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地方馬場では無敵だったヴァーミリアンが追い比べで差された。勝ち馬が逃げ先行型だったことに自身の衰えが急激だったことがうかがえる。それでもこの程度の相手では主役を確保できるだろう。前走は勝ち馬よりひと呼吸早く仕掛けた結果なら、ひとまず元王者としての威厳は保たれる。上がりレースラップに11秒台もあった極限の上がり競馬。7歳暮れの時点で首の上げ下げまで持ち込めたことを評価すべき。負けるとすれば徹底マークのフリオーソではなく、前を意識しすぎた際のゴールデン、テスタの差し脚。 ゴールデンチケットの前走は早めに動いた馬が最後に失速した結果が出れば、一番初めに動いて0秒5なら悪くないだろう。鞍上らしい積極策が裏目。向正で中途半端なマクりは他馬にレースをしやすくしただけだった。今度は直線までじっくり我慢して追い比べに持ち込んで前走以上の走りを期待したい。 フリオーソの前走は1年前の大賞典と同じような超スローペース。ハイペースから二枚腰で粘るのが好走パターンの先行型で、極限の上がり勝負が合わないことは誰でもわかっていたこと。予想以上にペースを遅くして結果的に自滅した内容としても、絶好調時のような凄みは感じられなかった。スローになりやすい川崎二千百。さらに川崎コースに慣れない鞍上配置で以前の輝きが戻るとは到底思えない。スローになってヴァーミリアンとの追い比べを制する姿は浮かばない。 テスタマッタは不振からの脱出に時間がかかるか。3走前の快勝は時計、相手を考慮しても数字どおりに価値のある勝利だった。2着シルクメビウスはJCダート2着。3着ゴールデンチケットがJCダート3着。4着グロリアスノアは初の古馬相手のオープン特別快勝。5着ワンダーアキュートがGVシリウスS勝ち。6着スーニがダートの短距離王者として歩み始めれば、いかに勝ち馬だけが古馬相手に結果が出てないのがわかる。前2走は王者としての面影もない低調な内容がスランプの深さ。気配優先。 スリーセブンスピンは前走で短距離路線の活躍が確約された。抜群のスタートで枠順が良ければ楽にハナを切れたテンのスピード。番手で折り合って逃げ馬が早めにバテて4角まで絶好の手ごたえだったが、交わし方の悪さが最後まで響いてしまった。逃げ馬とのスペースを開けすぎて勝ち馬、2着馬にその間からロスなく抜け出されれば鞍上の乗り方の甘さが否めない。内をしっかり締めていれば、確実にもっと際どいレースになっていた。それでも終わってみれば上々の0秒5差。一気に勝負が決まる折り合い不問の距離で自信度が増す。 フジノウェーブの前走は典型的な前残り。置かれる馬にとっては最悪な流れだったことは間違いない。さらに極限に近い時計決着になったことで手も足も出なければ単に回ってきただけのレース。いい経験だったと割り切って見直したい。未知なる距離だが着順ほど負けてない前走で衰えはないと判断。 ストロングライデンは外から競られて今までどおりのパフォーマンスができるかどうかがカギ。極端なモマれ弱さで一時のスランプを乗り越えてきた上がり馬は、前走のように強気な乗り方が正解。トライアル戦の中ではサミンバリオスが不気味だ。使いながら良化してきた高齢馬。ストロングが前走と同斤量なら、こちらは4キロ減で挑める利点が強調できる。単純計算で0秒4差は逆転可能。4角余力がありながらストロングに力でマクられて着差以上の完敗だったケイアイスパイダーは強気になれない。 スタート難を抱えるディアヤマトは直線の短さが致命的。シアトルバローズは置かれる形で打つ手がなくなる。盲点になるのがプライドキム。対フジノには1年以上の長期休養明けの前々走で1秒6差、前走が0秒6差。2年前の覇者は衰えるどころか、完全復活まであと一歩。 ウインクゴールドを買った。とにかく前走内容が破格。重賞でも楽勝可能な数字を叩き出せばますます評価は急上昇。同日B3より0秒7も上回る超ハイペースで、結局0秒3勝った時計はクラシックも意識できる本物の強さ。15キロ増がそのままパワーアップにつながり、惚れ惚れする馬体に成長すれば当然といえば当然の結果だろう。これで千六4戦目。十分すぎるスタミナに世代トップレベルのスピードが加わって圧倒する。 エスケイガナールはコンビを組んだ相手が悪かった。行く気になれば前々可能なテンのスピードでも、必要以上に控えてあえて厳しいレースをするというちぐはぐな内容。スタート直後に無理やり押さえるのは鞍上特有の乗り方だが、結局折り合いを欠いて3角手前から先頭集団まで一気のマクり競馬には首をかしげる。これだけ無茶な乗り方で見せ場十分の内容は着順以上の価値。見た目以上にタフな実戦タイプはまともに乗れば勝ち負け。 ライトランは千四以下の経験だけがネックになる。現時点では短距離戦で世代トップレベル。休み明けの前2走がパドックで高めのテンションになっていることも気がかり。初の遠征競馬で距離経験が豊富な相手に好走が浮かばない。ラストキングは前々走と別馬のような変身ぶり。自らハナを切れば能力全開の逃げ馬として完成されたか。いずれにしても前走の上がり40秒割れは胸が張れる。最後バテたとしてもナイセストスターの前走はいい経験。内枠の行くしかないモエレクリューガーとの兼ね合い次第。 マズルブラストは単調な先行馬としてのイメージが強かったが、8歳になる直前の前走で新たな一面を見出した。超スローからの瞬発力勝負。絶体絶命の流れで2着は着差以上に価値ある内容だろう。上がりレースラップのラスト2ハロンは12秒前半という極限の数字。58キロを背負って勝ち馬以外には圧倒的に瞬発力が上回れば胸を張れる。もとよりスタミナ豊富な長距離型が切れ味を追加装備。苦手意識の強い川崎コースでも上位がみえてきた。 ブライトフェースは叩き3戦目でようやく復調気配。置かれていたズブさが一変。行きっぷりが戻り、馬体も数字以上に絞れてきた。ダービー6着後の6戦連続で連対した勢いを見直せる。ロイヤルボスは走りごろのステップ。重賞で入着常連の古豪は展開ひとつ。重賞経験を積んで走るたびに良化気配のライジングウェーブに怖さが出た。JRA勢の暴走でレースが壊れた前走着順はアテにできないが、瞬発力型の活躍できる舞台であることは間違いない。3走前まで距離経験は千八までだった上がり馬。穴馬にセトノギムレットを一考。クラスが上がるごとにひとまず壁に当たってきた苦労馬が、ようやくA級にメド。ゆったり折り合える距離はベストに近い。 統一Gの入着経験で勝ち負けの基準になる低調な重賞でもマルヨフェニックス、クレイアートビュンは厳しい。マイル前後がしっくりくるマルヨは中距離になると折り合いにムラ。クレイは二千以上ではっきりと限界がうかがえる。ドリームスカイは古馬相手にまったく通用しないのが現実で、最弱ダービー馬として評価で固まった。
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