|
|
案の定、スマートファルコンは逃げ馬だった。これまで中途半端な乗り方で不完全燃焼だったが、鞍上2度目で見切ったということだろう。重賞11勝の猛者が同型不在の典型的な展開の利が加わって無敵の存在。この程度の相手に負けるようではGT制覇がますます遠のく。 ブルーラッドの強調点は意外性だけか。勝てるレースでとりこぼした前走がこの馬らしい象徴的なレース。前年の覇者だが、スマートの大暴走などが重なった漁夫の利で勝利。人気ほど威厳はなく、ここも勝ちにこだわって早めに動けばワイド圏外も覚悟しなければならない。 ドリームトレジャーは南関東でもうひと花できる。JRA1600万で9戦連続の1秒以内の着差が、数字以上の凄みを感じさせていた。器用さが求められる浦和コースをクリアした前走でさらなる大きな自信。 ボランタスはいきなり変身した前々走がフロック駆けか。統一Gで入着常連の実績でも、相手なりだけ走るタイプに勝ち負けまでが期待できない。ベストのステップで能力を測りたい。 初ダートだった前走重賞でいきなりレコード勝ち。リアライズノユメはこれで迷いのないローテーションが組める。外々を回って2着馬に2馬身差、3着馬に8馬身差、4着以下には2秒差以上の大差なら、少なくてもダートのスプリント戦で敵はいない。1ハロンの延長は何の問題もなくクリアできる。カネマサコンコルドは豊富な経験で抵抗。距離不安のない全国区の道営馬は長距離輸送がカギ。いきなりダートへ路線変更のファーマクリームよりマツリバヤシ、イチバンボシ、タビトを重視。 ハーミアは3歳牝馬限定戦なら無敵の存在。関東オークスはダート路線に回ってきたシンメイフジの2着惜敗。前走も転入初戦のザッハーマインに完敗は巡り合わせの悪さもあったということ。いぜん重賞1勝だが、すでに南関東女王レベルまで完成されている3歳馬。勝ち方が焦点。 プリマビスティーの前走は悪くない雰囲気だったが、さすがに一貫性のないローテーションが足を引っ張って叩き台に終わっている。東京2歳優駿牝馬を楽勝した重賞ホルダーがJRA芝への未練を断ち切れず、距離云々より体調悪化で凡走を繰り返していた。理想的な叩き3戦目で変身ムード。 ショウリダバンザイは東京プリンセス賞、関東オークスから否めない距離の壁。初重賞挑戦のシティオ、テイエムウミユキ、チェックユアハートは未知数。連勝中のスズリスペクトだが、上がり競馬になりやすい川崎二千百は条件不利。 シヴァルリーの前走はムチなしで3着馬と1秒9差が絶対スピードの高さの表れ。明らかに太めの馬体でこれだけのパフォーマンスが底知れぬパワー。エルヘイローは道営勢の大将格。門別3戦3勝、前々走も逃げ切った勝ち馬と同じ上がり時計に完成度の高さがうかがえる。ビッグロマンスは距離的な変則ローテーションが気がかり。ダブルオーセブンも久しぶりの中距離戦で戸惑いがあれば、理想的なステップになるダークリバース、エニフェアーの出番。 昨年はどこか不安定だったフリオーソだったが、ここ3戦の勢いは絶好調そのもの。久しぶりの千六挑戦が刺激となったのか。3走前は無敵の王者エスポワールシチーには完敗も、3着アドマイヤスバルに4馬身差。4着サクセスブロッケンに0秒9差、6着セレンに1秒6差。衰えるどころか、さらなるパワーアップを示す決定的な数字となっている。前々走は逃げるサクセスブロッケンを徹底マーク。着差以上の楽勝でカネヒキリ、ボンネビルレコード、セレン、スマートファルコンを退けた。12秒台を刻んで最速上がりとなったレースラップからも裏付けられるレベルの高さ。父ブライアンズタイムなら、6歳にして今まで以上のパフォーマンスが期待できるだろう。地元でJBC開催のツキも味方する。 スマートファルコンは二千で距離の壁に当たったとしても、前走と同じ距離なら乗り方ひとつ。前走はあくまでも復帰直後の手負いの鞍上で乗り替わりが裏目に出た結果。いつもよりもスムーズな折り合いとなったが、外から被されない位置取りが理想の馬をあえて内々選択の悪さ。瞬発力勝負になった流れも向かなかった。逃げ馬揃いでスピード、パワー、底力が求められる3角すぎから生き残りを賭ける理想的なサバイバル戦。外枠歓迎で前走以上に期待は膨らむ。 シルクメビウスは前走をどう評価でするかで悩む。流れが向いたことは否定できない展開の利。各馬が向正で動くサバイバル戦を4角前までじっくり仕掛けを待ったことが最後の伸びにつながった事実。目標がカネヒキリだけで地方ダートに不慣れな鞍上でも乗りやすかった。いつも必要以上に控える消極策で歯がゆい競馬続きだった過去から、ペースが速くなってマークが絞れなければ元の姿に戻るだけか。鞍上の手腕が問われる一戦。 オーロマイスターは前2走の強さが本来の姿。改めて浮き彫りになったのが、3走前は早仕掛けで失速したということ。勝負どころでマイネルアワグラスに外からマクられて仕方のない仕掛け。カネヒキリさえも最後伸びを欠けば、一過性のポカと割り切れる。マイラー気質で距離は長めだったことも考慮。前走は追い出しを我慢して直線だけで無敵の王者を子供扱いのレコード勝ちを高く評価すべき。 ラヴェリータが輝ける舞台は地方ダート。これまで重賞4勝を含んだ(4210)。勝ったレースは豪快で、負けたレースでも0秒5以内の着差に牡馬顔負けの底力を感じさせている。距離も脚質もこだわりのない万能型。理想的なステップで挑む大型馬は、混戦になればなるほど不気味な存在となる。 セレンの前走は終わってみれば格の違い。ほぼ馬なりで勝てたレースは相手がすぎた結果ということ。統一Gではワイド以内の経験もないのが現在の能力基準で、極限のスピード勝負向きではない。高齢ボンネビルレコード、アドマイヤスバルはこれだけ行きたい馬が揃えば、無視できない追い込み馬。 サマーウインドの独壇場になる。とにかく前走はすべてにおいて破格の連続。5ハロン通過が57秒4という超ハイペースを難なく逃げ切り、勝ち時計1分10秒6は例年と比較しても高レベル。上がりレースラップに11秒台が含まれた37秒1の瞬発力で無敵に近いスプリント王として君臨しただろう。少なくても前走2着ヤサカファイン以外に負ける姿は浮かばない。 ブリーズフレイバーはサマー比較になると格下が否めない。前走は5ハロン通過が58秒8。1秒4も遅いラップにもかかわらず、上がりで0秒2劣った37秒3なら逆転の材料は皆無。距離短縮と抜群のスタートセンスの良さだけが頼り。 スーニは気力で走るタイプ。ここ2戦は見せ場もなく惨敗で評価が急降下してきた。千二でも掛かり気味の折り合いだった好調時の姿になく、追っ付けるぐらいの行きっぷりの悪さとなった前走が不振の表れだろう。短距離ダートで大崩れなかったスペシャリストが完全なる失速入線。早熟か、一過性のスランプか。いずれにしても同じ鞍上では刺激が足りない。 穴馬狙いでナイキマドリード。前走はサマーを負かしに行った0秒5差に価値がある。直線の追い比べで手前を替えさせることができず、半ばまで口向きの悪さを露呈。残り100で手前を替えてもうひと伸びした内容なら、もっと上手く乗れば着差は縮まっていたはず。前走はサマーよりスタート上手だった。 ノースダンデーは折り合い不問の千二で地元なら黙っていない。一戦ごとにパワーアップ中の上がり馬。初の統一Gとなった昨年の東京盃は3着馬に0秒5差。続くJBCスプリントは3着馬に0秒2差。前々走は休み明けにもかかわらず2着スーニと同タイムで色気が出てくるのも当然。勝ち切れないが崩れないミリオンディスクよりも一発を秘めている。 キャリア不足に目をつぶればクラスターブレイドは主役として扱える。スタートは今ひとつも二の足の速さで逃げ馬を徹底マーク。コーナーではいくらか膨れ気味の若さを露呈もムチ1発で抜群の反応から楽勝した。直線半ばで勝負は決まってゴール前は流す余裕。まともに追えば軽く59秒台なら、早くもクラシックを意識できる絶対スピードということ。前走の2着ハルノサンサンが次走、川崎遠征して1秒3差のぶっち切り勝ちでますます自信度が深まる。 ヴァインバッハの前走はまったく流れに乗れなかった。3角前で完全に置かれて惨敗覚悟の手ごたえの悪さだったが、直線向いてようやくエンジンかかって0秒3差。破格の時計で勝ち馬より1秒も速い瞬発力が血統的な底力だろう。気品ある馬体からも将来性を含めて狙い目十分。 キャリアを積んだイチバンボシは予想をはるかに超えた成長力で不気味。以前は短距離の逃げ馬だったが、走るたびにレベルアップ。距離、脚質に幅の出た前走は相手比較からも中身が濃い。千七、千八の重賞で好走してきたセンノデバギア、エバーオンワードを正攻法から堂々の完封。JRAデビュー勝ちの母から大物の誕生か。 スクランブルエッグのデビュー戦のメンバーはいまだ未勝利という低調さ。もとより母は徹底した芝志向でJRA3勝の芝血統。前走で改めてダートより芝ベターのイメージを強めた。カジャは超良血の成長力だけが頼り。スクランブル同様に前走メンバーはいぜん未勝利という恵まれた条件だった事実。キャリア2戦目で一気の距離延長と距離輸送を克服は厳しい。 ドラゴンウィスカーは9月からすでに4戦目という強行軍にプラスがない。今まで崩れなかったのは低調なレベルだったからと割り切れる。ハナが絶対条件のブレットザキングはスタート勝負。距離経験を生かしたいピースポーターはひたすら混戦待ちのワイド要員。馬体平凡のヴェガスは前走3着でも評価を上げられない。常にスタートミスする悪癖もマイナス材料。
|
|
|