|
|
ブエナビスタは現役最強どころか、これまでの日本競馬最強牝馬としての称号でもしっくりくる。それでも激戦続きのGT路線を歩んでいる牝馬には常に割り引きたくなる見た目の悪さ。良く言えば無駄のない研ぎ澄まされた馬体だが、コンパクトすぎる非力な馬というのが誰もが浮かぶ普通の印象だろう。 無敵だった牝馬クラシック時代、レースレベルが上がって鞍上のへぐりが浮き彫りになった3歳後半、乗り替わって再び輝きを取り戻した4歳前半。超一流騎手にバトンタッチの前2走でさらなるレベルアップ。いくつかの壁に当たりながら化け物へと変貌していった。 前走は直線の追い比べで2度内にヨレる痛恨のミス。1度ヨレた時点でムチを持ち替えれば降着になることはなかった。不利があってもなくても鋭さ負けだったローズキングダム。ヴィクトワールピサ、ペルーサ、メイショウベルーガが完全な力負け。変わり映えしないメンバーで、負ける際は昨年のような展開負けに限られた。 すべて長距離輸送のGT3戦目でも、これまで不安視してきたレースの反動は無視するしかない。母系重視の判断がどうにも裏目。父系が色濃く遺伝したと納得して改めて死角を探したい。 "ラチ沿いの魔術師"として評価したいヴィクトワールピサを狙う。とにかくラチに頼れる折り合い、追い合いでは強さを発揮してきた。前走は逃げ馬の直後からがっちり折り合って直線もラチ頼り。振り返れば同じ舞台の弥生賞、皐月賞はまさに終始ラチ沿いに固執して一瞬にして差し切り勝ち。結局鋭さが超一流馬より長続きしないタイプは、東京コースで33秒台の瞬発力勝負には限界があるということ。スローになっても34秒後半になる有馬記念特有のレース上がり時計なら、失速気味の入線になった前走とは一変する。 エイシンフラッシュは経験値で少し割り引いただけ。前走は直線入口で真横のヴィクトワールより手ごたえがありながら一気に置かれたが、それでも最後不利を受けてブエナから0秒7差は立派。リズムの狂ったステップ、古馬初対戦の二重苦だった前走からひと叩きで確実に上向くだろう。ダービーの32秒7の末脚は数字ほど切れ味を感じなかった差し馬。カキ込む走法で手前の替え方もどこかぎこちないタイプは、だらだら坂の東京コースより、急坂の中山コースがイメージに合う。鞍上はリーディング首位にあと一歩。ここぞの勝負強さも加味される。 オウケンブルースリは予想以上に立ち直りが早かった。一戦必殺タイプで、以前はどうしても激走後のダメージが残っていたが、約1年ぶりの実戦を2着後にジャパンCの見せ場で体質強化がうかがえた。この中間は真一文字に伸びて好時計の追い切りにまったく乱れがなければ、さらなる上昇度が計算できる。菊花賞の大マクりこそ理想的な仕掛けのタイミング。切れ味が求められたジャパンCより、ある程度のスタミナと器用さが求められる有馬記念で条件好転は言うまでもない。 ペルーサは良くも悪くもスタートの呪縛から逃れられなくなった。なぜか陣営はスタート良化に固執しているが一歩、二歩目でまったく出脚のつかない馬にいくら練習しても改善は望めない。逆に五分に出て前々競馬でリズムを崩すことに怖さがある。これまで徹底した待機策で3戦連続の最速上がりの切れ味。超スローの流れに近いラップで突然前々の位置取りでは、腕力の衰えた鞍上なら暴走しても驚かないだろう。これまでどおり置かれた位置取りが理想。 ムチ1発で反応抜群。エンジンがかかった後はみせムチだけで後続を振り切ったウインバリアシオンは、相当な能力を秘めている。子供扱いした2着馬が次走デイリー杯3着で、改めてレースレベルの高さがうかがえるだろう。最後流して33秒9の瞬発力は明らかにクラシックレベル。ゆったりしたローテーションがマイナスに出なければ、ごく普通に直一気が浮かぶ。 ショウナンマイティは完成度の高さが強調できる。数字ほど切れた印象はないものの、素質馬揃いの前走を4角ブン回しで一気の差し切りが底力の違い。グランプリボスがGT制覇で北海道組が例年以上に侮れなくなった。デビュー戦でグランプリに接戦だったオールアズワンは仕上がりひとつ。 ダノンバラードは前走が本来の姿。ディープインパクト産駒は嫌なイメージが強まってきた。デビュー戦を叩いても見違えるほどの上昇度が見込めない馬が多数。あれだけ勝ち上がっても2勝馬の少なさが成長度、変わり身という大きな課題を残している象徴的な結果になっている。 穴ならビップセレブアイ。前走は鞍上が制御できなくなって暴走失速。乗り替わりこそが狙い目。 サダムパテックが勝つ。身体能力は現時点でズバ抜けた位置付け。これだけの馬を負かすような乗り方をしたデビュー戦が論外で、一流騎手が乗れば完璧な好位差しから2連勝が本来の姿と断言できる。デビュー戦は明らかなへぐり。超スローを不可解な中団待機ですでにリズムは狂っていた。大事に乗りすぎか、ペース音痴かは微妙だが、33秒5の瞬発力でも届かなかったのが現実。脚色は勝ち馬より凄みがあって完全に脚を余した内容なら負けて強しと納得できる。前々走は一変して強気の先行策。メンバーNo2の上がり時計より0秒5も上回る最速上がりで素質の片鱗がうかがえた。極めつけは前走の1分47秒3。東京スポ杯2歳Sの過去10年ではNo2の破格時計で早くもクラシックを意識させた。心身ともに大人びた風貌。世代トップレベルのスピードに千八を苦にしないスタミナ。流れに左右されないレースセンスが加われば鬼に金棒。中団待機から前走の再現が浮かぶ。 相手探しは難解だ。リフトザウイングスは人気ほど怖さがない。徹底した待機策で終始ロスのないラチ沿いを立ち回って直線に賭けた。直線はバラけた展開で捌きやすかったこと、最速上がりほど切れ味を感じなかったことなど着順ほど中身が伴わない。坂下で逆手前になってギリギリ2着は勝ち馬と同じ上がり時計と思えぬ末脚だった。トモが寂しくなり、絞りすぎに映った馬体も割り引き材料。 グランプリボスは典型的に乗り替わりでリズムを取り戻した。前々走は内々の折り合いだったが、4角で無駄に最内から外へ出す不可解な騎乗ぶり。完璧な折り合いから楽に抜け出した前走で、まともに乗った際の強さを証明すれば前々走を一過性のポカとして割り切れる。なるほどデビュー戦で札幌2歳S馬を完封、3着馬に0秒8差が能力基準だったということ。前々走のへぐりで惑わされたが、ラスト流して楽勝した前走は本物の強さ。スタート不安を抱えるサダム、リフト、リベルタスより信頼できる安定感。 リアルインパクトは10キロ減の前走でも、まだ良化余地を残す馬体。地面を叩きつけるフットワークは迫力十分で、現実に連続33秒台の瞬発力で出世を確約されている。課題は距離に絞られた。母トキオリアリティーは千四以下で3勝。兄アイルラヴァゲインも千二ベストのスプリンターとして完成されれば、前2走より1ハロン延長でもう1段階の成長が求められる。 リベルタスは良血らしいセンスの良さで3戦2勝だが、前走は直線で何度も手前を替える若さ。さらに2ヶ月半の間、4戦目という過酷なステップで強気になれない。前走でもすっきり映る馬体で中1週の長距離輸送。外から被されない位置取りだった前走と一変して、くしゃくしゃにモマれる内枠を引けば惨敗があっても驚かない。 アドマイヤサガスは前走の経験でひと回りの成長が期待できる。破格の瞬発力を使った勝ち馬だけがフューチャーされるが、馬群をスムーズに捌いて真一文字の伸びは高い評価でいいだろう。ツキのない大外枠が唯一の減点。 コスモネモシンの完全復活が近づいている。馬体減に悩まされたクラシック時から、長距離輸送でも減らなくなった体質強化。もう一段階の成長を計算していい重賞ホルダーだろう。デビュー3戦目以来の牡馬混合の前走は、リルダヴァル(次走GU3着)とほぼ互角の瞬発力で地力と距離適性の高さを再認識。平坦二千、ハンデ、牝馬限定など絶好の条件が揃って前走以上の走り。 相手にはGT出走の底力重視。ひと叩きのヒカルアマランサス、充実一途なテイエムオーロラが距離微妙ならばセラフィックロンプ、ブロードストリートの距離適性の高さを強調。3歳レディアルバローザ、タガノエリザベートが大駆け候補。 キンシャサノキセキは前走ではっきり浮かぶ距離の限界。久しぶりの千六で3角すぎまで引っ掛かる折り合い難は、単にテン乗りが影響しただけではないだろう。ここ2年は徹底した千四以下のローテーション。GT勝ちを含む重賞4連勝時と比較しても、4角前でほぼギブアップとなった前走はいかにも不完全燃焼に終わっている。昨年の覇者が叩き3戦目、距離短縮の条件好転でごく普通に巻き返す。 ゴールスキーは前走GTでも目立つ馬体。一瞬夢を見た前走は納得できる結果だった。最後の最後、ゴール直前で失速。1、2、4着馬より明らかに脚色は衰えたのは、GTどころか、重賞初挑戦がすべてと割り切れる。未知なる距離の減点は2戦2勝のコース条件で相殺。少なくても33秒台の瞬発力は確約できれば、大きく崩れることはない。 狙いたいのはガルボ。クラシック時の極度の不振から完全に立ち直るどころか、イメージ以上にレベルアップしてきた。前々走はマイルCS2着のダノンヨーヨーに0秒2差。重賞で上位常連のリルダヴァル、セイクリッドバレー、サンカルロに先着。大変身したと確信できるのが前走だろう。スタート直後は10秒台を刻んだハイラップ。前々走より5ハロン通過が1秒6も速い流れで勝ち馬から0秒8差に価値がある。ハナを切ったジョーカプチーノ(次走楽勝)に0秒2差が着順以上に中身の濃いレースだったことの証で、前走より確実に流れが遅くなる相手になって一変の可能性。 リーチザクラウンは外から被される位置取りを極端に嫌う。前走の惨敗はある程度予測できた結果で、主戦に戻してどう立ち回るか。微妙な枠順なら強気の逃げで力試し。 サンカルロはいい脚が一瞬だけとわかっていながら、外枠を引くと当たり前のように4角外へ回して届かないという決まった乗り方に固執する鞍上。それでも乗り替わりなしの温情では進歩なし。人馬ともに引退間近なビービーガルダンの一変はどうにも浮かばない。千二のスペシャリストは微妙な距離延長とひと息後で強調点不足。 初ダートでGT挑戦など誰もが無謀と思った前走は案の定、見せ場もない惨敗。レッドスパーダは立て直しの芝レースで今後を占いたい。リビアーモ、ショウナンアルバはリーチが暴走した際の混戦要員。 翌日の牝馬限定未勝利より下回る勝ち時計となったファンタジーSは数字どおりの低レベルと断言していい。ロスなく内々を回った勝ち馬マルモセーラは流れがはまっただけ。脚を余してゴール直前に交わしていたホエールキャプチャは悔やまれる一戦となったが、それ以上に注目したいのがマイネイサベル。終始ラチから6、7馬身分も外を回るという安易な乗り方を選択で4角ほぼギブアップ状態。好枠を引きながら不可解なコース取りだったが、それでも最後まで勢い持続の末脚に重賞ホルダーの片鱗を示した。1〜6着までラチから近いコース取りで、この馬自身は0秒4差。勝負どころで脚をためることができた勝ち馬マルモ、3着ホエールよりかなり厳しいレース経験でさらなるレベルアップが計算できるだろう。母は函館3歳S、クイーン賞をいずれも8番人気で2着の一発屋血統。外を回って鋭さ負けの前走を教訓に今度は内々じっくり我慢で瞬発力勝負に賭ける。 レーヴディソールは強烈な瞬発力で勝負を決めた2連勝の中身が濃い。前々走は馬群の中で折り合ってスムーズに捌いて直一気。残り100からは他馬が止まってみえたほどの切れ味に鋭さがあった。前走は牡馬混合でも風格さえ感じられた横綱相撲。鞍上は4角ブン回しで自信満々の騎乗から、前々走と同じくゴール前で加速するような瞬発力で圧勝している。早くもクラシックを意識できる完成度の高さだが、死角があることも事実。とにかくいきなり勢い失速する早熟血統はどうにも避けられない運命だろう。 アヴェンチュラは前走で牡馬にも負けぬ勝負根性を披露して主役級の評価できるが、レーヴ以上の早熟血統に死角が生まれる。とにかく2歳戦に強く、3歳春には燃え尽きる傾向が強まっている特異な血統。兄フサイチホウオーは4連勝後の皐月賞3着で終わった超早熟。姉トールポピーはこのレース勝ちやオークス制覇など華麗な戦績でもオークス後は別馬のような変身ぶり。なるほど牡馬混合でもヒケをとらない前走のパドックの姿。勝負どころは終始外々で追っ付けどおしの手ごたえの悪さでも直線もうひと伸びが底力の証。牡馬を蹴散らす最速上がりに現時点でのスピード、パワー、底力が揃った完成度の高さが示されている。すでに固まった好位差しで、大きく崩れるイメージはまったく浮かばない。 ダンスファンタジアはムチを使わず楽勝した前2走で逆にポカが頭をよぎる。デビュー戦こそ馬群から一瞬にして抜け出す大人びたレースぶりだったが、終始行きたがる気性先行の折り合い。前走は折り合い良化も外から被されることのない楽な流れでは収穫らしい収穫が見当たらない。質より量という調整法では実戦でどれだけ吸収するかに限られている独特の厩舎。牝馬限定で楽な競馬続きでは世代トップレベルの能力を秘めていても絶対的に経験不足が否めない。440キロ台まで馬体が減れば完全無視。 リトルダーリンは良血馬らしいセンスと馬体の良さが強調点。前走の上がりレースラップはゴールまで加速するハイレベル。追い出してからの反応の良さはケタ違いだった。ホエールキャプチャは逃げ差し自在に捌いて好結果。距離経験済みの強みを加味すれば、前走のゴール直後に交わしていた破壊力は不気味。 重賞で入着経験もないセイクリムズン、エノク。重賞出走経験もないマハーバリプラム。ナムラタイタンは未知なる千二でひとまず評価を下げる。決まって置かれるシルクフォーチュンは展開負けの嫌いがあれば、交流重賞で結果を残してきたスーニの出番がある。同じ鞍上で限界がはっきりしても乗り替わりなしは不可解だが、キャリア6戦目で59キロを克服した中山コース替わりは悪くない。短距離交流ダートを連勝したのは今年春。スマートファルコンに接戦など、ズバ抜けた実績となる相手関係でここは正念場。穴馬は大井2騎。前走でサマーウインドに肉薄したヤサカファインは当然だが、見た目がパワーの短距離馬としてのイメージが強く、軽い馬場になって試練が待っていれば、ジーエスライカーの方が魅力がある。前走は東京盃より時計が出にくい馬場なら、数字的に東京盃とほぼ互角の評価が可能。生粋のスプリンターが短距離に路線を固めれば、大井外コースより直線短い中山コースで激走があっても驚かない。スタート直後の芝がカギを握る。 トゥザグローリーがここで初重賞制覇を決める。青葉賞2着、ダービーは0秒5差の7着、NIKKEI賞は0秒2差の5着、マイルCSは0秒5差の7着。ひとつ歯車が合えば、来年重賞ロードの主役として歩める成績を残してきた。微妙な距離、小回りで大出遅れなど敗因がはっきり。中距離ベストの素質馬は今までどこか条件にズレがあっただけで、手ごろなハンデの二千では力が入る。3走前の勝ち馬トーセンジョーダンはGUを横綱相撲。古馬相手のGT初挑戦の前走は4角最後方、大外ブン回しの雑な乗り方から0秒5差が充実ぶりを物語っている。名手にしては前走淡白な乗り方。2度目の騎乗で結果を出す。 スリーオリオンの前走は数字的にはっきりレベルの高さがうかがえる内容だった。将来的にGT勝ち負けがみえた勝ち馬トーセンジョーダン。2、3着馬が続くステイヤーズSでワンツーフィニッシュ。最後は距離経験の差という見せ場十分なら、胸を張れる4着だろう。5着と0秒4差は明らかなレベルの違い。中距離で本領発揮。 GTでもGVでも常に相手なりのレベルから抜け出せないナムラクレセントは人気が落ちて妙味。前走は距離が応えたマイネルスターリーはイメージどおりの小回り二千で無視できない。海外遠征が命取りになって極度のスランプ入りしたヤマニンキングリーより、些細なきっかけひとつで以前の勢いに戻れる3歳馬ゲシュタルトに怖さ。充電完了のバトルバニヤンは小倉(3301)のスペシャリストで穴馬に一考。 トランセンドは乗り替わりが奏功して息を吹き返した。問答無用の逃げに徹して2、2、1着。3走前は負けて強し。終始息が走らない流れで早めスパート。直線早々に3馬身差をつけて完全なる勝ちパターンだったが、後方で脚をためていたシルクに競り負けては納得の惜敗だろう。前々走は前半で10、11秒台もあるハイラップ。それでも上がりラップに11秒台が含まれる超ハイレベルな一戦は極めて中身が濃い。4角前に勝ち馬フリオーソが外から一気にマクるという逃げ馬としては最悪な流れ。同斤量のスマートファルコンとの2着争いに競り負けなかったことは大きな自信になった。いつも以上に楽にハナを切れた前走圧勝は当然といえば当然。勝負どころでは引きつけて直線入口で一気の仕掛けからセーフティリードは着差以上の強さを感じられる。大一番で再び好枠を引けたツキの良さ。自分の形なら崩れることはない。 キングスエンブレムの前走は中団より後方待機の選択が理解できない。トラン出走時は常にレベルの高い時計勝負。向正で慌ててラチ沿いを一気に追い上げても、トラン相手に4角5馬身差の位置取りで勝負あり。脚を余した2着はいかにもとりこぼしのレースだった。再び内枠を引くツキのなさで、バラける流れが望めない相手関係なら、外々の折り合いに切り替えられるかどうかで勝負が決まる。勝負どころで外からマクり競馬が理想。 シルクメビウスは結局ペース無視でひたすら折り合い重視の乗り方だけにムラがある。3走前、前々走は3角前から一気にペースアップした典型的なサバイバル戦になったこの馬向きの流れ。JBCクラシック、東京大賞典が霞む1着賞金がかかれば、各馬仕掛けにはいつも以上に慎重になるはず。3角すぎにペースが上がらなければ、前走以上に厳しいレースが待っている。 主戦に戻ったグロリアスノアはスタートを決められない鞍上で以前の姿に逆戻り。ヴァーミリアンは前走の大敗ではっきり衰えがうかがえた。もとよりJRA馬場ではかなり前にスピード面で限界を示している。JRA馬場になると行きっぷりが悪くなるアドマイヤスバルは、阪神(0212)以上にイメージダウン。前走トランを徹底マークで惨敗したダイシンオレンジは乗り方に工夫が求められる。意外性ならアリゼオか。不気味な鞍上は未知なるダートでは気楽に乗れる強みでハナ主張も考えられる。 穴ならマカニビスティーだろう。大井在籍時の3戦はすべてが次元が違っていた。4走前は内コースで大マクり圧勝という規格外。3走前は超ハイペースを早仕掛けで負けて強し。前々走は時計こそ平凡だが、逃げ馬より1秒7も上回った瞬発力で着差以上の楽勝だった。じっくり乗り込んで仕上がり上々。休み明けでも侮れない。 ネヴァブションはこの馬なりに高いレベルで状態が安定している。3走前はブエナビスタに0秒4差で上がり時計は0秒1劣っただけ。前々走は1、2着馬より上回った上がり時計。前走も3着馬に0秒2差なら勢いは本物ということ。3年前のステイヤーズSは58キロを背負って2着。当時、前2走はいずれも掲示板を外していたならば、今年は雲泥の差の順調さ。完調が見込めるステップで主役に抜擢する。 トウカイメロディの前走は1番人気のローズキングダムを意識しすぎて超スローペースをはるか後方待機。スタミナ勝負に持ち込んでこそ、勝ち負け可能な相手に自ら不得意な瞬発力勝負に挑んで自滅している。GTどころか、今年重賞未勝利の鞍上では仕方なしのへぐりとして納得すべきだろう。ペースを把握しない、できない鞍上なら、どのみち相手に合わせて動くマーク屋として専念。スローの瞬発力勝負に持ち込まれて前走の悪夢がよみがえる。 ジャミールの前走は皮肉にも主戦より上手く乗った。仕掛けのタイミングが難しい鞍上泣かせの癖馬を内々でじっくり折り合い重視。まったくロスなく捌けば、大外直一気で伸びてきた勝ち馬に完敗ということ。GUで2度の2着の実績より、オープン勝ちのない勝負弱さを強調したい。崩れないが勝ち切れないレースは続く。 人気のトウカイ、ジャミールが重賞未勝利なら立場は同じ。コスモヘレノスの充実ぶりに期待する。地味なタイプだが、実績から確かな裏付け。弥生賞5着、毎日杯6着はリルダヴァルに0秒3差、ルーラーシップに0秒1差。一時のスランプから抜け出して長距離に活路を見出せば走る下地は十分。 フォゲッタブルは昨年のステイヤーズS、今年のダイヤモンドSとマラソンレースを連勝。ステイヤーとして完成されそうだが、いかにも物足りなかったのが条件的に悪くなかった天皇賞だろう。ひと息後が敗因と思えぬ行きっぷりの悪さ。その後の低調さから58キロの斤量泣きの可能性が出てきた。ここは半信半疑。 ヒルノダムールの前走も2着ローズキングダム同様、必要以上に控えてとりこぼした。着順、着差よりローズにわずか0秒1劣っただけの上がり時計を評価したい。ルーラーシップはいい形で来年につなぎたいだろう。近くて遠かった重賞制覇。デビュー以来すべて掲示板でも、どこか危うさを感じる。エアグルーヴの仔は常に期待値込みの人気先行で妙味ならリルダヴァルか。前々走は陣営の欲が前面に出たあせりのローシーション。間隔のない長距離輸送で二千→千六ではあまりにも条件が悪すぎた。千八はベスト距離。 アドマイヤメジャーは名手が乗れば馬が変わる典型的なパターンで本格化が加速する。切れ味身上とはいえ、前走はイメージ以上の鋭さ。ますます磨きがかかった瞬発力は、はっきり重賞級と確信した。シルポートは前々走で乗り方の悪さを露呈すれば、同じコンビで変わり身は難しい。アクシオン、リトルアマポーラはゆっくり下り坂。驚くような変身は望み薄。
|
|
|