2、1⇒2、1⇔5、10、3 (12点)
1⇒5、10、3⇒5、10、3 (6点)
現役最強はもちろん、史上最強馬になる可能性も出てきたイクイノックスの死角は自身の体調だけということに焦点を充てていい。
自身初の中3週。たかが3週、されど3週。どちらにしてもこれだけ大事にじっくり使われてきた"王子様"にとって数字以上、イメージ以上の試練になる可能性がある。
もとより天皇賞秋を制覇した馬にとってジャパンC連勝はかなりのハードル。全42回のジャパンCで同じ年の天皇賞秋とジャパンCを連勝した馬は99年スペシャルウィーク、00年テイエムオペラオー、04年ゼンノロブロイ、20年アーモンドアイの4頭しかいない。
この4頭の共通項は何か。
スペシャルウィーク
キャリア15戦(932001)
中3週以内のローテ経験あり
年明け6戦
休み明け3戦目
テイエムオペラオー
キャリア17戦(1033100)
中3週以内のローテ経験あり
年明け6戦
休み明け3戦目
ゼンノロブロイ
キャリア13戦(542200)
中3週以内のローテ経験あり
年明け5戦
休み明け3戦目
アーモンドアイ
キャリア14戦(1021001)
中3週以内のローテ経験あり
年明け3戦
休み明け2戦目
イクイノックス
キャリア9戦(720000)
中3週以内のローテ経験"なし"
年明け3戦
休み明け2戦目
ジャパンCの中でも稀な連勝の中、過去42回でわずか4頭。それらの馬と比べても絶対的にキャリア不足で、さらに致命傷になる得る未経験の中3週以内のローテ。ひと昔前まで定説だった天皇賞秋の激走馬はジャパンCで"飛ぶ"という言葉は死語になったものの、これだけ激走続きで間隔の短いローテが未経験ならば、勝ち方が焦点になるレベルでも頭の片隅に反動ありきで組み立てるべきだろう。
いずれにしても状態万全なら疑う余地もない完璧すぎる実績。むしろ世界レベルのレースでレコード勝ちする馬がなぜクラシック無冠に終わったのかが驚きだが、いずれの勝ち馬もキャリア最高の内容、生涯一の走りだったことがうかがえる。皐月賞馬ジオグリフはこの勝利で完全に燃え尽き症候群。それ以来3着以内なし。ダービー馬ドゥデュースもその後、好走と惨敗の繰り返しでGⅡをわずか1勝に終わっている。
昨年春よりふた回り以上のスケールアップはレースぶり、数字にも表れている4歳の充実期。前々走まで勝ちパターンはマクり競馬でどこか危うさを秘めていたが、前走はハイペースを強気の先行策でイメージ一新。抜群の手応えから一瞬で勝負を決めた切れ切れの瞬発力はまさに現役最強馬に相応しく、これまでの不安を一蹴させる内容だった。1分55秒台の決着をあっさり決めれば文句なし。スローの瞬発力勝負だったとはいえ、有馬記念で距離に完全メド。ドバイでは長距離の時計勝負にむしろ強さを示せば、高速馬場の東京は絶好の舞台となる。これまでパドックでチャカつくことなく、馬体減も極めて少ない。これら2点が負の変化の兆しになりそう。
相手筆頭にリバティアイランド。20年3着デアリングタクト当時のメンバーより確実に組みやすい相手となっている。
今年は前走がGⅠ勝ちの馬はリバティ以外たった1頭。20年は天皇賞秋、秋華賞、菊花賞馬ら3頭で終わってみればその3頭でワンツースリー。二桁着順だった馬が20年が1頭に対して今年は5頭。言わば超高額賞金に釣られて集まってきた寄せ集め集団と納得すればますます自信度が増していく。
デアリング(持ち時計No8、二千四限定の上がり時計No2、最速上がり4回経験。自身の上がり時計ベスト33秒1、二千四限定も同タイム)。
リバティ(持ち時計No4、二千四限定の上がり時計No10、最速上がり3回経験。自身の上がり時計ベスト31秒4、二千四限定34秒0)。
距離限定の上がり時計で若干劣るものの、持ち時計や上がり時計の数字は遜色ないどころか、むしろ上回っていることが決定的。牝馬の4キロ差は絶対的有利なことは過去の歴史が物語っている。
ダノンベルーガは父ハーツに戦績も似てきた。父ハーツは日本でGⅠを勝てないと言わていたが、GⅠ10戦目の節目にディープインパクトを負かして有馬記念制覇。続くドバイシーマも勝った4歳秋冬がキャリアのピークで一瞬にして燃え尽きている。ダノンもまさに今回が4歳秋の挑戦。3歳2月以来、GⅠどころか勝ち鞍そのものがなく、父よりも瞬発力不足が否めないことがネックでこのまま無冠に終わる可能性は極めて高くなってきた。
父は上がり33秒台以下が3回。これはダノンと同じだか、直前の天皇賞秋で32秒8という自己ベストを更新する破格の数字を叩き出していた。対してダノンはここ1年で33秒台以下なし。前々走で考えられないほどの惨敗、前走で想定外の8キロ減は変わり身のシグナルというより、落ち目の始まるシグナルとして捉えられる数字からも低迷期に入っていることが否めない。どちらにしても花開くなら今年が最後。中山向きでない馬にとってここがGⅠ制覇の最後のチャンスになったことは言うまでもない。
タイトルホルダーに極限の時計決着と瞬発力勝負を求められる条件で出番があるとは到底思えない。前走も絶妙なるラップでこの馬の勝ちパターンの逃げが好走の要因。残り5ハロンから残り2ハロンまで11秒台という変則ラップは癖ある逃げ馬にとって有利な流れ。後続馬になし崩しで脚を使わせて瞬発力を封じ込めたことは数字にも表れている。古馬2勝の千六で1分33秒台が出る馬場にもかかわらず、オールカマーは過去10年比較でごく標準レベルの勝ち時計。レースの上がり時計はブービーだったことが決定的な証。東京で勝ち鞍なし、上がり33秒台以下はわずか1回だけの経験という中山、道悪の申し子がまるで真逆な条件でも結果を残すことは計算上もイメージ的にも難しくなるということ。あくまで目標はこの先として割り切るべき。
これまでも近代競馬でローテ云々の話はご法度だったが、それでもジャパンCはいぜん休み明けのローテに大きな壁ができている。
過去40年の1~3着馬は2か月強の間隔が限界。
前走が9月末からは
84年2着ベッドタイム外国馬(前々走も9月)
86年2着アレミロード外国馬(前々走も9月)
17年2着レイデオロ(前々走は5月ダービー)
21年3着シャフリヤール(前々走は5月ダービー)
22年3着ヴェルトライゼンデ(前々走は6月鳴尾記念)
80年代はあくまで招待外国馬で納得。近年ちらほら復活してきたが、少なくも8月以前からのローテは皆無ということ。さらに近年は超高額GⅠレースになったことからさらに各馬の力の入れようが違っている。天皇賞秋を叩き台にしてここ全力が最近の傾向として確立しつつある。
スターズオンアースにとって天皇賞秋をアクシデントから使えなかったことでここはあきらめるしかないか。それよりも今やマイルか、中距離か、長距離かの適性距離がぼやけているのもまた現実。
残るはドウデュースしかいない。前走は当日乗り替わりのアクシデントがあったからだけと思わぬ低調ぶり。確かに乗り替わった鞍上は引っ掛かる馬との相性は最悪としても、主戦でもあれぐらいの折り合い難なら想定内だっただけに完全不発をどう判断するかだろう。いつもより積極策、レースは出てないが反動の出やすいドバイ帰りの超長距離輸送明けなど負の要素満載にもかかわらず、2着に1秒差なら納得の叩き台だったとも言える。
いずれにしても見た目はますますマイラー寄り。ダービーだけ結果を残している距離に戻して改めて狙うのはかなりの博打要素を含んでいる。少なくても鞍上もレースも2戦目で人馬ともに前走のようなパニックになる可能性は極めて低くなることだけが唯一の光か。もちろん、海外遠征しまくりの犠牲で以前の能力を失っている可能性もあることは付け加えておきたい。
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