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ラピットオレンジの前走は鞍上の好プレーとしても強い勝ち方だった。ブリンカーで集中力が一変。正攻法の先行策からデアリングハートを力業で押え切った。子供っぽさが抜けないパドック、いくらか掛かり気味の折り合い、抜け出してから一瞬ふらつくなどまだまだ未完成で着差以上の完勝が能力の高さを物語っている。最速上がりで切れ味にますます磨きがかかっている現状。スローの瞬発力勝負になりやすい川崎二千百はベストに近い条件か。血統的に距離延長も問題ない。 サヨウナラの前走は8`減。非力に映ったがメンバーNO3の上がり時計は、ダート重賞2戦目とすれば悪くない内容だろう。オープンでもまれて確実に進化してきたブライアンズタイム産駒。パワーが必要な馬場にメドが立ち、決まって置かれていたズブさが解消された前走がターニングポイントとなる。距離が延びれば差は縮まる。 アイスドールは1600万のハンデ戦をハナ差勝ちからオープン挑戦。クラスが上がれば上がるほど層の厚いダート路線で、前走の惨敗もある程度予測できた。追走に苦労するほどの行きっぷりの悪さ。わずか1戦だけの経験で一変は微妙か。母の兄弟にトゥザヴィクトリー、ビーポジティブ、サイレントディール。芝からダートへ路線変更で息を吹き返した良血馬はパワー重視の馬場に活路。 トキノミスオースの前走は完全な勝ちパターンから相手の大駆けで惜敗しただけ。本来は楽勝可能な時計。逃げ馬が上がり36秒6の瞬発力、3着馬と1秒4差からもツキがなかったと納得したい。JRA未勝利とは思えぬ充実度。転入2戦目で楽々重賞を勝って、3戦目ですでに南関東の牝馬トップレベルの位置付けとなった。パワー優先の先行馬は距離に融通性があって逃げにこだわらないセンスの良さに特長。同型がクインだけの展開ならば、強気の早仕掛けで前々走の再現。 チャームアスリープは悪くない雰囲気だが、実戦につながらないもどかしさ。ますます置かれる傾向が強まって以前の好走パターンだったマクりが不発。距離延長は歓迎だが、1年以上も掲示板から遠ざかって勢いを失った牝馬に上がり目は望めない。 先手有利の条件でクインオブクイン。常に輸送減りしていた体調の弱さが前々走で解消されたことは大きな収穫。ニシノナースコールは秋華賞3着を含めて忘れた頃に走る一発屋として評価が固まっている。ダート経験がわずか1戦だけで、オープン特別で1秒5差の3着は強調点に乏しい。オリビアは本質がマイラーでとにかく脚をためるだけためて直線勝負に賭ける。 現役最強馬のヴァーミリアンにとって近走よりハードルが上がった一戦になる。確かに中距離では無敵の強さだが、本来のローテーションが狂ったこと、距離に実績がないことが取捨を難しくさせている。2年前のこのレース5着はその2走前に浦和記念で3馬身差の圧勝。直後のレースだったダイオライト記念で6馬身差の横綱相撲。すでに本格化した中での敗戦が距離適性の低さを示している。軽いスタート難で少しでも芝が長く走れる外枠は救いか。それでもこの馬以外は重賞でうまく乗ることができなくなった鞍上では望みが薄い。少しでも分が悪くなる条件になると必要以上に控える競馬続き。連対を外すことも十分ありえる。 距離適性はNO1のフジノウェーブが面白い。フェブラリーSの傾向としてスピードはもちろん、良馬場の時はある程度の距離をこなすスタミナ兼備のタイプが好走。短距離の交流重賞さきたま杯は、脚を余した最速上がりで0秒4差の4着。JBCスプリントは次元の違う瞬発力でJRA勢を一蹴して全国区レベルということを改めて証明した。昨年の10連勝で確実に成長した上がり馬は、千二から二千をこなす万能型として完成された。五分に出れば崩れない。強力な逃げ馬不在でGTとすれば平均より遅い流れも味方する。 前々走で初重賞となったフィールドルージュは単に交流戦を使うのが遅すぎた。前々走でロングプライド以下を子供扱いした瞬発力はGTでも遜色ない凄さ。ヴァーミリアンと同様に距離不安。さらにスタート直後のテンの鈍さは短距離で致命的なズブさだろう。前走は内枠に救われただけで、見た目からも鈍さが伝わってくるほど。内々でじっくり折り合える枠順からロスなく乗りたい。あくまでも混戦で連対まで。 ドラゴンファイヤーの前走は淡白に終わった。いつもより早めの仕掛けで、勝負どころで外々を回らされたとしても不発に近いレース内容。同じような位置取りだった斤量が2`増のメイショウトウコンより明らかに鋭さで劣っていた。重賞3戦だけの経験不足か、速い決着に戸惑ったのか。いずれにしてもいい経験となったことは間違いない。馬っぷりの良さからまだ上昇余地の4歳馬。(2101)のコースに替わって雪辱。 ワイルドワンダーの前走は相手が軽すぎた。中団でいくらか掛かり気味の折り合い。直線は無理なく抜け出して差し切り勝ちだが、レコードに近い決着が確実だった雪明けの高速馬場状態とすれば平凡な時計だろう。切れたというより先行馬がバテた差し競馬で、同日の500万とわずか1秒5上回った数字に強調点がない。8勝中3勝が2着と同タイム。4走前に休み明けのブルーコンコルド、3走前には逃げた格下馬を差し切れないもどかしさがどうにも引っかかる。ベストの距離でも一線級相手ではもうワンパンチほしい。 ロングプライドは距離適性だけが頼りになった。ますますスタート下手となって置かれる傾向が強まったが、昨年ユニコーンSの鬼脚は強烈な印象として残っている。最近は中長距離もこなしてスタミナ強化のレベルアップ。良馬場(4100)で侮れなくなった。 メイショウトウコンは早めスパートのマクり競馬に固めて本格化してきた。芝から路線変更が大成功。ダートはとにかくインパクト十分の瞬発力で思惑どおりの結果となっている。昨年の敗因は止まらない馬体減、一気の相手強化、初の長距離輸送。今年はすべての面でクリア済みならばダート(6222)の数字からも期待が高まる。 本来なら芝千六で狙いたかったのがヴィクトリー。二千以上では致命的な気性難で、距離短縮とスタンド前のスタートから開放されて条件が好転している。ダートもこなせる血統と馬体から穴馬として一考。 ドリームパスポートの前走はまさかの早仕掛け。鞍上の差が出た結果だろう。動いてはいけない勝負どころでいち早く動いたことがラスト失速につながった。クラシックで2、3、2着。ジャパンC2着、有馬記念4着。この5戦すべて0秒6差以内で本来、格上の存在だが、鞍上に恵まれず連対からも遠ざかっている。ビックタイトルが狙える実力馬で連続ミスすれば次走は確実に乗り替わり。それぐらい能力は抜けている。 ウオッカは勝負どころのマクり競馬に徹している限り評価を上げられない。有馬記念の凡走は予想どおりの内容。うまく乗ったのが唯一ダービーというだけ。常に強引すぎる競馬で勝てるレースもとりこぼしているコンビでは、人気先行がますます強まってくる。 アドマイヤオーラの前走は以前の迫力ある瞬発力とイメージが違っている。完調手前ということか、新しいコンビでの特徴なのか。いずれにしても交わせそうで交わせない一瞬の脚の現状では単までに壁がある。 対象的にアドマイヤフジはイメージ一新のレースぶりで6歳にして成長がうかがえる。追い比べに強い瞬発力型として完成間近。アイポッパーは長期休養明けで割り引き。ダークメッセージはさらに相手強化でパンチ不足が否めない。京都二千二百は(0310)のトウカイエリートが穴候補。 リトルアマポーラは非力に映った馬体でも、牡馬相手の二千で見せ場十分の0秒2差。掛かることなく折り合って直線ではかなり窮屈な競馬が強いられたが、馬群がバラけて坂を上がってからの切れはクラシックに期待十分の瞬発力だった。牡馬の一線級から手ごろな相手になれば結果は出る。 ラルケットの前走はスタートの大出遅れで完全にリズムが狂った。いくらかムキになった走りとなった折り合いでは不発に終わったのも当然。デビュー2戦のセンスの良さから鞍上との呼吸が悪かっただけと納得して狙いたい。 カレイジャスミンの前走は4角で絶好の手応えだったが、結局徹底マークしたオディールも交わせずゴール前で急失速。0秒6差以上に能力の開きを感じさせた。正攻法から1分34秒台を経験したことだけが頼り。 シャランジュは不発のない瞬発力でデビュー以来負けても0秒6差という安定感。距離、時計勝負、坂をクリア済みで死角らしい死角がない。差しが利くようになった馬場状態でさらに条件が好転する。 フェアリーSは前が総崩れになった混戦レース。スワンキーポーチの後方一気でも上がり時計そのものは平凡。前走の伸びそうで伸びない瞬発力からジリ脚タイプと評価を固めたい。デヴェロッペの前走は直線でフラつきながら逃げ切り勝ち。平凡な時計もあって単に恵まれただけ。 差し追い込み馬になると必要以上に控える競馬。ポカの連続の鞍上に乗り替わって単となるといくらか不安が出てきたが、ブラックシェルが現時点で世代トップレベルの強さということに変わりはない。デビュー当初から徹底した差し競馬でクラシックを見据えた中距離路線。前々走で後の京成杯馬マイネルチャールズを凌ぐ最速上がり。前走は先に抜け出したキングスエンブレムの勝ちレースをゴール直前で奪い取った。ラスト3ハロンがすべて11秒台のレースラップを差し切った内容は、まさに超一流の切れ味。ここでのとりこぼしは許されないほど力量は抜けている。 アルカザンの前走も上がりが11秒台のラップだったがレベル自体が微妙。2着ダノンイサオは次走ラジオニッケイ杯で7着。4着ロスペトリュスは若駒Sで4着。0秒4差の5着だったセンノカゼは500万でも勝てないレースが続いている。半信半疑。 レインボーペガサスの狙いも悪くない。ダート馬の印象強いが、母ギャンブルローズ同様に芝もこなせるパワー型ということ。傷みの出てきた京都コースは願ってもない条件になった。脚を余して最速上がりとなった前走でますます切れ味に磨きがかかっていることが証明されれば、久しぶりの芝で盲点。 ダイシンプランの前走は休み明けらしいレース内容。初戦でブラックシェルを問題にしなかった切れ味は叩いて真価。ラジオニッケイ杯の上位組が共同通信杯で全滅してメイショウクオリアは強気になれない。経験豊富なヤマニンキングリー、レッツゴーキリシマ、オースミマーシャルより、今年の3歳世代はインフルエンザの影響で遅れたデビュー組に良血馬が集中している。キャリア1戦でもマッキーバッハ。 トウカイワイルドは追わせる鞍上で色気が出る。もとより内田博騎手で勢いを取り戻した相性の良さ。手ごろな55`でスタミナ勝負になれば、確実に前走以上の期待ができる。二千四百以上で(3106)。重賞2戦と格上げ初戦となったレースを除けばすべて掲示板を確保している。SS産駒としては珍しいステイヤー。ラチ沿いの伸びが今ひとつで差し競馬の連続だった土曜の結果から、ますます自信度が増してきた。 人馬ともに本格化のブラックアルタイルは勢いが魅力。アドマイヤモナークは抜けたトップハンデで割り引いた。菊花賞4着以外は苦戦の連続になっているエイシンダートマンはまだまだ経験が必要。重賞経験馬が高齢で波乱含みのハンデ戦ではコンラッド、マンハッタンスカイ、エフティイカロスの前走1600万組の大駆け。 マコトスパルビエロの前走はほぼ成長分。まったく太めを感じさせない22`増は、そのままパワーアップ完了を示す数字だろう。スタート上手のセンスの良さは小回り向きの器用さ。なにより従来より0秒5も上回った3走前のレコード勝ちが今後の期待を大きくさせている。初重賞の前々走では4連勝中だったロングプライドに競り勝って2着。経験を積めば重賞勝ちも時間の問題となっている。実力馬が相次いで回避した手薄な交流重賞ではまさに順番。 キクノと1馬身差だった名古屋大賞典は5着、シーキングザダイヤに先着した帝王賞は4着。メンバーNO2の上がり時計だった名古屋グランプリで3着。走るたびに成長しているチャンストウライは交流重賞でも遜色ないまでに完成されてきた。不発のない瞬発力で一線級相手でも崩れない安定感に特長。若さと勢いが魅力。 キクノアローはリズムを取り戻せないままに休養入りで狙いづらい。冬場の休み明けは仕上がり早でもさすがに厳しいか。昨年のダイオライト記念のぶっち切り勝ちから走るたびにトーンダウンしている実力馬は、ひとまず復活の手応えをつかみたい。 気難しさのあるサイレントディールはテン乗りで大幅減点。昨年このレースでレコード勝ちは大マクりの好プレーがすべて。ますますムラなスタートになっている8歳馬は一変微妙。 テンショウボスは地元勢同士なら絶対的な強さを誇るが、交流となるとパワーダウンが否めない。川崎記念、南部杯で惨敗が力の差を物語っている。前々勝負で能力全開だったクーリンガーがベストの流れとなった前走で見せ場なし。年齢的にも新鮮さは望めない。 交流の重賞制覇を視野に入れてプライドキムが、約1年ぶりの実戦となった船橋記念で復帰した。年齢的に致命的なブランクでも思惑どおりの結果。少しカリカリした気性で絶好調時と比べると筋肉も今ひとつのパドックはいかにも休み明けという馬体の造り。さらにスタート上手でテンの速さに特長のあった馬が、行き脚がつかずに中団より後方から。終始追っ付ける最悪の手応えで連対確保すれば、衰えはなく休み前と同等の評価でいいだろう。スムーズに馬群を捌いた勝ち馬とは対象的に数々のハードルを乗り越えて自信を高める。理想的なローテーションとじっくり折り合える距離延長になって、ごく普通にエリート路線へ軌道修正が完了する。スプリント向きとは思えぬ大跳びのフットワーク。 クラシックで接戦していたフリオーソと比べるのは酷だが、それでもトップサバトンは世代トップレベルの評価に変わりなし。まだまだ古馬混合レースのキャリア不足というだけ。強引なマクりとなった浦和記念、正攻法の大賞典はシーキングザダイヤと0秒5、0秒4差ならば着順以上に価値のある結果となっている。叩き3戦目で南関東勢同士。正念場だ。 勝ち方に派手さはないが、チェレブラーレは4歳らしい充実ぶりで一戦ごとに地力強化。高いレベルで安定している時計と器用なレースぶりは、現時点ですでに重賞レベル。初の左回りも無難にこなすだろう。4`差を生かしてタイトル奪取。 アートルマンは単調な先行型から自在型へ変身した。クラシックは鞍上らしい教育で羽田盃5着、ダービー4着。慣れない好位差しの結果を考えれば、前3走の快進撃も納得できる。走るたびにインパクトが強まる成長度。速さに強さが加わってここでも突破できる勢いを感じさせる。 エスプリベンも振り返ってみれば地元では完璧に近い(6110)。千六以上の距離に不安があったが、前走でスタミナ兼備を証明できれば色気が出る。逃げ馬不在の相手関係。2日目は逃げ馬苦戦だったが、ある程度回復すれば前残りの連発か。いずれにしても展開の利。 千七以上に良績のないディープサマーにとって狙いは次走の東京シティ盃。ローテーションの谷間になるここでは狙えない。シャイニールックは重賞でひとつ壁を感じさせる一瞬だけの末脚。デビュー4連勝で東京湾カップを制したタイトルホルダーも成長は止まっている。ブルーローレンスは千四、千六がベストのスピード型。粒揃いの重賞千八となると割り引きが必要。 |
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