|
|
ペルーサは二千四で予想以上にスムーズな折り合いだった。絶好枠だったが終始ラチ沿いの折り合いでもなく、3角手前から馬群の中へ。直線では自然と前が開いたとはいえ、抜群の瞬発力で突き抜けている。いつもより真剣に追って手前もスムーズ。残り1ハロンから流して、ごく例年のダービー勝ち時計の時計で圧勝すれば文句はない。前走まで不安だった距離延長による折り合い難、モマれた際のモロさ、本気で追った際の姿など数々の課題を同時にクリア。順調すぎるぐらいのステップレースをこなして本番に挑める。死角とすれば雨か。追い切りでも荒れた馬場になれば、コース変更する厩舎。雨によって嫌気が出ることも考えられる。やはりパンパンな良馬場がベスト条件。予想以上の雨量で減点する。 ヴィクトワールピサの前走は勝ちっぷりというより鞍上が弥生賞と同じ進路を取ったことに驚いた。スタート直後に内に切れ込んでラチ沿いを確保。狙った位置取りと思うが、結果が求められる乗り替わりで中団より後方の内々で待機は勇気がいる。4角で先頭から早くも3馬身差。各馬が外への意識が強く、2着馬ヒルノダムールが大外で前が壁になって追いづらい場面があれば、馬の能力と鞍上の頭脳プレーがうまくリンクしたということだろう。とにかく抜け出すまでが速かった瞬発力。スピード感ない大跳びだが、渋り目の馬場で12秒前後の上がりレースラップを直一気は見事な離れ業だった。焦点は仕上がりに絞っていい。皐月賞は木曜体重から16キロも減ったこと。今回も前回並みの前走より木曜14キロ増だが、長距離輸送3度目の慣れで思ったほど馬体が減らない可能性は否めない。前走が理想的な馬体のバランス。 人気的に3頭目の存在になっているヒルノダムールは仕上がり重視でいい。木曜体重で28キロ増が輸送の弱さの表れ。前走も木曜体重から18キロ減が仕上げの難しさを物語っている。確かに前走は4角入り口で一瞬前が壁にならなければ差し切っていた末脚だったが、外めの枠を引いて鞍上の性格上、内をつくイメージが浮かばなければ怖さはない。前々走は直線追い比べでぶつかりながらとはいえ、ペルーサには着差以上の完敗が直線長い東京コースでの逆転を難しくしている。母は千八まで、二千にはっきり距離の限界を感じさせていたシェアエレガンス。ますます条件悪化か。 穴候補としてリルダヴァル。前走時の馬体が前々走と一変なら、さらなる上昇度が期待できる。休み明け2走は少なくても万全ではなかった。2歳時のような弾ける瞬発力型というイメージは薄らいだが、長くいい脚を使えれば東京コースが一番しっくりくる。 まともに乗ればルーラーシップは前走ぐらい走って当然だが、相手に恵まれたことも事実。時計ほどの価値はない。レーヴドリアンは今の高速馬場が当たり前の馬場で、追い込み馬として育てるのは時代錯誤。常に見せ場はあるが、それ以上は着順、着差以上にハードルは高くなっている。アリゼオは皐月賞上位組の中では一番気楽に乗れる立場で思い切った奇襲策を期待。時計勝負に不安が残ったままのエイシンフラッシュは鞍上頼り。ローズキングダムは目の前のにんじん(皐月賞)を取りにいって一気にトーンダウン。小柄な体型は血統譲り。心身ともに使い減りする春の中山を使った反動は必ず出てくる。前走ですでに予想以上の馬体減。木曜体重から12キロ減では、今回の木曜体重10キロ増だけではさらなるマイナス体重の懸念。 単調な逃げ馬ミッキーペトラが主導権の流れでハイペースになることはない。ゆったりした流れになるとモンテクリスエスの出番が遠ざかる。上がり勝負ではどうしても鋭さ負けの連続。ダート混合の路線もマイナス材料。トップカミングは東京(1323)が勝負弱さの象徴。実績が物足りないコパノジングー、イケドラゴン、トウショウデザートなど格下が揃えば、アルナスラインは負けられない。東京(1110)は目黒記念2着、アルゼンチン共和国杯3着が含まれている。 一流馬の1年以上のブランクは致命傷。アドマイヤオーラは目標がはっきり先に向いている。スマートギアはレベルが高くても低くても相手なりという勝負弱さ。ナムラクレセントも同じようなタイプの懸念が出てきた。一進一退のタスカータソルテは着差以上に能力の開きを感じさせれば、ごく普通にアクシオンか。年齢的に一戦必殺の高齢馬。前2走ですでに軽くGUレベルだったと確信すれば、休み明けに大幅な減点はない。穴ならば鞍上との相性の悪さだけが近走目立っていたリトルアマボーラ。 アパパネはまず充実した馬体に驚いた。よほど栗東の水が合っているのか、見違えるほど馬体充実で迫力十分。他馬と比べると雲泥の差の威圧感で存在を示していた。まだ絞れる馬体ながら着差以上の完勝でスピード、パワー、底力など総合的な器の違いがうかがえる。 オウケンサクラの前走は奇襲策が裏目に出たが、それでも馬場状態を考えれば悪くない選択だった。終わってみれば4角で先頭から2馬身差以内の決着で1〜4着を独占。桜花賞よりオークス向きの血統なら胸を張って再東上になる。母は重賞2勝でGTエリ女2着のランフォザドリーム。中山牝馬Sは重馬場で2着。母母ミルフォードスルーは極悪馬場だった函館3歳Sを快勝した"道悪の鬼"血統。雨が強まれば強まるほど条件が良くなる。厳しいローテーションで反動だけが不安材料。見た目、細身で極端に細くか、太く映らないことがひとの目安。 エーシンリターンズの前走は展開がはまったとはいえ、血統的な一発屋は常に警戒しなければならない。母エイシンサンサンは5番人気で小倉3歳S勝ち。約3年、勝ち星から遠ざかっていたが、いずれも9番人気で1500万を連勝した。極めつきは引退直前の3戦。朝日CCを8番人気で2着、府中牝馬Sを6番人気で3着、最後エリ女は8番人気の3着で0秒1差。あと一歩で大金星を逃している。仔も前2走で人気薄の連続3着。距離の裏付けある母系に父キングカメカメハ。馬場不問のレース巧者ならば、人気上位馬と何の遜色もない。 アプリコットフィズの前走はがっかりしたのが本音。よほど輸送に自信があるとみた桜花賞だったが結局、木曜計量428キロから増えることはなく、さらなる馬体減。ひと息入って以前よりも増して細く映る馬体では、極限のスピード勝負で見せ場が限界ということ。この中間、再び坂路入りが陣営の苦労が浮き彫り。またしても大幅な馬体増のなかった木曜430キロで内枠を引いて前走の悪夢がよみがえる。 サンテミリオンは桜花賞未経験がネックになってくる。ハイレベルな競馬が今までにないモロさの出る不安がある。前走も同日古馬500万と1秒7差。馬場回復中で実質1秒半程度の差でGTに勝てるほど、今年の世代はレベルが低くない。控える競馬で案外だった前々走が能力基準と読む。 穴馬は展開負けとなった桜花賞組から。掛かることなく、まったく動じなかった折り合いだったコスモネモシン、ギンザボナンザに色気が出てくる。コスモは超ハイペースで展開がはまった3走前は別として、本質がマイルよりじっくり折り合える流れがしっくりくる差し馬。ギンザは底力が期待できる血統に魅力がある。母母がオークス馬アドラーブル。母の兄弟にフサイチキャプテン、エモシオン。いつ大物が出ても不思議のない下地がある。距離大歓迎。 ショウリュウムーンの予想外の人気集中は雨予報のためか、鞍上か。どちらにしても右回りで口向きの悪さを露呈してきた悪癖持ちが、単純に左回りでスムーズになるとは思えない。距離はまったく問題ないが、消極的な追い切りでわずかのプラス体重に前走の反動を感じさせる。初の長距離輸送で大幅な馬体減を覚悟。気配を優先。 チャカつく気性に若干高めの走法。さらに短めな脚が決定的となって短距離のスピード型としてアグネスワルツは評価が落ち着く。母も千八以上で限界を示して千二〜千六4勝。 下り坂の天気予報でタガノエリザベートを追加したい。オークスと道悪、雨の関係は差し馬の台頭によって波乱が過去の傾向。第41回勝ち馬ケイキロク。第48回3着タレンティドガール。第49回勝ち馬コスモドリーム、2着マルシゲアトラス。第50回勝ち馬ライトカラー。第58回2着ナナヨーウイングはいずれも10番人気以下の差し馬。第61回は前々で決まったが、3着馬に16番人気。第65回は4人気のスイープトウショウ。雨か、稍重を含んだ道悪で人気薄の差し馬がかなりの確率で激走を繰り返している。振り返れば千六までの距離経験で挑んだ前々走は意外にもスムーズな折り合いだったこと。カキ込み鋭いフットワークは間違いなく道悪を苦にしないこと。阪神より直線長い東京コースが理想的な条件ということも夢馬券を期待できる要因。前々走で牡馬相手にメンバーNO3の上がり時計が、決して早熟でもなければ短距離馬でもない証。兄ナリタキングパワーは長距離に良績集中。母の兄弟馬にゼンノロブロイ。 トランセンドはレコード駆け直後にひと息入ってリズムを崩したと納得したい。パワー馬場より時計が出やすいい馬場で本領発揮の期待馬は、恵みの雨でますます自信が高まる。シルクメビウスが格上的な存在ならば、休み明けの前走でもっと抵抗していいだろう。GT2度2着の重賞ホルダーでもそれほど怖さがない。フサイチセブンは完敗したトランに対して1キロ増の斤量で割り引いた。意外性のダイショウジェット、アルトップラン。正念場を迎えたマコトスパルビエロ。勢いに乗るナニハトモアレなど好調馬が揃ったが、狙ってみたいのが牝馬ラヴェリータ。前走はうまく捌けば勝っていた どんな馬でもローテーションが詰まった海外帰りの調整は難しいもの。ウオッカ同様に単純な能力比較が通用しない立ち場になったブエナビスタが意外にも一極集中の人気でますます買いづらくなった。前走は直線半ばで一瞬前が詰まらなければ勝っていた可能性もあった接戦が人気に拍車をかけたか。 レッドディザイアの前走は完全に引っ掛かって自滅。今までにない悪癖は乗り替わりが裏目に出たと納得するしかないか。あまりにも前2走の結果が極端でどうしてもブエナより印象悪くなるが、クラシック当時よりもかなり力は接近していることは間違いない。それでもブエナより上回る決定的な条件が揃わない。まずは木曜馬体重が過去4度の日本GTで最低体重だったこと。この中間の手ぬるい追い切りで480キロが前2走の反動そのものと割り切れば、置かれる脚質に持ち時計の裏付けのない千六で狙い目がない。さらに外枠を引いたことが致命的となる。とにかく鞍上は東京コースの良績は内枠に集中。外を回す乗り方は、おせじでも上手いといえない。桜花賞以来となる33秒台の末脚が不発に終わればワイドも厳しくなる。 この2頭に割って入るなら、ロスなく乗って同じように33秒台の切れ味勝負のタイプだろう。強力な逃げ馬不在でもスローにならない東京千六のGT。上がり勝負と割り切って絞りたい。先週のような破滅的なハイラップはなく、2年前の60秒0は特例。ごく普通に昨年の58秒6、3年前の58秒2が標準となる。 エーシシンフォワードはますます悪化するスタートで信頼を失いかけている。前走は2着馬も大外枠ならいいわけできない枠順不利。スタートでミスしてあれだけ外を回って勝てるほど能力は抜けてないということ。千四〜千六ベストで条件は揃ったが、再び外を回ると鋭さ負けが浮かぶ。 サンカルロは嫌な予感が当たった。初の千二で置かれて勝負どころではほぼ絶望的な位置取り。最速上がりで0秒1差まで迫ったが、着差以上の壁を感じさせることは近走と変わりなかった。鞍上は重賞で人気馬に乗るとイップス現象を連発。 内枠を引いてタケミカヅチに怖さが出たが、スタート大ミスの傾向が強まって極端な結果を覚悟。単騎逃げのダブルウェッジは長期休養明けをわずかひと叩きだけの一変が難しい。スズカコーズウェイのスランプは絶対的に自信のあった東京コースで惨敗した昨年の安田記念から始まった。ここが正念場。 アーバニティの鞍上は先週のへぐりこそがGTで勝てない理由のひとつ。結局、平常心を保てるのはプレッシャーを感じないGUまで。衰えのイメージを払しょくした理想的なステップで躍進可能。キルシュブリューテは33秒台の瞬発力が大きな武器になる。東京(1122)は馬券を外した2戦が10着(1秒差)、6着(0秒3差)。気楽に乗れる立場で直線内々にこだわって大駆け。 サンライズプリンスはやはり本物だった。デビュー戦、いきなり前日の古馬500万に0秒2差劣っただけの時計でクラシックを意識させていた素質馬。上がり時計がゴールまで加速する13秒3−12秒4−11秒4。いくらスローとはいえ、常識的に考えられない約1秒ずつの加速度を馬なりでマークがレースレベルの高さ、自身の完成度の高さを示している。前々走は微妙な時計短縮となったが、軽くしごいただけの仕掛けで最後流して翌日の古馬1000万に2着に相当する数字なら、スプリングSは最低でもワイド以内を確保を確信していた。 1度の大敗でこれだけ人気が落ちればエイシンアポロンは妙味十分だ。前走まで(2302)。馬券を外した2戦がいずれも千八の5着なら、すべて重賞の千六以下(1200)に注目だろう。体型的にはっきり千六ベストのスピード型として評価が固まったマイラー。パワーが求められた前走の馬場状態で終始外々を回るスタミナロスが加われば、二千の壁は厚かったと納得できる。3走前、前々走はほぼ勝ちパターンに持ち込んで鋭さ負け。相手がローズキングダム、ヴィクトワールピサなどを考慮すれば、3着馬の着差が能力差ということ。前々走3馬身差、前走0秒3差が短距離適性の高さ。少なくても3戦3勝のダイワには負けないか。前走も気配そのものは良く、調子落ちは追い切りからも感じられない。 そのダイワバーバリアンはラチ沿いの折り合いで良績が集中しているだけに絶好枠を引いて色気が出てきた。とにかく絶対的な安定感が身上。デビュー以来、負けても0秒5差。デイリー杯4着時は上位3頭がリディル、エイシンアポロン、ダノンパッション。朝日杯3着時は上位2頭がローズキングタム、エイシンアポロン。気持ち距離長いきさらぎ賞はレーヴドリアンに0秒4差。距離長かった弥生賞は結果早仕掛けが裏目に出たが、勝負どころでマクった手ごたえの良さは勝てると錯覚したほど。時計も上がり時計も勝ち馬に0秒5差なら十分すぎる内容だった。極めつきは前走か。2着も危うかったが、並ばれてもうひと伸びが底力。大跳びの大型馬はパンパンの良馬場、緩いコーナー回りの東京コースが完璧な好走条件。 ダノンシャンティは結果的に横綱相撲となった前走でも課題は山積み。ラチ沿いで折り合えた3走前を除いてすべて行きたがっている。どうやら外に馬がいないと掛かる悪癖。4角まで完全に引っ掛かる若さを露呈した前走から、距離短縮で単純に折り合い良化の計算ができなくなっている。何の強調点のない持ち時計にも悩む。渋り気味の良馬場だったとしても1分49秒3は、翌日の良馬場3歳500万より1秒1も遅い数字。持ったままの圧勝は当然と言えば当然か。3走前の同日1600万9着に相当する時計は目立つが、年が明けて3歳時に驚くような持ち時計がなく、極限の時計勝負が予測されるGTでは何とも心細い。鞍上の性格上、間違いなく4角は大外ブン回し。絶対的に前々、ラチ沿い有利の状態で直一気の差し切りはますます浮かばない。 リルダヴァルは休み明けとまったく別馬のようになってしまった。以前はとにかく切れ味身上の瞬発力型だったが、前2走は牙を抜かれたようなジリっぽさ。デビュー2戦はメンバーNO2の上がり時計と比較すると0秒3、0秒4差という圧倒的な最速上がり。休み明け2戦は一変して前々走がメンバー中4番目、前走は8番目という平凡な上がり時計で致命的な骨折だったと割り切るべきだろう。豪快な追い切りからも、SS系というより母父サンデーガルチのイメージが強まっている。前々走が鋭さ勝負で完敗、前走は理想的な流れで不発に終われば完調までにまだまだ時間がかかるということ。目イチの仕上げだった前走から上積みは期待薄。 ハナだけにこだわった前走は基準外のコスモセンサーだが、失うものは何もない外枠のエーシンダックマンが厄介な存在。中途半端な番手競馬が通用するかどうかが焦点となる。前走で最後の追い比べに競り負けたレトは馬体の成長待ちが今後の課題。数字以上にコンパクトな馬体はさすがに時計勝負の限界が近そう。ニシノメイゲツは不振というより入着ラインが現状の能力基準か。前走の気配がかなり良くみえたキョウエイアシュラを穴馬に一考。 もう1度ゲシュタルトを狙う。皐月賞はまさかのハイペース。逃げ馬不在のメンバーにもかかわらず、渋った馬場で前半60秒1なら追い込み競馬になるのも当然だった。その流れでも勝ち馬と0秒5差。唯一前々の競馬で踏ん張れば、少なくても少差となったアリゼオ、リルダヴァルと同等の評価をしていいだろう。3走前は直線半ばにブレーキをかけながら最速上がりでオウケンサクラに0秒2差。前々走はローズキングダム、サンライズプリンスを押さえて2着の実績を素直に強調する。 レーヴドリアンはおそらく秘めた能力を発揮すれば群を抜いている。鞍上が必要以上の待機策に固めたためにクラシック制覇どころか、重賞制覇も遠のいた。スタート直後からペース無視の後方待機。決まって4角大外ブン回しの荒っぽい乗り方では近走の結果も当たり前ということ。仕掛けを早めれば差し切れた前々走、外々を回りすぎて掲示板もなくなった前走など、すでに鞍上とのコンビで完全なる頭打ちになっている。いくら乗っても積極的に動くか、ロスなく内をついて立ち回るかがまったく頭にない鞍上とコンビが続く限り、秘めた能力が埋もれたままクラシック時期を通過か。あくまでワイド圏。単というイメージはない。 マコトヴォイジャーの前走はスタート直後から長い間、引っ掛かったことがラストに響いた結果。鞍上2度目で真価を問いたい。ネオポラリスの前走はほぼ直線だけの上がり競馬。キャリア3戦目でスタミナ、スピードを求められる重賞となるとトーンダウン。休み明けのコスモファントム、モズは今までの相手比較から仕上がりひとつの力関係。アドマイヤテンクウはもうひと追いほしい。前走はモタれて追いづらさを露呈したブレイクアセオリーは時計不足もネック。 新潟(3101)。絶対的な自信のあるコースでデストラメンテの変身がある。どんなレースでも3角すぎから手ごたえが怪しくなって終わってみれば最後までしぶとい悪癖持ち。慣れない鞍上、コースではどうしても惨敗覚悟だが、相性のいい条件に変われば十分に見直せる実績を残している。新潟コースでオウケンブルースリの2着。古馬初の重賞挑戦となった七夕賞は0秒2差、新潟記念は0秒4差、朝日CCは0秒7差、オールカマーは2着ドリームジャーニーに0秒8差、福島記念0秒3差。慣れないコースだった中日新聞杯は惨敗したが、3走前で再び0秒7差なら展開ひとつは間違いない。これまで古馬重賞で7戦中6戦で1秒差以内。得意のコースで大駆けがあっても驚かない。 サニーサンデーにとって瞬発力勝負は合わない。前走は内々に閉じ込められて持ち味を殺されて展開が向かなかったことがすべて。外々の折り合いになれば恵まれたハンデで4走前の再現。直線長いコースでセイクリッドバレーの末脚。初重賞挑戦だった前々走で天皇賞2着馬と接戦のトリビュートソングは鞍上配置からも不気味な存在になった。復活なったニホンピロレガーロ、チョウカイファイト。コース替わりでスランプから抜け出すきっかけをつかみたいマイネルスターリー、レッドアゲートを穴馬に一考。 土曜日の馬場状態から若干イメージの修正が必要になった。とにかく軽い馬場。3歳500万で千二1分7秒9は先週の古馬オープンに匹敵する破格の時計。4歳1000万で千八1分45秒2。前が止まらず、距離不安ある中距離型でもこなせる条件だろう。本命馬だったトーセンには嫌な傾向。極度の時計決着が未知数なマイネルにとってもプラスにならない。 マイネルキッツはつかみどころのないGT馬。昨年の天皇賞は展開に恵まれたイメージがいまだに強い。1周目、後方待機だったが、最後の勝負どころではいつの間にか逃げ馬の直後の絶好位。2、3着馬が外々を回ったことを考慮すれば、絶対的に有利の内々を通ったことが最大の勝因だろう。前走で再び激走。確かに時計的に評価のできる内容だが、馬群の中の折り合いで良績集中なら外枠を引いて今までと違う乗り方を求められるのが必然。どこで内々の折り合いに切り替えられるか。鞍上の腕試し。 狙うのはトーセンクラウン。前走ではっきりしたステイヤー適性の高さ。状態の良さだけではない前走の好走だった。スムーズな追走でがっちり折り合えるセンスの良さ。勝ち馬がロスなく馬群を割ってきた内容と比べても、終始外々を回って互角の追い比べが十分すぎるスタミナを示している。道悪とはいえ、前々走でぶっち切ったテイエムアンコールがドリームジャーニー相手に大阪杯を着差以上の楽勝。母の異父兄フサイチドラゴン(JRA5勝、父オペラハウス)が典型的なステイヤーなら突然変異があっても驚きはない。 フォゲッタブルはローテーションの悪さだけで割り引いた。ここ30年で3月1日以前からのステップは馬券に絡んだのがわずか4頭だけ。そのすべての馬がレベルの高いGU経由。さらに酷量を背負って結果を残していたGTレベルの馬ならますますトーンは上がらなくなる。とりわけ強調できるような瞬発力に凄さもなく、苦しがってではなくても前走の逆手前の走りに底力が感じられない。前走の1周目が掛かり気味。 トウカイトリックはピークに近い状態を保っている。三千を超える距離でまったく折り合いを欠くことのないスペシャリストのステイヤー。前々走はゴール直前のブレーキがあった不利で0秒4差。前走は3角すぎから行きっぷりが怪しくなっていたが、それでも底力勝負となって突き抜けたレースぶりには頭が下がる。距離歓迎で斤量は経験済み。状態の良さが加われば、時計決着でも大幅な減点はない。 エアシェイディの前走はソラを使ったか、スタミナ切れか微妙だが、いずれにしても4角手前からマクり気味に動いて完全なる勝ちパターンに持ち込んだ。それでも最後の最後で失速が取捨を悩ませる。未知なる距離と苦手な遠征競馬。すでに大台の9歳馬に奇跡を期待するのは酷か。 ジャガーメイルは日本の高速馬場に慣れない鞍上配置で評価を下げた。これだけ例年、レベルの高いジョッキーが集まりながら、過去10年で5着以内の外国人ジョッキー馬は3頭だけ。鞍上の比重が大きくなる長距離戦で、トリッキーな京都コースなら納得の傾向だろう。前走の相手を単純に物差しは危険。 ジャミールは簡単にイメージできるレースぶりで主役としては物足りない。鞍上からも枠順からも直線内をつく姿はまったく浮かばない。内よりも伸びないとわかっていながら、4角大外からと割り切れば怖さはない。 頭の高い走法で完全に掛かった前走が距離適性の低さ。ゴール直前の不利はあまり関係ない着差以上に能力差を感じさせていたナムラクレセントにまったく気がなかったが、菊花賞3着時と同じような時計が出やすいパンパンの良馬場で不気味な存在になった。中距離型でも克服できるスタミナロスの少ない馬場が味方する。 ペルーサの前走は見た目以上に時計が速かった。デビュー2戦とはケタ違いの勝ち時計で、負かした相手が皐月賞2着。雨が降って微妙に馬場が違う翌日の1600万二千と単純に比較できないが、2分割れの決着の中でゴールまで加速するハイレベルなラップは紛れもなく世代トップレベル。それでも追い出してから逆手前、どこが減ったかわからない14キロ減などが発展途上そのものの証だろう。前走以上に強くなることはあっても、若さを露呈してポカがあっても不思議のない二面性の持ち主であるイメージは強まっている。強敵がわずか1頭だった前走時より数段レベルアップ。デビュー戦はムチ3、4発使ったが、直線半ばからほぼ流して楽勝。前々走は肩ムチ程度。前走はまったく使わない完勝にも不安がよぎる。いぜんとして極限の追い比べの経験がない若駒。厩舎特有の質より量を重視する追い切りならどこまで強くなるというより、どこで壁に当たるかに興味が出てくる。スロー必至の瞬発力勝負。二千四で34秒前後の瞬発力が求められる条件では人気ほど絶対的な信頼を置けない。 同じように完成形はもう少し先のトゥザグローリーだが、1戦ごとの上昇度を加味すればペルーサ以上に期待が高まる。とにかく着差以上にインパクトあるレース内容の連続。デビュー戦はどうみても仕上がり今ひとつ。案の定行きっぷりが悪いまま直線勝負になったが、エンジンかかるとさすが良血馬の切れ味だった。フラつきながら33秒8の瞬発力。前走の圧勝もごく当然の結果だった。馬体、反応良化でレースぶりは実にスムーズ。着差こそ少差でも、スローでも掛からないレースセンスで余裕十分の差し切り勝ちが二千以上の距離適性の高さを示している。この中間のハードトレでさらなる成長の計算。 2頭に割って入るなら実績確かなレッドスパークル。前走は馬場の悪いラチ沿いを回ってきただけの試走に近い最悪な内容なら度外視できる。ローズキングダムと互角の瞬発力だった東京を舞台で復活に賭ける。超スローで上がりラップが12秒前後のハートビートソングは鋭さ不足が否めない。無理したローテーションで反動が出たロードオブザリング、エクセルサスには試練が待っている。いかにも長距離の瞬発力勝負向きのトウカイメロディを穴馬に一考。超スローから抜群の瞬発力で楽勝した前走が着差以上の強さ。
|
|
|