分1秒7は、高速馬場を割り引いても歴史的なケタ違いの数字となった。少なくてもレースの上がり35秒4で3分3秒9の勝ち時計となった今年の菊花賞組には負けない。
アルバートは時計よりも着差を重視すべき。菊花賞組ではないものの、4歳馬の逆襲としてはアクターよりさらなるレベルアップがあっていい。とにかく名手とのコンビとなった4走前が転機。それまで3度の最速上がりと3度の上がり33秒台の経験の切れ者でもどこかモロさを感じさせていたが、好位差しから好時計勝ちを決めて逞しさアップ。3走前は直線だけの仕掛けで差し切り勝ち、前々走はエンジンかかると他馬が止まって映るほどの瞬発力で圧倒した。前走は良馬場の過去8回の中で時計はNo5、上がり時計はNo3。過去と比べてもヒケを取らない数字なら胸を張ってGⅠに挑める。 |