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アドマイヤオーラはデビュー3戦目でダイワスカーレットを負かして皐月賞、ダービー4、3着。今年はGTに届くことが可能な実績ならば、手薄なGU戦で大きく崩れるイメージは浮かばない。遠征帰りの疲れだけが唯一の不安材料。アドマイヤを物差しにすればヴィクトリーも差はない。叩き3戦目、小回りの平坦コースと好条件が揃って皐月賞馬の意地。 サクラメガワンダーはリフレッシュ効果で軌道修正してきた。中京コースは走るローゼンクロイツ、インティライミ。距離にメドが立ったエイシンデピュティが相手。 リミットレスビッドは衰えが気になる年齢に加えて左回りにどうやら苦手意識がありそうだが、前走のゴール直前のひと伸びは見どころ十分。ワイドは外さない。メイショウバトラーは牡馬相手に勝ち負けとなると壁がある。アグネスジェダイはハナ切ることが生命線の逃げ馬。久しぶりのダートでインパクトある勝ちっぷりだったコンゴウリキシオーは自分の形になることが絶対条件。強気の逃げで本領発揮の単調さだが、路線変更は間違いなく吉と出る。 フジノウェーブは59`でさすがにしんどくなる。置かれる傾向が強まったズブさが出てきたこと、今年は復帰後のリズムが悪いことも重なって強調できない。穴ならばプライドキムだろう。年齢が気にならないダメージの少ないキャリア。乗り役に恵まれなかった前2走からいよいよ新エースを配置で色気が出てくる。サバイバルになった前走は58`が響いたと納得すれば小回り、56`など巻き返せる条件は揃っている。 ブラックエンブレムの前走は奇策? 愚策? が完全に裏目に出た。早めの入厩から中間は時計を出さない軽めの調整方法だったが、8`増が誤算のすべて。プレッシャー負けした鞍上の乗り方が悪かったとしても、世代トップレベルの実力馬が見せ場なく惨敗は体調が万全でなかったことの証だろう。 リトルアマポーラの前走は緊張から何も判断ができなくなったとも思える待機策。人気を背負いながら必要以上に後方から。どうにも不可解な騎乗だったが、連対率1割前後で低空飛行を続けている鞍上の腕と納得するしかないか。いずれにしてもマイネルチャールズを基準にすれば、トップレベルの評価が妥当な素質馬。体型的に距離延長、脚質的に長い直線などすべての面で条件は好転している。ガラスのハートの鞍上にとって試練となる前日1番人気が大きな割り引き材料。 レッドアゲートは打てば響く瞬発力にますます磨きがかかった。デビュー戦は距離不足、2戦目は小回り。初勝利に3戦もかかったのは条件が合わなかっただけで、随所にみせる最速上がりこそが本来の姿。差し追い込み馬が活躍の舞台となる本番はなにより条件がいい。鞍上との呼吸もピタリと合ってまだ昇り詰めることが可能な上昇度。すでに二千四百を経験済み、大舞台に強い鞍上が強調点になった。 レジネッタは桜花賞馬にふさわしい良血馬だが、展開に恵まれたことは否めない。平凡な勝ち時計、人気馬の凡走。ラスト12秒6のレースラップでジリ脚でも差し切れたことがわかる。それまでのワンパンチ足りないレースと変わりない内容で、自力勝負では分が悪い。通算3勝のすべてが二千以上の兄アエローザという血統だが、チャカつく気性からどうにも距離延長がプラスにイメージできない。あくまでも展開次第。 アロマキャンドルは生粋の東京巧者。5走前はスプリングS馬スマイルジャックを完封、前走は33秒5の最速上がりで差し切れば良血馬の完全復活は侮れない。兄プレシャスカフェは短距離重賞ウイナーだが、母母ブラウンアイボリーはステイヤー。その母シャダイアイバーがオークス馬ならば、距離延びて一変した前走はひとつのきっかけにすぎないか。距離適性はNO1。 雨が強まればハートオブクィーンが今度こそ大駆け。前走でも最内から一瞬抜け出して見せ場。10`減でも数字ほど細く映らなかった馬体ならば、極度のスランプから抜け出していることは間違いない。馬場が悪化すればするほど歓迎の道悪巧者。十分すぎるほどの追い切りが好調の証。 ソーマジックの前走は直線で何度も前が詰まる不利があった。それでも最後のひと伸びで0秒1差は、重賞未経験馬としては上々の内容になっている。通算(3120)の成績が示すとおりに優れたレースセンス。数々の試練を乗り越えた前走を経験してさらなるパワーアップが見込まれる。 少しでも馬体回復がプラスになったムードインディゴは長距離輸送で再び馬体減の不安。万全な体調で出走微妙なトールポピー。以前の姿に戻るには時間がほしい。 距離延びてGUになれば、ますます重賞での実績を重視しなければならない。メイショウトウコンは距離を克服済みの実力馬。ワンダースピードは前々走のレコード勝ちが本物と裏付けられた前走の重賞勝ちで勢い重視。サンライズバッカスはギリギリの距離で評価を下げた。前走でひとまずクラスの壁に当たったゲイルバニヤン、ダート路線に固めたトーセンアーチャーが穴候補。 遅すぎた英断。たとえ10回ミスしても1回の成功がダービーならば馬主、調教師は鞍上変更が難しかったことも事実だが、ウオッカの乗り替わりは手遅れになってもおかしくない。掛かり癖を矯正しようと選んだのが、鞍上にとって一番簡単なマクり競馬だったことが歯車の狂い始め。超一流馬としては考えれない教育方法。牡馬の一線級相手に通用するわけがなく、3歳時の後半は歯がゆい競馬が続いた。 ベッラレイアはコンビ復活で鞍上に力が入る。勝つ気があるのかと疑うほど後方待機の前走は、32秒9の脚を使っても届かない4着。早仕掛けで失速するのを極端に嫌う鞍上らしい負けっぷりならば評価が落ちることはない。ダイワスカーレットを物差しにすれば、牝馬限定戦で大きく崩れることはない。休み明けで18`増だったローズSは最速上がりから当時好調だったレインダンス、ピンクカメオを差し切った2着。ローテーションの悪さは能力とコース適性の高さでカバーできる。 ニシノマナムスメはいよいよ良血馬の開花か。牝馬限定戦での好走はあっても牡馬相手になるとどうもパンチ不足が否めなかったモロさだったが中山記念、マイラーズCを連勝したカンパニーに同タイムの前走は本物の感触を得た。勝ち鞍が千六までに限られていた母ニシノフラワーの血統からもマイルこそが活躍の舞台に間違いない。千六(2200)、左回り(1100)。走る条件は揃っている。鞍上も騎乗停止でオークス、ダービーを棒に振ったうっぷんを晴らしたい。 何度走っても勝ち馬が変わりそうな福島牝馬Sを軽視すれば、やはり阪神牝馬S組に注目か。スタート直後の12秒台を除けば、すべて11秒台のラップで逃げ切ったエイジアンウインズは評価していい内容だ。各馬が控えて自然にハナへ。4角手前までほぼ一団となっていた流れだったが、追うと一瞬にして差は開く一方。重賞初挑戦で正攻法から完封勝ちは数字以上に収穫があった。焦点は距離克服だけ。 ブルーメンブラットの前走は馬群の中でズバ抜けた手応え。いくらかエンジンのかかりが遅かったが、ゴール前の伸びは軽く勝ち馬を凌いでいた。距離延長と直線の長さでごく普通に逆転が浮かんでくる。本格化後の東京コースはここ2戦で連勝中。昨年のこのレース時とは地力そのものが違っている。 ジョリーダンスの前走はひと息入ってリズムを崩したか。道中は掛かり気味、直線は一瞬抜け出しかかったが、逆手前で走ってゴール前に鞍上が追うのをあきらめた。最後は完全に勢いを失って格下に差される失態。衰えとみるか、叩き良化型で単なる試走とみるか。いずれにしても年齢的に大幅な変わり身からGT制覇は難しいだろう。はまって連突入まで。 ローブデコルテは前々の積極策が合ってないのが前走ではっきりした。行きっぷりが今ひとつで、直線手前から早々に手が動いて格下馬に追い負ける最悪の内容。これで鞍上は乗り方を元の追い込み策に変えてくるはず。アメリカ遠征で完全にリズムが狂ったが仮にもオークス馬。前3走でスピード決着のカンを取り戻せば、東京コースで復活の計算ができないこともない。腹をくくって末脚に賭ける。 初距離の千二がGT高松宮記念。人気先行となったスーパーホーネットだったが、意外なスプリント適性の高さで0秒3差まで迫った末脚は正直驚いた。千四でも距離不足を感じさせるレース内容だっただけに、底知れぬ成長力を示すレースになったことは間違いない。二千四百のダービー、千八の富士Sが含まれたとしても東京コース(1003)が死角といえば死角。長距離輸送に弱さがあるとすれば、本番で一気にトーンダウンになる。ここは大事な一戦。最低でもコース適性に手応えをつかみたい。 スズカフェニックスの前走は鞍上特有のGTでのプレッシャー負け。能力差があってもなくても、当たり前のように大事に乗りすぎる傾向は今年に入ってますます強まっている。本番では狙いづらくなるが、のびのび乗れるGUでは素直に能力を評価か。いずれにしても東京コースは大歓迎。 ドラゴンウェルズはスワンSでスーパーホーネットに0秒1差。古馬相手の重賞は初挑戦、4着馬に4馬身差などを考慮すれば、ひと叩きの前走は走って不思議なかった。課題は叩き3戦目になると燃え尽きる傾向の過去の実績。ここ好走で本番に夢が広がる。 アイルラヴァゲインがほぼ成長が止まったレースぶり。キングストレイルは絶好調時に比べるとさすがに迫力がパワーダウン。実績馬に強調材料が乏しくなれば、ダンスフォーウィン、グレイトフルタイム、ハイソサエティーの上がり馬が魅力。 ディープスカイは本格化を示す勝ちっぷりでGTリーチとなった。4角大外からひとマクりでアドマイヤコマンド(青葉賞馬)以下に差し切り勝ち。4着のヤマニンキングリーはプリンシパルS3着。5着のロードバリオスは京都新聞杯2着で、ますますレースレベルの評価は高くなっている。前日1番人気にならないのが不思議なぐらいの実力馬。すでに東京コースは経験済みで、前回はプラス10`となって輸送減りしない精神面の強さを示せば死角はないか。道悪は未知数でも迫力十分の馬体からパワー勝負にマイナスはない。 エイムアットビップの前走は悔まれる一戦だろう。レース前に予想もしなかったハイペースをそのまま追いかけて失速。着差からペース判断にミスがなければ金星も十分に可能だった。それでも結果的にここへつながる競馬になったことは間違いない。大逃げのダンツに行かせてハイペースを前々で折り合う流れは前走とほぼ同じ。今回は乗り替わりで人気的にもプレッシャーのないレース。鞍上は皐月賞のようにガチガチになって下手に乗ることはないはず。道悪を苦にしない血統、少しでもいい馬場を選んで走れる先行力、レコード勝ちのある絶対スピード。人気の盲点。 ゴスホークケンは10`増よりも逃げられなかった展開に前走の敗因がある。相手が軽かったデビュー戦はごまかせたが、手応え十分で追って反応しなかった東京スポーツ杯が逃げ一手の証だろう。ダメージも心配になるほどの惨敗で最悪のステップ。逃げにこだわりたいが、大外枠から韋駄天のダンツがハナを主張すればますます窮地に立たされる。 ファリダットはようやく短距離路線で落ち着いた。不可解だった千八〜二千二百の挑戦。デビュー2戦目のラスト失速が距離の壁をはっきり示した内容で、キングマンボ×ビリーヴの短距離馬がクラシック挑戦は無謀ということ。最速上がりの前走が古馬1000万級の時計で絶対的な存在にならないが、各馬が外々を回るような道悪競馬になって色気が出てきた。GTでプレッシャー負けの連続の鞍上だが、1番人気にならなければ信頼したい。 いくらか時計のかかる良馬場だったとはいえ、ニュージランドTの時計は評価できない。その1週前の3歳500万より0秒8も劣った数字では、さすがに価値が上がることはないだろう。千六3、2、1、1、1着のサトノプログレスは時計勝負に課題が残ったままで、成績ほど信頼度は高くない。デビュー戦は上がり34秒台で重馬場としてはあまり悪くない状態。道悪歓迎とは言い切れないならば、パワーが要求されて外々を回らなければならない極悪馬場になって取捨に迷う。内でとじこめられる絶好枠を引いた運のなさが決定的な減点材料か。ひたすら混戦待ちとなった。 重賞でもオープン特別でも大してレベルの違いのない今年の3歳世代。どんな相手でも入着ラインで一進一退のレッツゴーキリシマより、前走は直線の短さに泣いたダノンゴーゴーが面白い。道悪上手なサダムイダテン、ベストの距離に戻ってドリームシグナルが変わり身。鞍上との呼吸の悪さだけが目立ったブラックシェルは乗り替わりが強調点。 メイショウクオリアは芝のキャリア不足だけがネックだったが、前走は抜群の反応から一気の差し切り勝ち。いよいよ本格化ムードの素質馬は馬体キープで上位有力。未勝利勝ちの直後でも血統的な魅力でヨドノヒーローを狙いたい。母は二千のクイーンS勝ちのイナズマクロスで、二千四百のエリザベス女王杯4着など距離延びて戦績が安定していたスタミナ型。デビュー戦は距離不足と納得して前2走の結果を重視する。 あせりのある厳しいローテーションが多い中、ブラストダッシュは疲れが残らないステップが好印象。もうワンパンチほしいが、流れに左右されない自在型は頼もしい。幼さが残るヒルノラディアンより、意外性でポーラーライツ、グローリーシーズ、ロードアリエス。 オースミグラスワンは展開負けの多い不器用さがネックになっているだけ。とにかく新潟コースは走る。新潟大賞典1着、新潟記念6着でも着差はわずか0秒4ならば、実績残す57`で色気十分。サンライズマックスはひと叩きのローテーションから狙った一戦だろう。ヴィクトリーに同タイムだった若葉S、昨年暮れはハンデに恵まれたとはいえ3連勝目が重賞ならば力負けはない。 衰えは感じられないスウィフトカレント、シルクネクサス、カンファーベストが展開ひとつ。平坦コースでグラスボンバー、ブライトトゥモローの差し。ひと叩きのピースオブラヴも見限れない。 超ハイレベルになった京浜盃が3歳世代の基準レース。2着は兵庫グランプリ馬、3着は羽田盃3着馬、4着は羽田盃4着馬、6着はクラウンC馬。時計がかかる馬場では1分49秒台でも優秀ということ。メンバーNO2の上がり時計だった5着ギャンブルオンミー、終始外々を回った7着ミハタマイオアシス、直線で挟まれる不利があった8着ミサトアンバードは手薄な重賞で太刀打ちできる計算。 外枠を引いて再び控える競馬になって試練のモエレラッキーは、自分の形にならなかった京浜盃のもがいた姿がどうにも頭から離れない。行くしかないヴァイタルシーズに前走でギリギリの折り合いだったジャイアンツゲットが絡んでますます差し馬有利の流れ。マクる形で本領発揮のオーラガイアは崩れないが勝ち切れないもどかしさで連軸向き。ブライトフェースは落差のある戦績から団子になる流れでモロさが出そう。 メイショウバトラーは再び牡馬混合で真価が問われる。思っていたより立ち直りが早かったが、前走は距離適性。牡馬相手に勝った昨年のクラスターCは、強敵がアグネスジェダイのみという低調さ。東京盃、JBCスプリント、兵庫ゴールドTでは完全な力負けで1番人気を裏切っている。はまれば強烈でも、どこか牝馬らしいモロさが同居している8歳馬。昨年は2番人気で1番人気のリミットを大名マークから差し切り勝ちだったが、立場が逆になれば結果も逆か。絶対的な存在になればなるほど目標になりやすく、展開が厳しくなる。 リミットレスビッドは衰えなしを示す前2走になった。フェブラリーS5着、高松宮記念は0秒6差ならば着順ほど負けていない。昨年はスローを見込んで積極策が裏目。今年はキングスゾーン、コンゴウリキシオーなど行きたい馬が多くなれば流れは落ち着かない。メイショウを行かせて昨年とは真逆の立場から追い比べに持ち込みたい。 モマれない外枠を引けばアグネスジェダイの巻き返し。古豪のシルヴァーゼット、コアレスタイム。スプリント戦で花開いたフーバーダムも侮れない。 フジノウェーブの昨年大敗レースは敗因がはっきりしている。帝王賞が距離、フェブラリーSはスタート直後の芝。この2戦を基準外とすれば、統一Gでも通用することがすでに証明されている。勝ち馬より0秒6も上回る最速上がりだったさきたま杯は、完全な展開負けで0秒4差。これが布石となってJBCスプリントで大金星を手に入れた。伊達ではなかった10連勝。時計勝負に課題が残っていた頃とは能力そのものが違っている。ワイルド、ブルコンが同じような脚質でマークがしやすくなれば鞍上のミスはない。 マイラーのワイルドワンダーが低調な相手の千六に出走すれば、主役級の評価は当然。とにかくダートでは崩れない安定感が強みで、千六以下のダートに限ればすべて馬券に絡んでいる。久しぶりの交流挑戦になるが、5走前の南部杯から地方馬場はむしろ歓迎ムード。 ブルーコンコルドはスランプというより、もとよりマイラー色の強かったスピード型が距離に限界がみえたということだろう。二千以上の距離ではワイドも遠かった昨年後半の3戦が現状のスタミナ。ベストの千六でラチに頼れる左回りはとにかく走る。 トップサバトンは一線級でひとつ壁ができたか。どうにも歯がゆい競馬は相手が低調になっても変わらないのが現状。低空飛行での成長度合いでは強調できない。ボンネビルレコードは中距離に良績集中でマイル戦の好走が浮かばない。シャドウゲイトは展開の利だけが頼り。狙いが定まらないローテーションで経験レース。 メイショウサムソンは絶対的な存在から絶望的な存在へ変わっていった。すべては乗り替わりが悪夢の始まり。当初は最強コンビ誕生とも思えたが、超一流から単なる一流に格下げになった鞍上は、どんなレースでも消極的になって重賞でとりこぼしが続いている。サムソンとのコンビでも理解できない騎乗ぶりが何度もある現状。天皇賞秋は内々でじっくり折り合って好結果に結びついただけ。直線入り口で前がポッカリ開いた展開の利は、鞍上自ら切り開いた勝利でもない。その他の3戦が能力基準となればますます強調点が失われてくる。なにより石橋騎手とのコンビであったうなるような行きっぷりの良さが出なくなったことが以前との違い。呼吸の合わないコンビ、長距離向きとは思えぬ体型、昨年とまったく別馬のようになったステップレースなどマイナス材料が揃いすぎた。断然人気になれば見切っていたが、少しでも気楽に乗れる2番人気になれば復活の手応えぐらいはつかめそう。 レベル低い牡馬の4歳世代だが、どうやら菊花賞の1、2、3着馬は該当しない。3着ロックドゥカンプは有馬記念4着、2着アルナスラインが先週のオープン特別をトップハンデでぶっち切り勝ち。菊花賞馬のアサクサキングスは59`を背負って最強馬相手にステップレースで0秒2差と好走すれば文句なしの主役となる。16`増、時計勝負、勝ち鞍のない距離など数々の課題をクリアした前走内容は着差、着順以上に価値が高い。母系からイメージしづらい長距離に良績集中だが、スタミナを問われる流れになった菊花賞を勝って本物のステイヤーと評価を改めたい。死角は古馬GTで1番人気のプレッシャーがかかる鞍上だけ。GTでの勝負弱さはある意味、関心するほど。 アドマイヤジュピタはいい意味で予想を裏切る快進撃を続けている。4走前はまだ1000万勝ちの格下。ハンデを生かして重賞初制覇してひと息入ったことが奏効した。GV並みのメンバーになった前々走は16`増が響いてラスト失速したが、前走は58`を背負ってGT上位常連のアイポッパー、ポップロックを最速上がりで差し切れば本物。以前と逞しさが大きく違っている。派手さはないがとにかく渋太い先行馬は折り合い自在のレースセンスを重視。 ポップロックは取捨が難しい。有馬記念2着、宝塚記念3着、天皇賞秋4着、ジャパンC2着だが、勝ち切れないジリっぽさでGT未勝利が続いている。前走も実績比較から負けてはいけない相手。同じ斤量を背負って追い負けではいくらか年齢的な衰えもあるか。対サムソンは3勝2敗。ひと叩きで距離延長という好条件が揃ったステイヤーは、鞍上にすべてを賭ける。 ドリームパスポートもサムソン同様に正念場が続く。鞍上との呼吸の悪さだけが目立っている近況で、以前の輝きがない。自ら前の馬にぶつかって落馬寸前だった有馬記念。早仕掛けで足元をすくわれたAJCC。気のいいタイプのはずが終始掛かる折り合いになった京都記念。向正から早仕掛けで無駄な脚を使うというちぐはぐなレースの産経大阪杯。これだけ下手に乗っても鞍上そのままでは狙いづらい。クラシック時はサムソンとガップリ四つの実力馬だが、鞍上の資質が問われる長距離戦で勝ち負けの計算は難しい。あくまでもはまった際。 ホクトスルタンが人気になれば妙味はない。前走が1600万という格下馬。スピード、スタミナなどすべてを求められる天皇賞春でいきなり上位争いできるほど層は薄くない。相手は古馬のGTで百戦錬磨。ゴール前で完全に失速した菊花賞が着差以上の完敗ならば、再び距離延びて打つ手はない。 天皇賞春に良績を残すアイポッパーは典型的ステイヤーで狙い目十分。3年前は0秒2差の3着、2年前は3着馬に0秒1差の4着、昨年は最速上がりで0秒1差の4着などレベルの高い相手でもとにかく崩れない安定感。長期休養明けを叩いて復活の手応えをつかんだ前走から、ごく普通に勝ち負けがイメージできる。 距離適性と魅力の鞍上でアドマイヤモナーク。昨年の天皇賞春で0秒4差、前走は3着馬に0秒3差だったトウカイエリートが混戦浮上。 良化余地を残す馬体だが、実戦では大人びたレース内容になるファビラスボーイ。前走は4角で団子状態の展開から、前が開くと一気の差し切り勝ち。母ファビラスラフインと同様にとにかく勝負強さが際立っている。時計以上の強さで2連勝。掛かることのない気性の良さと馬群にひるまない精神力。スピードよりパワーで圧倒してきた内容からも、距離延長は悪くない条件だろう。緩めの馬場はむしろ歓迎材料。披露が抜け切っているかだけに焦点が絞られた。大幅な増減があれば見送るべき。 センスの良さを重視すればニシノエモーションが面白い。デビュー戦の同タイムだった1、3着がGU馬フサイチアソート、サトノプログレス。2戦目がレコード勝ち、休み明けが4着でも0秒4差の安定感ならば、通算(2101)はキャリア以上に重みがある。スローになっても惑わされないスムーズな折り合いで、距離延びて良さの出てきた上昇度。スピードにスタミナが加わって堂々たるオープン馬へ近づいてきた。東京コースに高い適性。 ダービー1本に絞ってきたマゼランは戦国クラシックで頂点を目指せるだけの雰囲気がある。前走は逃げ馬が飛ばす流れで中団より後方待機から抜群の反応で後続を振り切った。終わってみれば好時計勝ち。大跳びでスピード感はないが、ゴール手前で逆手前になったこと以外は完璧なレース運びとなった。2、3、4着馬がその後2勝目を上げた相手ならば、レースレベルも高かったということだろう。それでも不安材料も多い。外から被されることなく、まったくモマれない流れで厳しさを体験できなかったこと。綺麗なフォームで道悪になってプラスがないこと。極めつけはスローが確実なメンバーでも鞍上は徹底して消極策になることなど惨敗しても不思議のない条件が揃っている。 アルカザンの前走はスローペースにもかかわらず、勝負どころですでに最悪の手応え。ラストまで渋太い末脚だったが、見た目には着差ほどの接戦でなかったことも事実。どうやら相手なりの善戦マン。新馬戦は2着馬以外がいぜん未勝利、前々走も他馬で2勝目を上げたのが現時点でわすが1頭だけでは名ばかりのオープン戦というレベルの低さ。あくまではまった際のワイドまで。 フジヤマラムセスはいかにもパワータイプ。休み明けらしい乗り方でニシノに0秒5差は悪くない内容で、いくらかテンションが高かった前走よりも確実に上向く計算ができる。アドマイヤコマンドは4角で前が壁にならなければもっと際どかったか。キャリア1戦で重賞2着は夢が広がる好結果。 モンテクリスエスは展開負けで泣き続けてきたレース下手だが、前走からどうやらクラシックディスタンスで本領の長距離型か。クリスタルウイングは調教師、鞍上から実力以上に人気で妙味がない。前走も平凡な時計と最速上がりでなかった瞬発力。ごく普通に相手が上がれば確実に壁が近い。あせりが感じられるローテーションで中途半端な充電だけではますます信頼性に乏しくなった。馬場悪化となってピッチ走法のドットコム、展開の利でドリームキューブが大駆け。
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