|
|
何度走っても結果が違ってくるような最近のGVメンバーだったが、ようやく主役らしい主役が出走する。エアシェイディはGTでも上位常連の実力馬。GVに限れば3、3、2、2、2、4、2着。ワイドを外した1戦がわずか0秒1の着差なら、年齢的な衰えをある程度計算してもレベルそのものが違うだろう。58キロではウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイに接戦だった天皇賞。後に天皇賞馬となったマイネルキッツに先着したAJCCから、はっきり恵まれたハンデ。年齢ほど痛みのないキャリアの少なさも強調できる。 時計勝負になってデストラメンテの出番か。新潟コース(3100)は中身からも明確な適性を示している。未勝利勝ちは4馬身差の圧勝で二千2分0秒8。二千二百の500万ではラスト3ハロンがすべて11秒台のラップを差し切った2分11秒9。約1年前の同じ条件より1秒7も短縮した成長力が凄さを物語っている。このコースの唯一黒星が本格化した菊花賞前のオウケンブルースリ相手でますます自信度が高まる。 ごまかしは利かない直線の長さ。大混戦になった小倉記念組より、底力を求められた七夕賞組が優勢か。斤量が増えるアルコセニョーラ、ホッコーパドゥシャが微妙になればイケトップガン、トウショウシロッコ。脚質的にイメージどおりの条件好転でダイシンプラン、相手が強くても弱くても崩れないサンライズベガは時計がかかった際。 人気となるグランプリエンゼルの前走は同日1000万とわずか0秒5だけ上回った時計。メンバー中6番目の上がり時計からも展開に恵まれた一戦だったことも否めない。まだ古馬相手に2戦目のキャリアの浅さ。惨敗があっても驚かない。ビービーガルダンの前々走が鞍上との相性の悪さなら、主戦に戻って得意の千二で軌道修正は簡単。置かれる傾向が強まっているジョリーダンスは実績重視で底力の期待。リズムを崩したローテーションだった昨年とは雲泥の差のウエスタンビーナス。好調が続くアポロドルチェ、プレミアムボックス、トレノジュビリーは展開ひとつ。穴は小回りにコース替わりでゲットフルマークス。 当然のようにブエナビスタが人気を被ったが、常に4角最後方の癖馬が直線一気で差し切るイメージはまったく浮かばない。デビュー戦以外はすべて牝馬限定戦のキャリア。久しぶりの小回りコースで初の古馬相手。二千の経験がなく、休み明けのローテーションなど、これだけマイナス材料が揃えば不安の方が大きくなる。決定的なのは格好だけつけば合格点になる凱旋門賞へのステップレースということ。魅力的な良血で華麗な戦績だが、あくまで発展途上の3歳牝馬であることを忘れてはいけない。 マツリダゴッホは単なる休み明けのレースではない。不可解な前走の惨敗で一気に格下げしたグランプリホースは、ここで凡走ならもう光がみえてこないだろう。それだけ深刻に受け止めていい前2走の無様な内容だった。内々の折り合いに苦手意識が出てきたのか、前走を展開がすべてと割り切って改めて実績を重視したい。早めの仕掛けで活路を見出す。GT1勝、GU4勝は貫禄が違う。 平坦小回り巧者のヤマニンキングリーは仕上がり優先。今年のダービーは歴史に残る低レベルで結果は度外視。乗り替わったシェーンヴァルトに新境地の期待。 シルクメビウスは数字以上にコンパクトな馬体だが、能力そのものは歴代のダート巧者と比較してもヒケをとらないことを前走で確信した。まずは勝ち時計のレベルの高さ。過去10年でベスト3の数字で、3着馬に4馬身差が1、2着馬の凄さを物語っている。ほぼ同じような馬場差で昨年2着馬スマートファルコンの2分5秒1を上回ったことも頼もしい。見た目以上にパワフルな走法と反応抜群な瞬発力。内々でじっくり折り合えた勝ち馬がまったくロスなく乗ったことを考慮すれば、ますます自信度が高まる。底力が問われる大井の外二千で結果を残せば、良馬場のJRA馬場で結果は直結する。 グロリアスノアの前走は掛かって自滅。キャリアの浅さがモロに出た結果なら、さらなる飛躍が期待できる。レコード駆けしたトランセンドは底知れぬ能力。軽い馬場になってワンダーアキュート。前走は完全に掛かってまったく流れに乗れなかったスーニは、ますますマイラー色が強くなって評価を下げた。初ダートのディアジーナ、距離不安のモンテアルベルト、いい脚がほんの一瞬のスタッドジェルランよりダートでネフェルメモリー、芝でロジユニヴァースの3着だったモエレエキスパートの底力が魅力。 スペルバインドを狙う。期待されていた素質馬がいよいよ軌道に乗った。4走前が力でネジ伏せる迫力十分の差し切り勝ち。3走前は直線まで内々でじっくり我慢してラチ沿いから最速上がりの切れ味。着差以上の楽勝が本格化の証なっている。前々走でも2着馬とは0秒2差、休み明けの前走が2着馬と同タイム。前走の馬体増がほぼ成長分で理想的な体型となれば、内々に固執する鞍上から乗り替わって新境地を開ける。 ムードインディゴは重賞路線でモマれてきた経験を買う。良馬場で本領発揮の中距離型はローズS、秋華賞をいずれも2着。古馬相手のエリザベス女王杯でも3着ベッラレイアに0秒5差ならば、能力そのものはローカルGVでは一枚も二枚も能力は上ということ。休養前、細身の馬体で大幅な馬体増が理想。 対照的にザレマは実績がアテにできない。とにかくポカの連続で勝てる相手にとりこぼしている。ごく普通に折り合ってミスのない騎乗でもワイドを外す不安定さ。あくまでも展開次第。気性の激しいタイプが不発の連続に終われば、レジネッタのスランプは深刻。年齢的な衰えで一戦必殺となったヤマニンメルベイユだが、暑い時期に調子を上げてきた夏馬が最悪なステップで見送りが正解。ようやくスランプから抜け出すきっかけをつかんだマイネカンナは、初の札幌コースにプラスなし。小回りコースに活路を求めたいレインダンス、札幌コースが得意なアメジストリングを穴に一考。 ある程度パワーが求められる道悪になってますますカノヤザクラの条件になった。振り返ってみれば前々走は明らかに叩き台。青写真どおりに力の違いをみせつければ、ここでの大崩れは考えにくい。7着のスプリンターズSが0秒4差、9着のスワンSが0秒7差。押せ押せのローテーションを割り引けば一線級相手に上々の結果だろう。強力な上がり馬不在の新鮮味のないメンバーなら連勝可能。 前が止まらない馬場状態でサンダルフォン、クールシャローン、ヘイローフジが脱落。マルカフェニックスは欲張ってダートを使ったことで完全にリズムが狂えば狙い目なし。積極的に動けるまで変身したレディルージュ、ラッキーバニヤン。ハナを切った際のマチカネハヤテに怖さ。これだけローテーションが詰まって初重賞挑戦になるメリッサは完全なる人気先行型で妙味なし。確実に地力強化がうかがえるメイショウトッパー、シャウトラインの方が魅力。 キャプテンベガの前走は鞍上との相性の悪さと割り切れる。終始後方で掛かり気味。重賞では掲示板の常連だった実力馬が、手頃なハンデのオープン特別で不発の9着はあくまで一過性のポカ。東京コースの毎日王冠、東京新聞杯、エプソムCはそれぞれ13、2、3着。着順こそ悪い毎日王冠だが、4、5着サクラメガワンダー、カンパニーとは0秒7差。2着ウオッカを上回る上がり時計で1分45秒8が能力の高さを物語っている。条件馬だった頃のムラっ気は解消。相性抜群のコンビ復活で色気が出る。直線の長い新潟コースはイメージぴたり。 ヒカルオオゾラはキャリアは少なく、年齢以上の成長力でオープン入りした。千六では1、1、2、1、1、6着。負けた2戦でも0秒1差、0秒4差で一流マイラーらしい戦績を誇っている。勝てる相手にとりこぼした前走は極限の時計勝負で仕方なし。直線の長さと得意の距離で改めて見直せる。ローテーション的に前走より走れる条件だ。 道悪がからっ下手なマルカシェンクは休み明けでも問題ない仕上がり早。久しぶりの乗り替わりで大きな刺激を期待したい。マイネルレーニアは人気を裏切り続けている新潟コースで大幅な割り引き。前走4角手前でレース終了となったライブコンサートの勢いは完全に止まった。能力は秘めていても古馬初対戦が1年以上のプランク明けとなるキャプテントゥーレに狙い目なし。いい脚が長続きしないスマイルジャックは直線の長いコースに不信感ならば、重賞2度の挑戦で0秒1差、0秒4差のイケトップラン狙いが面白い。左回りに絶対的な自信。 キョウエイアシュラの完成度は2歳離れしている。前走でも目立つ好馬体。好位で折り合える自在性が加われば、現時点で死角はないか。前走は内々で直線まで我慢して4角一気に外へ。そこから次元の違う瞬発力から豪快な逆転劇で差し切り勝ちは文句なしの内容。焦点は自身の体調だけに絞られた。この中間、生死をさまよう疝痛がどう影響するか。まともなら負けない相手。 パワーを感じさせるカネスフォルテは兄に南関東の重賞馬グローリーウイナー、徹底した芝路線でJRA1600万卒業にメドが立っているユキノハリケーン。抜群のテンのスピードから反応抜群の瞬発力を披露すれば芝でも楽しみな1頭。 モマれることのなかった大外枠としてもノーワンエルスは大人びたレースぶりに大物感十分。抜群の反応で最速上がりから0秒4差は時計以上のインパクトがあった。数字よりもすっきりした馬体で、気合さえ乗れば完璧な仕上げになる。 エステーラブは行きっぷりが悪かったわけでもなく、人気馬とは思えぬ必要以上に控える消極さ。4角でほぼギブアップの位置取りから、ゴール直前の鋭さは勝ち時計以上に凄みがあった。数字以上に大きく映る馬体も好感。乗り替わりで大幅な時計短縮の期待。 幼さが残って非力に映る見た目とは裏腹にステラリードは実戦で化けた。外から被されてもひるまない勝負根性。4角手前で外へ出してあっという間に突き抜けた内容は非凡さを感じさせる。最後は流して完勝。時計以上の強さ。 ロジディオンはパドックの気合不足がそのまま実戦に出た。スタート直後はまったく行き脚がつかないズブさ。3角手前からようやくエンジンがかかって上がり35秒8程度の瞬発力では、着差ほど強烈なインパクトはない。気配が一変しない限り、レベルが上がって置かれるだけ。 ソムニアは内々で折り合って難なく抜け出したレースぶりが圧巻。ゴールまで加速するレースラップを残り100メートルから流して楽勝は、数字どおりに中身が濃い。見た目以上に走る。 チェリーソウマは強調点に乏しいレースになる。思った以上に楽にハナを切れた前走でラスト失速。大跳びで距離延びて良さそうな単調な逃げ馬のイメージが強く、限界ギリギリだった12キロ減の馬体で好走が浮かばない。タイセイアトムの全弟で血統魅力だが、ひとまず評価を下げる。 捌きの堅いピッチ走法のドナルドバローズは芝で試練。ショウナンカガリビはコーナー回りが下手。現状はハナが絶対条件か。相手が控えたためにハナが切れた程度のテンの速さのバトルレッドは、失速気味の逃げ切り勝ちに評価は低い。 距離、馬場の悪さなど条件が合わないレースが続いていたトウカイルナだが、すべての条件で好転した。年齢的なズブさが出て千六より現状は中距離ベスト。今年初戦の4走前は勝ち馬より斤量2キロ増で0秒6差。前々走で3着馬に0秒3差、前走の休み明けではいきなり33秒台の瞬発力を披露して古豪健在を示している。暑さに強い夏女が休み明けをひと叩きという理想的なステップ。一見ムラ馬のイメージは強くても、小倉ではこれまで3、1、1、1、4、4着の相性の良さで、体調さえ整えば十分に太刀打ちできる。 クラウンプリンセスは外から被されない展開だったとしても、前走は力勝負で差し切ったレースぶりはイメージ以上の強さだった。昨年暮れに1000万、1600万を連勝。その後、重賞でも1秒差以内で頑張っている。遅咲きの牝馬はもうひと回りの馬体が理想的。強さと淡白さが同居しているダイシンプランはどうも狙いづらい。通算5勝だが、今まで連勝のないムラ駆け。スローの流れでは再びポカが頭をよぎる。前走はマクり気味に動いて4角で先頭から約4馬身差。いずれにしてもこの程度の先行勢では早めに動くことが絶対条件。 コスモプラチナの前走は見栄えのしない馬体で気合の乗らない平凡な気配。さらに休み明けで馬体減ならば、展開に恵まれた勝利という判断が妥当か。無理をすることなく難なくハナへ。前半60秒2の平均ペースで離した単騎逃げになったことが最大の勝因だろう。あくまで展開の利での重賞制覇。並ばれて追い比べで競り勝つような渋といイメージはない。 テイエムアンコールは文句なしの内容でオープン入りしたが、不安材料も多く揃った。まずは重賞初挑戦。地味な戦績でようやく昇りつめた上がり馬としては派手さが足りない。キャリア27戦でジョッキーは12人目。鞍上との相性そのものもいぜん未知数。見事にはまった前走だけで過信はできない。 ホッコーパドゥシャの前走はエンジンのかかりが遅く、着差以上に苦しんだ。各馬が外々を回らされるパワー重視の馬場が合わなかったか、乗り替わりの刺激待ちがすべてのカギを握る。走る小倉で変身期待。
|
|
|