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ソルジャーズソングにとって数々の条件が揃った。実績を並べてもヒケを取らない。以前1000万では当時連勝中だったマルカフェニックスと千二で0秒2差。1600万ではファリダットに0秒3差。別のレースでウエスタンダンサーに0秒2差。最後に卒業を決めたレースではアーバニティ相手に楽勝した。7歳にして18戦のキャリアならまったくダメージのない若さ。今まで1秒以上負けたのが、初ダートと初重賞だった2戦だけの安定感からも混戦GTで色気は出る。差し追い込み馬の好走が目立つレースで、いよいよ花開く時がきた。ある程度の馬場差はあるとしても、現実にスリープレスを上回る中京千二の持ち時計で自信度が増す。失うものはなにもない気楽な立場で挑めるもいい。 父はタイキシャトル、母はアイビスSD3着のタイキメビウスという生粋のスプリンターとして生まれたドラゴンファングが、勝ちを意識できるメンバーで力が入る。休み休みでなかなか軌道に乗れなかった期待馬は、馬券圏内から外れたデビュー2戦目でも0秒5差。その後はほぼ完璧なレース内容で、わずかキャリア9戦目にして古馬の重賞挑戦までたどり着いた。先行差し自在に立ち回って高いレベルで時計は安定。小回り平坦の千二で大きく崩れる姿は浮かばない。一撃必殺でチャンスをつかむ。 スリープレスナイトはひと叩きしたステップなら不動の中心馬になっていたが、さすがにぶっつけGTでは割り引きが必要になる。時計、着差以上の強さで成長してきた上がり馬は、前走の坂コースも難なくクリア。終わってみれば完璧な好位差しから横綱相撲で文句なしの短距離王として頂点に立った。それでもここでは多くの課題を抱える。置かれてモマれたくないが、前々で消耗するのも避けたい好枠。調教後の馬体重がマイナス2`でかなりの馬体減を覚悟。以前3連勝で止まったレースが3ヶ月のひと息後。展開、状態、ローテーションにマイナス材料では怖さがなくなる。 久しぶりに重賞で掲示板を確保したトウショウカレッジは侮れない。中京(3006)で負けたレースは初挑戦の1秒1差を除けば安定感十分。0秒4、0秒3、0秒6、0秒2差。昨年のCBC賞も0秒5差で、ますます小回りベターの追い込み馬としてイメージが強まっている。鞍上に内田博騎手、追い切り快調で大仕事の予感。 アーバニティの前走は展開がはまったことが大きな勝因だろう。内々の折り合い重視で挑んで、いくらか前が壁になったが、直線内々が伸びる馬場状態に助けられて瞬発力勝負を制した。中1週、連闘明けの厳しいステップでGT初挑戦。反動さえなければ展開ひとつ。 アーバンストリートは絶対的な自信のある中京コースで勢いを信頼できる。中京(3022)は掲示板を外した2戦でも着差は0秒6、0秒2。3着2戦が0秒2、0秒1差。常に完全燃焼の瞬発力を加味すれば、ここでも遜色ない。 逃げ先行馬の苦戦が続く例年の傾向からビービーガルダンに魅力は感じない。最後の踏ん張りが重要なサバイバル戦になりやすい高松宮記念でローレルゲレイロの単調さは致命的。ひと息後だけが前走の敗因と思えないウエスタンダンサーも狙いづらくなった。GT2着2度のキンシャサノキセキは風格を失った前走で評価を下げた。条件戦から徹底して4角大外ブン回しに固執してきたファリダットは、高いレベルを求められる重賞路線になってこれまでのツケが回ってきた。人気先行が続いて重賞未勝利がすべてを物語る。 GTでも馬体の良さが目立ったキクノサリーレを狙う。4連勝で止まった前々走は距離がすべて。究極のレコード決着となった前走は重賞2戦目というキャリアの浅さがモロに出たが、4走前の中山千八1分51秒8、3走前の見事な差し切り勝ちが一流馬としての完成形。今年のダート路線の新たな戦力として評価をしたい。 エスポワールシチーはある程度速い流れでも踏ん張れる逃げ馬。前走のヴァーミリアンに先着でもう一段階のレベルアップが見込める。少なくても前々走で3馬身先着したマコトには負けない。 手応え以上の瞬発力で混戦を制したエスケーカントリーは常に展開に左右。マコトスパルビエロはジリな先行馬として評価が固まった。アロンダイトは良化途上で時間がほしい。ナナヨーヒマワリはスランプというより衰えか。サトノコクオーの前走は先頭に立つまでが速かったが、そこから伸びない完全な力負け。びっしり追い比べになるとモロさが出るのは厩舎所属馬の特有で、人気になればなるほど妙味はなくなる。 長期休養明けから立ち直るのに時間がかかったネヴァブションだが、久しぶりの勝利だった前走で以前の輝きは戻るだろう。2年前の日経賞ではマツリダゴッホに貫禄勝ち。極度のスランプと骨折のプランクを乗り越えた期待馬は、走る中山で重賞連勝にリーチがかかった。 逆にアルナスラインは中山で微妙になる。スランプから立ち直れない近況で、菊花賞2着は遠い昔話になってきた。乗り替わりの連続でひとまずきっかけ作り。 コスモバルクもギリギリ狙える力関係だ。前走はカワカミプリンセス、メイショウサムソンに0秒3差。マツリダゴッホは鞍上の大ミスが響いた内容としても先着したことが古豪健在の証。 相手強化のモンテクリスエスは経験の段階。追い比べで逆転が計算できないほどパワー負けが続いているマイネルキッツはあくまでワイド馬。キングストレイルはあと一歩というより、着差以上に連対までが遠く感じる。年齢的にも昇り目はない。阪神大賞典3着ナムラクレセントを二千四百で差し切ったアーネストリーが妙味十分。 アイアンルックの前走は仕掛けの遅れと直線で前が壁になって脚を余した0秒2差だが、レベルそのものが疑問の重賞で割り引いた。距離不安のダブルウェッジも強気になれない。外から被されることを嫌うミッキーパンプキンは逃げるか、追い込むかに好走パターンが絞られた。 アーリントンC上位馬が頼りない存在ならば別路線組の台頭。跳ぶようなフットワークでスピード身上のアプレザンレーヴより、パワー満点の最速上がりで2連勝を決めたオオトリオウジャが魅力。直線で窮屈な競馬になった前走のアイアムビカイチはスムーズな折り合いで反発。デビュー戦でナカヤマフェスタに0秒1差は注目できる。マクる形になってストロングリターンの末脚。ワイドサファイアは相性の悪い元の鞍上に戻れば魅力なし。 スマートファルコンは千四から二千百までこなして、逃げ差し自在に捌ける万能型として完成した。半年でタイトル4つがそのままの能力。GT級不在のメンバーではとれだけち切るかが焦点になる。充実目覚しいワンダースピードは新境地の先行策で完全燃焼。メイショウトウコンは仕掛けのタイミングがカギ。56`でも走らなかったサカートはさすがに衰えた。チャンストウライも以前ほとせのパワーが感じられない。 アンライバルトの強さは勝った2戦だけで判断する。前々走はあくまで鞍上との呼吸の悪さでとりこぼし。前半に何度も頭が上がるような折り合い難が出た下手な乗り方。さらにスローの流れでじっくり直線まで仕掛けを我慢したことも首をかしげたくなる。ラスト3ハロンのレースラップはすべて11秒台の上がり競馬。数字からもじっくり乗りすぎた鞍上のミスがはっきりと裏付けられる。デビュー戦できさらぎ賞勝ちのリーチザクラウン、桜花賞リーチになっているブエナビスタ。前々走で若葉S勝ちのベストメンバー、すみれS勝ちのトップクリフォードに先着がクラシック候補の証。次を見据えた乗り方でも勝てる相手だ。 ラチ沿いの伸びが目立つ馬場状態。クラシックの出走権がかかったレースでは前残りがますます強まる傾向。このような条件では消極策で自滅する鞍上特有の負けレースが頭をよぎるフィフスペトルは、人気ほど信頼度は高くない。コンパクトにまとまった馬体から距離にも限界が近い。好枠を引いて控えるとワイド圏が危なくなる。 セイクリットバレーはチャカつく気性でも、実戦でぴたりと折り合えるレースセンスの良さ。終始外々を回って直線で一瞬にして先頭に立った瞬発力は、馬体から受けるイメージ以上に迫力があった。逆手前で直一気はいかにも中山向き。 リクエストソングの前走はまったく勝ちを意識してない乗り方で2着。離れた最後方から挑んだレースはいかにも連対狙い。リーチザクラウンを負かしにいってつぶれた4着ベストメンバー、5着キタサンガイセンよりも評価は低くていい。 メイショウドンタクはアンライバルトより1`増の前走で0秒6差なら悪くない。前残りの傾向が強まるクラシック出走権のかかっているレースで器用さを生かせるかどうか。 穴候補にマイネルエルフ。千八はクリア済みで、逃げにこだわらない気楽に乗れる先行型。大暴走する逃げ馬を追いかけて休み明けをいきなり2着となった前走は、想像以上の能力を秘めていることを物語っている。ローテーション的にも前走の経験は大きな財産。 前々走が追えないほどササって、前走もラチに頼った差し切り勝ちではサンカルロに妙味なし。カキ込む走法はいかにもダートの差し馬サイオン。ある程度の時計を求められると好走するイメージがまったく浮かばない。キタサンガイセンの前走は致命的になるほどの不利ではなかった。子供っぽさが残る馬体や時計勝負にメドが立たない現状では、初の長距離輸送でますます窮地。イグゼキュティヴは転厩の連続で状態微妙。前々走は最悪の行きっぷりで展開の利。前走が見せ場もない惨敗では強気になれない。 アサクサキングスは京都だけが走るわけではなく、長距離輸送に弱点がある可能性が強まった。掲示板を外したのが6戦で、直線で不利があった阪神1戦を除けばすべてが関東圏。阪神(0113)はラジオNIKKEI5着、神戸新聞杯2着、大阪杯3着、宝塚記念5着などダイワスカーレット、エイシンデピュティ、メイショウサムソンと接戦が含まれれば減点はない。並ばれてもうひと伸びした前走が本来の姿で完全復調も間近。 オウケンブルースリはこれだけ菊花賞上位馬が拍子抜けに終われば、相手に恵まれた重賞制覇は否めない。続くジャパンCも波乱となった一戦で、素直にディープスカイ、ウオッカに接戦が評価できなくなっている。ここが評価を見極めるレース。 スクリーンヒーローは59`を背負って勝てるほど能力が高いかどうかは疑問が残る。GTとは思えぬ超スローを絶好の位置取りで制したジャパンCは大幅な割り引きが必要なレース。勝ちにいって失速した前走のイメージからも、いぜん人気先行が否めない。 スタミナ勝負となってナムラクレセント、ニホンピロレガーロの大駆け。ヒカルカザブエの前走は鞍上が重賞の重圧に負けただけ。乗り替わりで狙い目十分。 2連勝で重賞制覇したディアジーナだが、レースぶりそのものは迫力ない勝ちっぷり。前が止まらない展開の利で、能力が上回ったというより鞍上の好騎乗に助けられたことが否めない。時計勝負に一抹の不安は変わりなく、良績のない距離とともにここで真価が問われる一戦になった。あくまでもチャレンジャー。人気を被ると妙味が薄れる。 3歳牝馬はトップの2、3頭を除けば横一線。未勝利勝ち上がりのダイアナバローズでも十分に太刀打ちできる。前走は時計以上に価値ある1勝だった。内外からびっしり競られて直線の追い比べ。並ばれてからもうひと伸びした勝負根性と豊富なスタミナを武器に、芝千八で能力全開になるだろう。絶好枠を引いたツキも味方する。 マジックシアターは馬体の良さで注目した。初ダートとなった前走は単なるダート適性の低さ。向正から手応えが怪しくなり、流れ込んだだけの低調な内容は度外視できる。ダノンベルベールに0秒2差の芝で見直したい。 前走でエンジンのかかりが遅かったロイヤルネックレスはひとまずクラスの壁。ひと息入れてリフレッシュ効果を期待。ダイワバーガンディは坂でモタついた前走でこれからある程度の経験が必要か。非力なパドブレ、芝未知数なショウサンウルル、他力本願型のクリアソウルは混戦でワイドライン。馬体の細さがネックのアイアムマリリンは見送った。 中距離でJRA4勝の母とは異質なエイシンクエストだが、ズバ抜けたスプリント適性の高さ。前走は同日1600万と0秒5差で重賞勝ちが確約されている。同世代との完成度の違いは明らか。断然人気の馬で重賞に挑むルーキーの手腕に注目したい。 逃げ馬が揃って57`を背負うゲットフルマークは厳しい条件。ジョーメテオの前走は考えられないほどの大暴走で一過性のポカ。ある意味千二の対策としては悪くないステップとなって狙いごろか。中京千二を経験済みでメイショウアツヒメ。芝は血統的に不安のないレッドヴァンクール。消極策の連続で重賞でとりこぼしの多い鞍上でもこの距離ならスパラート。距離適性の高さでツルマルジャパン、カツヨトワイニング、オメガユリシス。リズムが狂い始めたデグラーティアは気配優先。 ネフェルメモリーのクラシック制覇は前走で確約されている。同日C2を2秒以上も上回り、オープン特別で8着に相当する時計は2歳牝馬にとってケタ外れ。B3級の数字でも破格だが、A級並みとなると想像以上の大物ということ。ぶっつけの初コースでも何の心配もいらない。 モエレエターナルは見るからに細すぎる馬体で、いつ反動が出てもおかしくない状態が続いている。止まらない馬体減で時計勝負は割り引きが必要。スタートの大ミスがなければツインダイヤは持ち前の破格力でひとマクり。逆にハニービーは器用さだけが頼りの非力な牝馬というイメージが強まった。レベルの高いレースでモマれてきたジーエスタイムリーは、豊富な経験を生かすだけ。南関東の牝馬限定戦になればメジャーサイレンスも侮れなくなる。精神面の成長がうかがえるエロージュ、脚質に幅が出てきたメイプルウィリングは混戦浮上。 フェラーリピサの距離適性は前走ではっきりした。勝ち負けが意識できた4角の手応えだったが、終わってみれば着差以上に距離の壁を感じさせた。千七の重賞勝ちはあるものの、究極のレベルでは前走の結果が限界だが、GTの入着も計算できない相手になれば正攻法からぶっち切りも可能になる。 ヴァンクルタテヤマは直線の長い大井コースが合わなかったか。絶対的な自信のある千四の小回りで見直したい。トーセンブライトは休み明けの前走で1秒4差なら悪くない。前々勝負でキングスゾーンの残り目。牡馬相手になるとパワー負けが続くメイショウバトラー、年齢的な衰えがみえるリミットレスビッドより、古豪健在でアルドラゴンの大駆け。 ミクロコスモスの前走は直線入り口でもっと積極的に攻めれば前が壁になる不利は受けなかった。一瞬の選択ミスが致命傷。脚をためるために追い出しを我慢したことで、前が狭くなり行き場を失う誤算。ゴール直前にもう1度前が壁になるような乗り方は、武豊騎手になかなかみられない下手っぷりだった。向正で折り合い難を制御できず、審議の対象になったこともあってまさに散々な内容。それでも脚を余した0秒2差はまともに走れば楽勝の計算もできる着差で、不動の主役として再び登場する。はっきり器の違う期待馬。すでに頭打ちの相手にとりこぼす姿は浮かばない。ここで2着以下なら馬との相性がまったく合わないということ。負けは許されない。 ラヴェリータはデビュー当初より行きっぷりが一変して大変身をとげた。前々走がレコード勝ち、前走も直線半ばで堂々の先頭は正攻法だから価値がある。未完成だった4走前は芝でディアジーナに0秒6差。逃げにこだわらない自在性を武器に本格化を思わせるレースぶりなら、いきなり重賞にぶつけても何ら見劣るところはない。 チャームポットの前走は上位2頭がクラシックを意識できる期待馬。一瞬でも勝ちがみえた内容に能力の高さがうかがえる。ショウナンカッサイは典型的な差し競馬で渋太い粘りだった前走を評価。末脚に磨きがかかってきたアイレンベルク、アンジュアイル。千四にメドを立てたコウエイハートらは走るごとに成長を示す充実期に入っている。ワンカラットはリフレッシュ効果次第。前2走ともに展開に恵まれたスイリンカはひとまず胸を借りる。アイアムカミノマゴの前2走はいずれもいい脚が一瞬だけ。ダート馬のイメージがますます強まった。 実績馬の信頼は今ひとつ。距離がギリギリなキストゥヘヴン。早熟血統のトールポピーが初の古馬相手。絶好の勝ちパターンで前走粘れなかったザレマ。年齢的な衰えが頭をよぎるヤマニンメルベイユ。非力なレッドアゲートも力が要求されるパワー馬場で試練が待っている。4角大外ブン回しという工夫のない乗り方は納得でリビアーモ狙いも悪くない。前走で勝ち馬より1秒3も上回った上がり時計が、今の充実ぶりを物語っている。牝馬重賞に十分通用する破壊力と手ごろなハンデが魅力。前々で気楽に乗れるブラボーデイジーの残り目を一考。 パドックだけではなく、レース中もホライゾネット着用で一変したヴィクトリーの前走復活は本物だろう。4着カワカミプリンセスを0秒1差に押さえて、5着馬とは実に0秒7差。スタート難でドン底の不振に陥っていたGT馬の好走は復活へのプロローグとなる。デビューから皐月賞まで4戦3勝は実力どおりのGTホルダーで、本来のレース勘を取り戻せば自在性と勝負強さから、この程度の相手には圧勝も浮かんでくる。完全復活か、再びトンネルに逆戻りかは、とにかくスタート次第。 ヤマニンキングリーは自ら動くような流れになると前走が限界か。通算5勝の中で同タイムが3度、0秒1差、0秒2差が1度ずつの辛勝の連続。人気を被れば被るほど頼りない人気馬。馬券的にはあくまで連軸向き。 バトルバニヤンの前走は直線で狭いところ、狭いとろこを選ぶようなコース選択。最後は全力で追うことなく流れ込んだ内容は、ほぼ勝ち馬と同等の評価ができる。乗り替わりで躍進。 スウィフトカレントの前走もお粗末な乗り方となった。終始掛かって完全にリズムを崩した折り合い難。休み明けの8歳馬が直線半ばで力尽きるのも当然だった。掛かるぐらいに気力充実が確かならば、久しぶりの56`と走る中京で狙い目十分。 馬体は悪くないホッコーソレソレーが古豪の意地。道悪巧者でフサイチアソート、メイショウクオリア。中京巧者でセラフィックロンプ、マンハッタンスカイ。最近は行く気をみせないノットアローンが積極策で怖さが出た。前走でササリ癖が出たトウショウウェイヴ、明らかに距離が長いレッツゴーキリシマ、どんな相手でも流れでも後方待機の乗り方に固執する鞍上でベンチャーナインは狙いづらい。 フリオーソはやはりハナを切ったレースがしっくりくる。修正に予想以上の時間がかかったが、カネヒキリと一騎打ちで存在感を再びアピールすれば、どう勝つかに焦点が絞られる。サクセスブロッケンに0秒6差をつけて圧倒。ブルーコンコルド、ボンネビルレコードには影を踏ませぬ先着が以前の輝きに戻ったことの証。間違いなくハナが切れるメンバー構成で死角はまったくない。 マイネルアワグラスは一見ムラに思えるが、約2年前のジャパンダートD直後から前々走まで負けても1秒差という安定感だった。前走は典型的な前残り競馬で消極的な乗り方。鞍上との呼吸の悪さが敗因と納得で、一過性のポカにすぎない。大井二千で2分4秒6が地方ダートの高い適性そのもの。 サカラートの前走は掛かり気味の折り合いで仕掛けの遅れが重なるミス。結局行ったままのワンツースリーなら、2`減になって少なくてもロールとの逆転は可能になる。そのロールオブザダイスは重賞2度目の前走で、後半に加速していくサバイバルを凌いだのは価値がある。東京二千百で圧倒しているスタミナ兼備のレース巧者。初コースも気にならない。 年齢的なズブさが強まってルースリンドは乗り方が難しくなっている。ナイキアースワークは大幅なダイエットが前提。本来なら主役級の評価ができるコウエイノホシだが、再びJRA入りして休み明けのステップの悪さが減点対象。 ロジユニヴァースは速さよりもパワーで圧倒してきた。デビュー戦で期待馬のブロスアンドコンズに余裕勝ち。前々走は2着イグゼキュティヴの京都2歳勝ちでレベルの高さが決定づけられた。前走のリーチザクラウンに圧勝は相手が下手に乗っただけ。着差ほど額面どおりに受け取れないが、それでもエンジンがかかると一気に弾けた瞬発力は今まで以上の迫力があった。ペースが速いレースで先週の未勝利とわずか1秒8。今後は究極の時計勝負に課題が絞られている。パンパンの良馬場が見込めない状態も味方して、ひとまず勝ちっぷりに注目したい。 セイウンワンダーは今後、距離との相談になる。千六までなら世代トップレベルの存在でも、さすがに一気の距離延長と休み明けが重なれば割り引きが必要だろう。体型、気性はやはり千六ベターのイメージ。相手は二千をすでに経験済みで同じような脚質では逆転がさらに厳しくなる。距離適性を測るターニングポイントのレース。 アーリーロブストの前走はギリギリ粘った程度の勢い。おせじにも完勝とは言えぬ内容なら、本番への出走権を得るにはやはりハナを切って挑むだろう。前々走で完封したヤマニンウイスカーは、次走きさらぎ賞2着馬のリクエストソングと同タイム。レベルも伴った3連勝は幼さが見え隠れする見た目以上に逞しい。馬場が渋っても問題ないピッチ走法。 ケイアイライジンの前走はまさに鞍上の気迫で勝ち取った。ハイペースになってかなり離れた後方の位置取り。終始仕掛けどおしの手応えの悪さでほぼギブアップと思えたが、打てば響く瞬発力と持ち前の勝負根性で坂を昇ってから鬼脚を披露している。トモにもうひと回りの成長がほしい馬体だが、完成されている差し脚なら悲観することもないか。外を回った際に伸びを失う馬場状態だけが難点。 ハイローラーの前走は3角で鞍上が立ち上がるほどの不利を受けてレースが終わった。捌きの硬い走りはパンパンの良馬場より道悪で確実にレースがしやすくなる。雨を待つ。モエレエキスパートの前走は不可解な惨敗。4角でマクり気味に動いただけで終了。鞍上の早めあきらめがあったとしても、ロジユニヴァースに0秒4差の実績がかすんでくる。長距離輸送が響いただけか、水の合わないトレードか。いずれにしても見限るのは早計。 デビュー2戦目以来の重賞挑戦となったアーバンストリートが横綱相撲で、シルクロードSは明らかにレースレベルが低い。GTで2着2度のキンシャサノキセキは休み明けでも崩れない。 前走はかなり飛ばしてハナにたったサープラスシンガーだが、強力な同型不在になって展開の利。ソルジャーソングに完璧な騎乗で鋭さ負けとなったモルトグランデは、もう少し重賞経験がほしい。典型的な追い込み競馬で不発に終わったコスモベルより、4角不利があってブレーキをかけたプレミアムボックスが面白い。別路線組のアーバニティ、コレデイイノダも展開ひとつ。 ブエナビスタにとって2戦2勝のブロードストリートにも怖さはない。阪神FSで過去1分33秒台で決着したウオッカ、トールポピーと数字比較では見劣るが、4角大外ブン回しから直一気の瞬発力は歴史に残る横綱相撲。少なくても千六で重賞経験のない馬に負ける姿はまったく浮かばない。 前々走を出遅れがひとつの敗因とすれば、ジェルミナルは接戦に持ち込める要素はある。着差以上の完勝だった前走でどれだけレベルアップしたか。早めに動きたい。ブロードストリートの前走は内々でじっくり折り合い重視。前が開くと一瞬にして突き抜けた瞬発力は見どころあったが、同日1000万を軽く下回る時計で楽勝なら相手に恵まれたことが否めない。 牝馬限定戦としてはレベルの高い前2走を経験したカウアイレーンは仕上がり注目。手の合う鞍上から乗り替わったマイティースルーに魅力なし。穴候補としてルージュバンブーを一考。渋った馬場で時計の裏付けはないが、いぜん余裕を残す迫力十分の馬体で前走完勝。流れに左右されないレースセンスの良さと反応抜群の瞬発力は、時計以上に凄さを感じさせる。 カンパニーにとって中山千八はベスト条件。中山記念は4年連続の参戦で2、4、1着。3年前にはエアシェイディに先着、2年前はダイワメジャーに0秒3差、昨年もエアシェイディに完封など、とにかく自在に立ち回ってレベルの高いレースで結果を残してきた。GU3勝、GV1勝。衰えなしと割り切れば、ここでは貫禄が違う。 跳びがきれいなキャプテンベガの前走快走は驚いた。重賞でモマれて確かな地力強化が出たターニングポイントになるレースか。いずれにしても以前のモロさ同居の良血馬というイメージは解消しつつある。 アドマイヤフジは好調期が短いタイプ。一旦波に乗れば勢いは信頼していい一瞬の輝きならば、イメージ以上の瞬発力で横綱相撲だった前走は強調できる。 エアシェイディは結局相手なりに走るだけ。崩れないが、勝ち切れないワイド馬。トウショウシロッコの前走は太めで鋭さ半減。480`前半が理想。他力本願型としてもドリームジャーニーの前走はスランプ入りを予感させる惨敗。ここは正念場。 今までもこれからもファリダットは、4角大外ブン回しで勝負するしかない追い込み馬として完成された。器用に立ち回って成長させようとしなかったツケがオープン入りして回ってきた。これだけ雑に乗れば重賞制覇まで近そうで遠いのも当然だが、秘めた能力はGV程度なら届くイメージ。待ちに待った逃げ馬揃いのメンバーで一戦入魂。 ドラゴンファングはいくら上がり馬でも1000万、1600万をわずか1戦ずつの経験では強気になれない。外枠を引いたマイネルレーニアは宿敵ローレルゲレイロの存在もあって条件悪化。そのローレルはハナが絶望的になって単から遠ざかったが、57`で阪神千四なら展開ひとつ。トウショウカレッジの前走は鞍上の気迫勝ちで本質決定打に乏しい。ビービーガルダンは千二限定のスタミナで見送った。気楽に乗れるヤマニンエマイユが穴候補。
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