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(12/28)有馬記念

天皇賞は自信のあったダイワスカーレットでも、二千五百の有馬記念はまったく気がなくなる。昨年はすべての面で恵まれていた。2分33秒台の決着は近年にない平凡な数字。稍重としても同日のホープフルS比較で低調なレベルが浮き彫りになる。レベルが高すぎたレースを除くと、比較対象は05年がメンバー的にもしっくりくる。

05年ホープフルS2分3秒6、有馬記念2分31秒9。
昨年ホープフルS2分3秒9、有馬記念2分33秒6。

単純な比較ではあるが、良馬場に近い稍重だったことがわかれば、スローペースで36秒台のレース上がりも物足りなくなる。結局レベルの低かった逃げ馬だけが失速して4角でほぼ3馬身差以内の決着では、展開の利がすべてだったという結論ができるだろう。
内容にも強調点がうかがえない。終始掛かり気味の折り合いはいつもどおり。さらにペースが上がって最後の4角でフクレ気味になった走りは、距離の限界が近いことの表れとも判断できる。ペースが速くなればスタミナ切れの不安はどうやってもつきまとう。
渾身の仕上げで挑んだ前走はゴール直前になって鞍上が追うのをあきらめなかったら、わずか3センチの差はもっと微妙になっていた。追い疲れた鞍上の衰えが追い討ちとなって単候補から外す。

狙いはフローテーション。豊富なスタミナ、ステイヤーらしい体型からスタミナを要求されるサバイバル戦になれば勝機が浮かんでくる。菊花賞でも掛かり気味になっていた行きっぷり。大外枠を引いた前走は懸念していたとおり引っ掛かったが、それでも並ばれてもう伸びする渋太さ、強さが生粋のステイヤーである証だろう。ジャパンCでウオッカマツリダゴッホに0秒1差だったオウケンブルースリに菊花賞で0秒2差。単純な比較でも十分に太刀打ちできる計算が成り立つ。
実績のある中山コースも心強い条件。皐月賞11着は2着馬と0秒8差。通算(0201)はすべて重賞ならば中山コースのスペシャリストと断言できる。今度は内々で折り合える好枠を引いて引っ掛かる不安もない。さらに名手にスイッチで番狂わせの期待がますます高まった。

フローテーションが上位になるような展開は間違いなく、ペースが速くなって向正から仕掛ける消耗戦。スタミナ重視でベンチャーナインの大駆けを期待したい。鞍上の下手さだけが目についた近況で評価を落とすことはない。
2歳時、野路菊Sでレコード決着の2着時はキャプテントゥーレに先着。東京スポーツ2歳Sは皐月賞2着タケミカヅチと同タイム、京成杯は皐月賞3着マイネルチャールズと同タイムで金星まであと一歩だった。菊花賞は4角で前の馬がつまづいたことに鞍上が必要以上に反応。立つほどの急ブレーキでギブアップしている。前走は超スローの流れを離れた最後方というペースオンチ。直線の追い比べでも狭いところへ入って追いづらくなった最悪の騎乗ぶりだった。待ちに待った乗り替わり。とにかくペースが速くなれば、超穴馬の誕生が現実となる。

アサクサキングスが大きなカギを握っている。サムソンフローベンチャーと同じようにスロー競馬に弱さがあるジリ脚のスタミナ型。直線だけの瞬発力勝負になると前走のように策がない。今年初戦の二千はダイワに3`増で0秒2差。最高の滑り出しとなったが、早仕掛けが敗因の天皇賞でリズムが狂い始めた。絶好の舞台が整っていた前走も宝塚記念に続くまさかのスロー。叩き3戦目で馬の特性を熟知した主戦に戻れば、ダイワの楽な単騎逃げを許すことはないはず。いじめ抜いて前残り。

マツリダゴッホは前2走の結果が本来の姿だが、3走前は無謀なマクり競馬で圧倒できる相手にとりこぼす失態。掲示板を外したセントライト記念は勝負どころで手応えが良すぎて、前の馬にぶつかって落馬が鞍上のプレッシャーの弱さを示している。ほぼパーフェクトの実績を残す中山(7111)のコース適性の高さと、二千五百(2010)なら鬼に金棒だが、GTで人気になって期待に応えることができるかどうか。さらに時計勝負になるとどうしてもスピード不足が否めなくなる。スローの上がり競馬で強さを発揮してきただけに、昨年と一変してペースが上がると仕掛けのタイミングに難しさ。鞍上のアドリブが試されると信頼性がますます揺らぐ。昨年は内々で折り合えて暴走を免れたが、完全に折り合いを欠いていた事実を加味すれば先行馬揃い、内々が絶望的になった枠順で強気になれない。

メイショウサムソンは武豊騎手とのコンビ復活で引退レース勝ちが消滅した。内々で包まれて動くに動けなかった前走は悲観する内容ではなかった。エンジンのかかりが遅く、直線の追い比べになるスローの流れでは手も足も出ない過去の実績からもはっきりしている。昨年の有馬記念はスローペースになっても、考えられない後方待機でとりこぼし。だからこそ、先行馬が揃って自在に動ける枠順を引けば、いつもの早仕掛けから圧倒できると信じていたが、鞍上の骨折明けは追わせるタイプにとって致命傷になる。
果たして重賞だけの騎乗が完治といえるのかどうか。土曜のリーチザクラウンの無様な内容は、行く気になった馬を押さえることができずに馬任せの折り合いで自滅。単なる回ってきただけの騎乗ぶりには驚きさえあった。さらに先週、今週と1度も右ムチを使ってないのが決定的。右腕が万全でない証拠で、有馬記念でも惨敗になると早期復活した鞍上、認めたJRAが非難されても仕方ない。土曜で一気にトーンダウン。

追わせる鞍上になっても前走でエンジンのかかりが遅かったアルナスラインは、斤量泣きだけが敗因ではないか。交わせそうで交わせない4走前と前2走が力不足とすれば、いぜんとして試練のレースが続くだけ。スクリーンヒーローはジャパンCで考えられない超スローの流れをスムーズに乗れたことが勝因。力勝負では強敵相手のキャリア不足の差が出る。カワカミプリンセスは以前の凄みがまったく感じられなくなった。ごく普通に牝馬限定で力上位というレベルまで低下。距離延長にもプラスがない。

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(12/27)ラジオNIKKEI杯2歳ステークス

リーチザクラウンは相手云々のレベルでない。すでにクラシックを意識している素質馬で、勝ち方だけが焦点になっているほどレベルが違いすぎる。直線入り口でモタれた悪癖を主戦に乗り替わってどう修正してくるか。楽勝よりも質の高い勝ち方が求められる。ここで馬体減になると体質の弱さが今後の弱点になりそう。

マッハヴェロシティはいかにもコンビ間の悪いリズムが目立った前2走だった。前々走は最悪の折り合い難でスタート直後から引っ掛かって失速。前走は直線入り口で選んだ進路が最悪。手応え十分だった3着馬の直後から追い込めば難なく抜け出せたが、周りをまったく見ずに一気に大外へ。混み合っているところで無理やりこじ開けようとしたが、結局ブレーキをかけるほど大きなロスがあってレースが終わっている。乗り替わりでようやく光がみえてきた。

例年どおり夏デビュー組がトーンダウンしている中で、ロジユニヴァースも微妙な存在になってきた。どうにも札幌2歳Sのレベルが怪しくなっている近況。2、3着馬が当時、道営所属馬で4着テーオーストームが葉牡丹賞で惨敗。5着ピロートークが自己条件の500万でも勝っていない。休み休みの重賞挑戦にもプラスがなければ信頼は失われていく。

イグゼキュティヴの前走は後方待機で掛かる仕草。道中は内ラチ沿いをスルスルと追い上げて、直線入り口では逃げ馬の直後の位置取りという展開の利。直線手前ですでにムチが入る行きっぷりの悪さだったが、まったくロスなく立ち回れたことが最後の渋太さにつながった。いずれにしても強さが感じられない内容で人気になって妙味なし。

同じレースで2着のファミリズムは力が入る。離れた最後方から折り合い重視。4角で大外ブン回しの荒業から、ゴール直前の勢いは勝ち馬を軽く凌ぐ瞬発力だっただけに色気が出る。2戦連続の最速上がりは本物の切れ味。少なくてもイグゼキュティヴには負けない。

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(12/25)兵庫ゴールドトロフィー

スマートファルコンは能力比較で劣るところがない。それだけズバ抜けた戦績を残して重賞3勝目にリーチとなっている。東京大賞典に出走しても人気になるほどの勢いで、今後のためにもきっちり賞金加算で今年を締めたい。

衰えたリミットレスビッドは59`、牡馬相手になるとモロさが出るメイショウバトラーが56`と背負えば、地元のアルドラゴンの踏ん張り。キングスゾーンは同型が超強力になって魅力がなくなった。

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(12/24)オーバルスプリント

勝負が一気に決まる千より千四でレースがしやすくなるトーセンラヴを中心視。前走のレコード決着の2着は距離適性の高かったのが勝ち馬という結果。最速上がりの数字が南関東でもうひと花を確信させた。なにより魅力な54`。自在に動いても不発のない瞬発力を信頼したい。

ナイキアディライトは衰えを跳ね返すような力が残っていない。3走前には格下のウルフボーイ、前走は9歳馬の同斤量マルカカイゼルに交わされたのが象徴的。重賞勝ちなどすでに過去の栄光で狙いづらい。

同じ実績馬でもコアレスデジタルは衰えは緩やか。休み明けこそ惨敗したが、今年はゆったりしたローテーションで14、1、5、4、8着ならナイキほど評価は落ちないか。統一Gで入着があれば本来はここで主役だが、勝ち負けまでほど遠い着差がどんなメンバーでも相手なりというイメージは残ったまま。半信半疑。

千二ベストでもキングビスケットはこれからが成長期で反発の怖さ。叩き2戦目でブローザウインド。ようやく短距離路線で落ち着いたディアヤマトは復活の手応えをつかみたい。

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(12/23)名古屋グランプリ

大金星まであと一歩だったメイショウトウコンは、成績どおりにピークを迎えた。前走はラチ沿いで折り合っていた勝ち馬とは対象的に4角大外ブン回し。着差を考慮すれば、勝ち馬以上に中身の濃いレースを消化している。今年の名古屋大賞典勝ちでコースはむしろ歓迎。ブリーダーズGC勝ちでスタミナにまったく問題がなければ勝ち方だけが焦点になる。

ヤマトマリオンはイメージ以上に地力強化がうかがえる。どこか追って甘かった牝馬が追い比べを制した前走で見違えるほどの逞しさ。スタミナ勝負になれば牡馬相手でも差はない。ひと叩きのチャンストウライ、地元のムーンバレイはひたすら混戦を待つだけ。ワンダースピードは東海Sで2年連続の0秒1差だが、千八ベストのスピード型にとって長距離戦にプラスがない。

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(12/21)朝日杯フューチュリティステークス

セイウンワンダーの前走は最悪な乗り方だったが、馬の力だけでミスをカバーできた。それだけ能力は抜けていたということ。スタート直後からの消極さが馬に伝わったのか。デビュー2戦のような行きっぷりがまったくみられず、鞍上も腹を決めて直線勝負に賭けた。直線では外ラチ沿いから直一気という離れ業。道悪としても、重賞で外ラチ直一気はこれまで記憶にないぐらいインパクトあるレース内容だったことは間違いない。
夏前デビュー組の凡走が目立ってきた近況でもこの馬だけは別格。デビュー戦は3着に9馬身差、前々走が2着に1秒差。3戦すべてが最速上がりの切れ味は、2歳馬としての完成度がかなり高いことがうかがえる。パワー満点の馬体からも、GTでいきなり勝負となる。

ブレイクランアウトは単の狙いが厳しい。確かに前々走は前が壁になって直線半ばで最後方まで下がるロス。そこから外へ出して一気に弾けたが、いかにも強さとモロさが同居している2歳の若駒らしいレースぶりだろう。さらにパワーがまったく感じられない細身の馬体は早熟のイメージをますます強めている。前走も直線半ばで交わす勢いがあったが、ゴール直前の失速がハイレベルのレースでの限界と感じられた。ひとまず馬体増が絶対条件。

果たしてレコード決着になったデイリー杯は数字どおりの評価でいいのかどうか。シェーンヴァルトの取捨に迷いがある。同日未勝利が1分34秒1でわずか0秒8差。人馬ともに馬群を捌くのに楽な京都千六で展開の利も否めなかった。内々でじっくり我慢して、まったくロスなく目標にしていた逃げ馬を捕らえただけ。完全な差し競馬になって同じような脚を使ってきた4着のピースピースが、自己条件でも勝ち切れないことがレースレベルの低さを物語っているか。長距離輸送でイレ込み癖が出る可能性も否めない現状。パドック重視。

差し競馬だったデイリー杯は正攻法で粘ったホッコータキオンの株を上げた。ポツンと1頭だけ抜け出す形の逃げ。それでも息を入れたと思えぬ積極策からの追い比べは負けて強しの好内容となった。前々走は同日の古馬1600万に0秒8差。ラスト3ハロンのレースラップは11秒9−11秒2−12秒2で、12秒台が2度もあった千六のデイリー杯と比べても凄さが伝わってくる。前々走の反動がいくらか出たと割り切れば、ここでも主役級の評価に変わりない。

ミッキーパンプキンはどうしても人気上位になるような風格が感じられない。まずは頭の高い走法。それでも前2走の最速上がりが能力の高さだが、いかにもモマれて危険な逃げ馬というイメージ。さらに直線半ばで逆手前になるフットワークの若さは致命傷になる悪癖だろう。スピードだけで押し切ってきた未完成なレース内容は、急坂の中山コースで壁に当たることも簡単に想像できる。前2走のレースレベルの低さが決定的となる。新馬戦のメンバーは先週の時点で勝ち上がった馬が不在。前走も2着キングスレガリアが次走の京都2歳Sで力負け、3着マナクーラは自己条件で惨敗、4着トップクリフォードも京都2歳Sで凡走したことが、人気先行を示している。今まで厳しい競馬を未経験なことがアダとなる。

ゲットフルマークスは個性派の逃げ馬として完成を目指す。チャカつく気性で、3戦すべてがスタート直後から積極策。前走もマークが厳しく、4角では完全に並ばれたが、そこから二の足を使って振り切れば、評価を上げなければならない。跳びは大きく、千六もこなせるイメージ。ここも徹底先行。

千四で終い甘くなるエイシンタイガーは生粋のスプリンター。フィフスペトルは鞍上のマジックに期待したいが、コンパクトボディーの見た目からどうしても極限のスピードを求められる条件で強気になれない。

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(12/21)阪神カップ

レッコゴーキリシマにとって距離短縮はなにより好材料。不運もあって休養後は勝ち切れないが、それでも春当時のモロさ同居の先行馬というイメージは完全に一新されている。逃げ先行にこだわらない自在型は長距離輸送のない阪神千四で能力全開となる。年齢的に正念場となってきたエイシンドーバーは走る阪神コースで確実に前2走以上の期待ができる。必要以上に前走で控えたジョリーダンスは乗り替わりで軌道修正。まだまだ成長が見込める3歳馬スプリングソングは勢い重視。そのスプリングに接戦した記録があるエーシンフォワードも侮れない。阪神コースに替わればファリダットは再び4角で大外ブン回し。重賞で56`を背負って直一気が可能なほど力は伴ってない。

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(12/20)愛知杯

いかにも波乱含みがありそうな牝馬限定戦。斤量を背負った実績馬はどうしても信頼性が低くなる。一時の不振はリフレッシュで脱しているかが微妙なレインダンスニシノマナムスメ。距離に課題を抱えたままのマイネレーツェルも人気になって妙味がない。特異なレースとなるジョッキーシリーズ勝ちのクラウンプリンセスが54`は見込まれすぎた。平坦コースの牝馬限定戦で絶好の条件となったが、テイエスプリキュアは鞍上が頼りない。各馬に色気が出て早めに動くサバイバルレースではコスモプラチナの残り目も薄くなる。成長が止まったレッドアゲートは、ますます置かれる傾向で小回りコースにプラスなし。

狙いは軽量馬。春当時、左回りは口向きの悪さが目立ちながら中京二千で2戦2勝、フローラCで2着と0秒4差。休み明けだった前走は馬群の中でくしゃくしゃにモマれて、2着馬と0秒5差が気性成長の証ならカイゼリンの出番。名牝の仔が逞しくなって帰ってきた。早め早めのマクり合いになった際にダンスオールナイトの差し脚が魅力になる。

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(12/17)全日本2歳優駿

大物同士の争いで例年以上にハイレベルな全日本2歳優駿となった。その中でもナイキハイグレードは一枚も二枚も上だ。JRAのリーチザクラウンと同様に、この時期にしてすでにクラシックが意識できるような存在まで完成されている。2歳秋、キャリア3戦目でB2に届く破格の前走時計が数字の裏付け。逃げ差し自在のレースぶりにも強烈なインパクトを植え付けた。相手が全国区となっても負ける気がしない。

スズカワンダーは首をかしげたくなるダート挑戦。理想的な条件になる芝二千の2歳Sはリーチザクラウンを避けたとしても、今後に悪影響が心配される路線変更だろう。前走は明らかに鞍上のミスで凡走しただけ。4角では勝ち馬とほぼ同じ位置取りで手応えも十分。あまりにも追い出しを我慢しすぎたために、一気に外から被されて行き場を失ってしまった。そこから外へ出すのに時間がかかってレース終了なら、明らかに一過性のポカ。ダートでも血統、体型ともに走る雰囲気はあるが、相手はレベルの高い砂巧者が揃えば狙いづらい。

メトロノースも超大物の予感。いくらか掛かり気味となったが、それでも正攻法から一気の早めスパートで後続をぶっち切れば着差どおりに評価していい。キャリア3戦目、千四から一気の距離延長で最後は手綱を押さえる余裕の完勝は、まだまだ底知れぬ能力を秘めているということ。積極的な鞍上とのコンビは理想どおり。

スーニはどうしてもスプリンターのイメージが強い。前走でも向正まで掛かり気味。直線入り口で2着馬にマクられて一旦並ばれたが、そこからもうひと伸びした横綱相撲でも相手に恵まれたことは否定できない。初距離の千六、人気馬がいずれも4角手前で仕掛ける自在型ではますます窮地に立たされる。ここが正念場。

ワンダフルクエストはあれだけ置かれて、あれだけ勝負どころで外々を回せば、凡走するのも当然の結果。一気の距離延長にもかかわらず、向正から動いて脚を使い切れば、直線半ばで脚が止まるのも走る前からわかることだろう。最後は内から差し切られて連対も逃した。地元コースでこの乱暴な乗り方は、器用に乗ることなどすでに頭にない可能性が高い。強敵相手に同じような乗り方では通算(5010)の怖さはまったくなくなる。好枠を引いてどれだけロスなく乗れるかどうかだが、鞍上が走り慣れてないコースで驚くようなマジックは望み薄。

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(12/14)阪神ジュベナイルフィリーズ

中身の濃い3戦2勝でダノンベルベール。ゆったりしたローテーションで栗東滞在という意気込み。千六をすでに2戦も経験している強みが、ますます信頼度をアップさせている。前々走は休み明けの10`増としては上々の試運転。勝負どころで最悪の手応えになってエンジンのかかりが遅かったが、ゴール直前では勝ち馬を凌ぐ切れ味があった。ラチ沿いを折り合えた勝ち馬に対して、終始外々を回らされたロス。負けて強しの内容で前走の結果も当然といえるだろう。先を見据えて徹底した好位差し。直線ではギリギリまで追い出しを我慢して、鞍上が仕掛けると一瞬にして抜け出してきた。すでに完成形に近い大人びたレースぶりは、予期せぬことが起きるGTではなんとも心強い。3戦中、2戦で最速上がりの切れ味は速さよりも強さが感じられる。坂、距離克服済みで死角らしい死角はない。滞在競馬が裏目に出ないことを祈るだけ。

ジェルミナルは追ってから切れるというより、息の長い末脚勝負で真価発揮の差し馬。距離短縮になるとどうにも直線一気のシーンは浮かばないが、ゴチャつくことのない外枠を引けば確実にラストはいい脚を使える。前走のレースラップはラスト3ハロンですべて11秒台だが、古馬500万並みの時計が強気になれないひとつの要因。さらに新馬戦は勝ち馬以外で勝ち上がっている馬がわずか1頭、未勝利戦は皆無というレベルの低さが相手に恵まれた決定的な裏付けとなっている。胸を借りるぐらいの力関係。

例年の穴馬は1戦1勝馬。今年はメイショウボナールが当てはまる。瞬発力勝負になってレースラップがゴールまで加速する12秒5−11秒5−10秒9。スローとはいえ、ラストの10秒台はロスなくラチ沿いを折り合った結果を割り引いても、今後の期待を膨らませる末脚となっている。3着馬と3馬身差が能力基準。掛かるぐらいの折り合いは、距離短縮でさらに本領か。実戦タイプ。

ブエナビスタは評価が迷う。前走は同日1000万より1秒2も遅い時計。持ったままの快勝としても、幼さ満開の未完成度はいかにもGTになって頼りない。新馬でリーチザクラウンと0秒1差は相手の凡走。これで2戦連続のスタートミスも嫌な傾向となってきた。一気の相手強化でモロさが出ても何ら不思議はない。半信半疑。

ファンタジーSの上位組はいかにも流れに恵まれた。勝ち馬イナズマアマリリスは逃げ馬の直後のラチ沿いから、スムーズに立ち回って最後にチョイ差し。2着ワンカラットイナズマの直後で掛かり気味の折り合い。内々有利の馬場状態を味方にして流れ込んだ。3着アディアフォーンが逃げ馬を大名マークの前残りなら、典型的な前々有利の短距離戦ということ。ファンタジー組では伸び脚が目についた5着馬ルシュクル狙いが面白い。

2、4、5着馬がすでに勝ち上がったハイレベルな新馬戦を楽勝したミクロコスモスは、3着馬と4馬身差がクラシックを意識される能力差だが、いかにも鞍上が心細い。名手でも掛かり気味でなだめるのに苦労した前走だけに、乗り替わりで折り合いを欠くことは確実。

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(12/14)カペラステークス

衰え先行のアグネスジェダイ、時計が速くなるJRA馬場では太刀打ちできなくなったリミットレスビッドはここまで相手が落ちても狙いづらい。フジノウェーブは6走前の東京コースで惨敗がすべてを物語る。スタート直後の芝で完全にリズムを崩しただけに、純粋なダート戦でない中山千二は条件が悪すぎる。モロさ同居のウエスタンビーナス、復活の兆しがみられないスリーアベニューなど実績上位馬に死角ならば、1600万の勝ち上がりで十分に太刀打ちできる。

直線の長い東京コースで以前より結果が出るようになったトロピカルライト。ダートで唯一、掲示板を外したユニコーンSでも3着とは0秒3差だったナンヨーヒルトップ。脚質に幅が出てダート(4200)のダイワエンパイア。前走はひとまずクラスの壁と納得できるカルナバリートワールドハンター。中山に良績がなくてもビクトリーテツニーの充実ぶりは侮れない。

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(12/13)中日新聞杯

ヤマニンキングリーは千八、二千で1、9、8、1、3、4、3、1、1着。2歳時にトールポピーノットアローン。3歳2月にレッツゴーキリシマブラックシェルを子供扱いしている中距離型が、いよいよ適距離の路線で素質開花が間近となった。平坦の二千、魅力のハンデ55`、デムーロ騎手を配置で勝機が浮かぶ。

上がり馬のダブルティンバニーオペラブラーボは勢いが止まらない。再び徹底先行で前走の再現を狙うダブルは逃げベスト。最速上がりを連発で末脚に磨きがかかっているオペラは、ここ突破で夢が広がる良血馬。いずれも以前とは別馬のように地力強化している。

混戦に強いダンスアジョイ、距離短縮で3歳馬シゲルフセルトの変わり身。フサイチアソートは前走がきっかけとなるかどうか。マンハッタンスカイは時計勝負になると厳しくなる。

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(12/10)クイーン賞

ユキチャンの不振は単なるJRA馬場の軽い馬場が原因なのか、関東オークスだけで燃え尽きたのか。例年と比べてもハイレベルだった時計が評価を悩ませる。パワー勝負が真骨頂としても古馬相手にまったく結果が出てない現状。常に人気先行のアイドル馬がひとまずクラスの壁に当たることは簡単に予測できる。少なくても狙いの定まらない芝、ダートのローテーションで驚くほどの成長は期待できない。

ザッハーマインは惚れ惚れする馬体。園田3戦3勝もうなづける雰囲気ある良血馬で、前走もあと一歩で金星を逃している。千四までの距離経験でいきなり交流戦にぶつけたのが大井外千八。0秒4差は数味以上に収穫があったレースだった。キャリア4戦目で全国区レベルの証明済み。距離2度目、軽量51`、心強い戸崎騎手とのコンビで勝機が浮かぶ。

アイスドールはエンプレス杯で意外に動かなかっただけに地方馬場になると半信半疑。上がり馬のシスターエレキングは低調な3歳牝馬の重賞勝ちでここが本当の試金石。好走、凡走パターンが読めないパフィオペディラムは気分屋でつかみどころがない。もとより連続好走が少ない過去からも割り引きが必要。ヤマトオリオンは相手なりに動けるが、それ以上が望み薄のパンチ不足。ミスジョーカーの前走は鞍上との呼吸の悪さと納得すれば見限れない。ひと叩きでベスト条件に近い距離千八となるラピッドオレンジが理想的なステップで脅威の存在になった。

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(12/7)ジャパンカップダート

ヴァーミリアンの前走は休み明けの厳しいローテーションを見事クリアしたと判断していいのか微妙になった。どこか以前とイメージの違う勝ち方。まずは前走内容を詳しく分析したい。
上々の仕上がりで体調そのものは完璧に近かった。スタート直後から無理をしないで、道中は逃げるサクセスの2、3馬身後方の内々。フリオーソがスタート直後と向正でサクセスに絡む展開になって最高の流れと位置取りになった。鞍上も向正で勝利を確信しただろう。4角手前からフリオーソより外へ出して、いくらか強引なマクり競馬。手応えは軽くサクセスを上回れば、どれだけち切るかが焦点と思えた。だが、完全に交わしてもサクセスは二の足を使ってもうひと伸び。最後はやっと振り切ったという辛勝で終わった。
とにかく地方交流戦でとてつもない強さを披露してきた王者。浦和記念3馬身差を皮切りにダイオライト記念、名古屋グランプリ、川崎記念で6馬身差の圧勝。大井のJBCクラシック、東京大賞典では4馬身差で王者の貫禄を示してきた。
ローテーションの悪さ、休み明けはいいわけにならない。同じドバイ帰りだった昨年のJBCクラシックは7ヶ月ぶりだったことで、ますます頭を悩ませる。さらに不安材料を持ち出すと、もとよりJRAの軽い馬場で苦戦傾向があった。本格化前とはいえ2、5、13、4、1、1着。勝った2戦がいずれも紛れのない東京コースで着差が2馬身弱。マークする馬も絞るのに苦労する混戦メンバーで、サクセスとの着順が入れ替わる可能性は十分にありえる。

中心はサクセスプロッケン。直線長い大井でぶっち切り勝ち、前走で小回りコースにも対応を示して自在に立ち回れるレース巧者として完成されてきた。とにかく無謀な挑戦だったダービーを除けばダート(5100)。前々走で子供扱いしたスマートファルコンが古馬相手の浦和記念を圧勝で、世代レベルの高さを改めて証明している。思ったほど馬体の成長がなかったが、それでも馬体増は今後につながるいい傾向。
JBCクラシックはスタート直後にフリオーソに競られて、道中は終始ヴァーミリアンに目標にされた。向正で再びフリオーソが仕掛けてくる厳しい展開。4角手前でマクってきたヴァーミリアンの圧勝パターンに持ち込まれてほぼギブアップ状態だったが、交わされてから二段エンジンの加速力で接戦に持ち込んでいる。イメージ以上に力が接近していて、逆転もそれほど遠くない感触をつかんだ。
ジャパンDダービーで向正まで終始掛かっていた折り合い難が解消。ケタ違いの成長力で、一戦ごとにインパクトあるレースを披露している。追い出してからの瞬発力は単なる逃げ先行馬のレベルではない。不利な展開で0秒1差と自身の充実度を加味すれば、すでにヴァーミリアンとの力関係は逆転していても不思議ない。

天皇賞組の中でも目立った馬体。アドマイヤフジはダート未経験だが、血統的には大化けする可能性を秘めている。母はダート勝ちのあるステイヤー、アドマイヤラピス。兄アドマイヤホープは全日本2歳優駿、北海道2歳優駿勝ちのダート馬だった。芝のGT戦線がウオッカ基準ならば、毎日王冠で0秒3差、天皇賞で0秒8差は悪くない数字。過去に重賞未勝利で条件馬だった外国馬フリートストリートダンサー、重賞初挑戦だったアロンダイトが圧倒的な強さでジャパンCダートを勝ち上がれば、初ダートの馬が勝機となる計算が十分に成り立つ。

カジノドライヴを狙うのは勇気がいる。将来的にはダート界のトップクラスが確約されていても、キャリアの浅さは致命的。デビュー戦の大差勝ちにしても、同日の3歳500万より0秒5も劣る数字だった。その後アメリカで2連勝したが、世界トップレベルを相手にわずか4戦目のキャリアで挑んだ前走の大敗は、ダメージが心配になるほど最悪な内容。客観的に判断しても勝算のない相手で、芝に近いオールウェザートラック。4角手前でレース終了も当たり前といえる。あくまで楽な流れからアメリカ馬場での好時計勝ちは基準外。前走以上に先行争いが激しくなる同型が揃ってさらなる試練が待っている。陣営としては珍しい意欲的な追い切りを焦りと感じ取った。悪夢がよみがえる。

カネヒキリの狙いはさらに難しい。確かに前走は馬群に包まれて直線半ばまでまったく追えない不利があったが、条件戦を勝ち上がったばかりの上がり馬にあっさり勝たれたレースはレベルそのものが低いことが否めない。仮にここで勝ち負けできるような近い状態に戻っていれば、ダートで無敵に近かった元王者が強引に割ってくることは簡単だっただろう。わずか1戦だけで超一流馬相手に2年以上のブランクからの完全復活がまったく浮かばない。

外国馬の中ではマストトラックか。実績そのものはジャパンC同様にそれほど意味のあることではないが、フリートストリートダンサーと3走前、前々走がまったく同じレースで直前も同じような日程。ローテーション的に怖さが出て仕上がりひとつ。

ボンネビルレコードははっきりJRA馬場で太刀打ちできない。軽い馬場では見せ場さえないのが現実。地方のパワー重視の馬場だけが好走パターンに限られている。フリオーソは逃げることだけが生命線か。昨年のジャパンCダートはあまりにも不甲斐ない結果。ひと頃の唸るような折り合いも陰りをみせている。外国馬が前がかりになれば、折り合い重視で波乱を待つサンライズバッカスワイルドワンダーメイショウトウコンがワイド圏内に突入する。大穴候補にブルーコンコルド

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(12/6)ステイヤーズステークス

ベンチャーナインの前走は不運がすべての敗因となった。4角手応え十分で駆け下りてきたが、前の馬がつまずいて鞍上が立つほどの急な回避。ジリ脚タイプが勝負どころでブレーキではレース終了も同然だった。それでもそこから盛り返して0秒9差は胸が張れる結果。まったく掛かることがなかった折り合い上手で、マラソンレースは望むところ。

フローテーションは中山にコース替わりで微妙になる。前走は向正で掛かり気味。内々で包まれていたから致命傷にならなかっただけで、外々での折り合いになると暴走する危険も否めない。各馬が3角すぎから一気に仕掛けたが、直線までじっくり我慢したことも奏効した。中山の急坂で再現が浮かばない。ステイヤー血統が頼り。

ビエンナーレは二千四百以上の距離で7戦して掲示板確保が6戦。なにより前々走でジャパンC馬スクリーンヒーローを完封している事実。12`減の誤算があった前走を度外視すれば、主役としても不思議ない実績が重視できる。ナイアガラの前走は数字ほど切れた印象がない。相手強化でここが正念場。昨年の覇者マキハタサイボーグは58`で割り引いた。トウカイトリックトウカイエリートトレオウオブキングは衰え先行。時計がかかる馬場になればメイショウクオリアの大駆け。

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(12/6)鳴尾記念

サクラメガワンダーはスランプを抜け出して完全に軌道に乗った。瞬発力勝負ではどうにもならないジリ脚だが、サバイバル戦ではとにかく強さを発揮している。2年前の覇者はGTでモマれてきた経験でさらに地力強化。久しぶりのGVで勝機が浮かぶ。

キャプテンベガは重賞未勝利でも勝ち負けの対象になるほど充実してきた。以前はどこかモロさ同居の良血馬の印象が強かったが、今期のレースぶりは末脚に磨きがかかって不発がない。千八で上がり33秒台だった前々走がいいきっかけ。

追わせるタイプに豪腕内田博騎手でトウショウシロッコは魅力十分。GTで早々にレースを投げたノットアローンも乗り替わりと距離短縮で軌道修正が可能。ナムラマースはリフレッシュ効果のあった前走が復調のシグナル。格下のホッコーパドゥシャドリームガードナーも展開ひとつで怖さが出る。

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