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パフィオペディラムはマリーンC4着後に挑んだ昨年と明らかに順調さが違っている。ステップの狂ったローテーションは6歳牝馬にとって手痛い条件。もとよりポカの多いタイプなら、主役としては物足りない。パノラマビューティは脚質的に小回りをどう捌くかに絞られた。JRA時代は千二に良績集中で距離に問題はない。デザートレジーナは5連勝で止まった前走で評価が落ちることはない。魅力の先行力と鞍上。 狙いはトキノミスオース。1年以上の長期休養明けを3角すぎに脱落した手応えで1秒差の前走は内容上々。まったく太めのなかった38`増は目立つハリとツヤ、筋肉質の馬体も維持していた。ハナか、番手が確約できる逃げ馬不在のメンバーでは展開の利。 ハシッテホシーノはタフなレースになった前走で牡馬顔負けの精神面の強化と勝負強さを披露した。同日古馬の重賞でも千六1分36秒9という極悪馬場では、数字よりも相手、内容重視で評価するのがベターだろう。ラスト4ハロンは連続で12秒台のレースラップ。競り負かした2着ピサノカルティエが、ダービー出走も視野に入った(2200)の期待馬。さらに絶好の手応えならが直線で何度も前が壁になって、結局大きく外へ出すようなお粗末な乗り方。並ばれてもうひと伸びした勝負根性はまさに牡馬勝りで、厳しい条件を勝ち切って着差以上の強さを感じさせた。ひと息入ってどこまで馬体を増やせるか。体調、鞍上以外で減点材料はない。長距離戦ではすでに牝馬の世代トップレベルの評価。道悪も鬼。 馬場のいいところを選べる先行力があるディアジーナだが、前走の追ってからエンジンのかかりの遅さはイメージが悪い。絶好の位置取りで終始手応え十分。逃げ切った馬と4角2馬身差で確実に射程圏に入れていた。それでも一気に突き放されてジリジリとしか伸びない末脚は、前々走と明らかに質が違っている。距離か、体調か、コースか。いずれにしてもスローより平均ペースから早めの仕掛けがしっくりくる。 ミクロコスモスは走るたびに評価を下げて最悪なクラシックシーズンとなりそうだ。鋭い脚があれば突き抜けることは可能だった前々走、前残りの流れを徹底して控えた前走は鞍上のポカ。どうやらいい脚が一瞬だけのタイプで、差し馬として完成させたい鞍上ともかみ合ってない。前走は強引なマクりから一瞬追い上げたが、直線半ばで脚色が他馬と同じになる平凡な内容。重賞で消極的になる鞍上とのコンビ、常に人気先行のタイプならば妙味はない。 ワイドサファイアは母が千二から二千、道悪もこなすオールラウンドホース。乗り役に恵まれない不運な馬だが、再び乗り替われば無視できなくなる。牡馬相手の前走はラスト3ハロンのレースラップがすべて11秒台。牡馬の短距離路線で期待十分の馬に0秒3差が、ひと回り成長した瞬発力の証。好機のマクりが理想。 リュシオルはスタートミスでリズム崩れたが、最後の最後になってひと伸びした前走は着順以上に収穫あった。道悪2戦で確かな適性。距離の限界は近いが、内々でじっくり我慢の乗り方なら色気が出てくる。 母同様、個性派の追い込み馬として完成されたラークキャロル。前走の直一気は強烈なインパクトがあった。大外から豪快な逆転劇はまさに東京コース向き。中距離路線に徹したローテーションを組んだ成果が、いよいよ重賞で開花する感触。展開負けを覚悟で自分の形にこだわるだけ。 ハリと丸みを失った馬体で戻ってきたアイアムネオは良化に時間がほしい。乗り替わりが思わぬ誤算となったピースオブラック。勝負どころで戦意喪失の前走が今後に尾を引きそう。繊細な3歳牝馬にとって最悪なステップ。マイティースルーは相性のいい鞍上に戻らぬ限り魅力なし。 ワンダースピードの前走は相手が悪かった。ダートの一流馬に成長したスマートファルコン。3着と5馬身差がGVの能力基準で、今年に入ってますます逞しさを増した7歳馬の連覇は濃厚。メイショウトウコンは小回り馬場に泣かされた前走で評価を落とせない。勝ち馬を凌いだ上がり時計が古豪健在の証。ひと叩きで前進のみ。 上がり馬か、実力馬か。どちらを選択するにしても見劣りが否めない。前走で一瞬差し切れるような瞬発力だったが、ゴール直前失速したサトノコクオーはもうワンパンチほしい。ウォータクティクスは完全に勢い止まっていた前走で強調材料がなくなった。衰えたイメージが強まったアロンダイト、マコトスパルビエロ。別定戦に不安を残すダイショウジェット、ボランタス。フォーティファイドは母が名牝ファストフレンドの血の力に期待か。脚質的にロールオブザダイスが展開ひとつ。 鞍上に甘さはあるが、セラフィックロンプは福島(0031)で掲示板を外してないコース適性の高さ。前走は軽量だったとはいえ、2着ヤマニンキングリーに0秒5差、3着レッツゴーキリシマに0秒4差は立派。別定戦になっても今の充実ぶりは侮れない。ブーケフレグランスの前走は大逃げの流れを意欲的に追いかけて差し切り勝ち。オープン入りを賭けた上がり馬を退けたレースは着差以上に価値がある。以前のモロさは解消。ブラボーデイジーはコースと距離に高い適性。相手なりに走るだけのイメージが定着したマイネカンナはあくまでワイドまで。距離がギリギリのオディールは平坦コースに活路。 ベッラレイアは勝って当然の実績馬だが、置かれるズブさは致命傷。逃げるか、追い込むかに好走パターンが限られたピンクカメオはサバイバルになって策がない。ヤマニンメルベイユは58`でギブアップ状態。スランプというより衰え先行のアルコセニョーラ、カレイジャスミンはゆっくり下り坂。 デビュー戦でクラシックを意識させて、デビュー2戦目は負けて強し。前々走で皐月賞の最有力候補となったアンライバルドは、前走の圧勝で確信に変わった。チャカつく気性と折り合い難で精神面はいぜん完成前。それでも強烈な瞬発力を武器に(3010)が絶対能力の高さで、最後おつりを残しての3勝は世代の頂点と断言できる。鞍上との呼吸の悪さでとりこぼした3走前は論外。前走は掛かり気味の折り合いだったが、次元の違う瞬発力で突き抜けるのが本来の姿ということ。ちょい勝ちで時計そのものに強調点はないものの、豪快な逆転劇がはっきり器の違うことを示している。 ロジユニヴァースにとってプラスにならない最内枠。内枠のサトノが強引に行けば行き場もあるが、外からアーリー、リーチが前々にこだわれば、ある程度前々勝負が義務付けられただろう。さらに土曜日の結果が前残り。先頭から2、3馬身以内の位置取りが絶対条件になる。 リーチザクラウンの大外枠は願ってもない好条件となった。暴走する逃げ馬は窮屈な競馬が強いられる内枠を引いたら見送りも考えていたが、モマれることのない流れが確約されれば、展開負けの不安は解消された。それでもマイラー色の強いスピード型にとって二千という距離の壁はいかにもハードルが高い。 人気馬3頭が前がかりになれば、レベルの高い時計決着。リーチが前走で1600万級ならば、アーリーロブストは2歳暮れの時点でマークしている絶対スピード。まともに乗れば3強と比較してもヒケをとらない。 重賞未出走ながら母キョウエイマーチという超良血トライアンフマーチに大駆けの期待が高まる。前走は直線入り口で前が壁になる窮屈な競馬なら、勝ち馬より価値のあるレース内容。一気の相手強化に動じなかった勝負強さで展望は開けた。天性のスピードは母譲り。距離にメドが立てば好枠を引いて前走の再現狙う。 セイウンワンダーはマイラー色の強い馬体で帰ってきた。確かに前走は太めだったが、たとえ絞れても二千を克服するまで変身は望めない。フィフスペトルは勝ち馬の直後で折り合った前走が着差以上の完敗。逆転が浮かばない瞬発力の差は、距離延びてさらに広がる。 カンパニーにとってスタートミスが怖いだけとなった。8歳で進化し続ける成長力はまさに天井知らず。ウオッカ、ダイワスカーレット、ディープスカイと接戦だった天皇賞、スーパーホーネットと互角の瞬発力だったマイルCSでいよいよ頂点に迫る勢い。自在性と勝負強さは他馬を楽に凌ぐ。 スマイルジャックは前走で改めて存在感を示した。今までの不振は距離がすべてと納得。いかにもマイル向きの好馬体でリフレッシュ効果を期待したい。スーパーホーネットはあくまで無理をすることのない前哨戦。鞍上の甘さからポカが多く、GT級が揃えば楽なレースにならない。上がり馬のヒカルオオゾラが人気先行ならば、前走道悪で人気を裏切ったタマモサポートが妙味十分。 鞍上選択が納得のサプライズゲスト。前走は同日C2を2秒5も上回った好時計勝ち。負かした相手が次走の大井でB3級の時計で勝ったホットロッドなら、ますます価値が高くなる。平和賞5着は距離経験の差。それでもニューイヤーC、京浜盃2着シャレーストーンに競り勝ったのが能力の高さということ。逃げにこだわりのない自在性で挑む。 ハナを切ればとにかくサザンクロスラリーは強い。本質スプリンターだが、2歳暮れの時点で同日B3を上回るスピードが一流馬の証。前々走は千六で前日B3を軽く凌ぐ時計ならば、前々有利の馬場を味方にして勝機も浮かんでくる。 グレードアップは強調点に乏しくなった。前々走は同日C1に劣る平凡な時計。前走も終わってみればC1を上回った時計で圧勝だったが、勝負どころの手応えの悪さは惨敗も覚悟したほど最悪だった。精神面の未熟さはいきなりの重賞挑戦でポカの可能性が高まる。 着差以上に余裕のあったブルーヒーローだが、過去サザンに完敗。前走も4角の手応えが悪く、3着馬と1秒3差とはいえ、同日C1と互角の時計ではもうワンパンチ足りない。 前走を本番前の試走ではなく、勝ちにこだわったブエナビスタは前々走ほど衝撃な内容になかった。鞍上も試走に徹して本番できっきり結果を残した2年前と真逆の内容。桜花賞制覇のダイワスカーレットはトライアルでウオッカに合わせたレース運びだった。相手の脚を測った緻密な作戦。結果的に負けたものの、本番では相手の鞍上が見事に勘違いをして過信した乗り方で早々と勝負を決める着差以上の快勝だった。それだけに大事な一戦だったが、直線で馬群の中に突っ込むような試し乗りもしないで、自身の勝ちパターンを貫いたことがどうにも気がかり。 サクラミモザは数字の価値は別にして評価したい。距離も芝も輸送も初経験の厳しい条件で、いきなり重賞相手に見せ場十分の2着。女王を一瞬でもヒヤリとさせた内容なら天井しらずの上積みを期待していい。母は芝2勝。自身も時計以上に初芝で中身の濃いレースを消化して一流馬の仲間入りを果たした。人気馬に差し追い込み馬が偏って、逃げ先行馬に暴走するようなタイプが不在。ブエナのポカが展開負けと割り切れば、すべてにおいて2戦目となる本番で色気が出る。 カツヨトワイニングは再び存在感を示した前走で瞬発力が生きる展開に強いことを改めてうかがえた。なにより2歳10月の時点で同日1600万に0秒7だけ下回った時計が出色。千六3戦が輸送やスローに泣かされたというはっきりした敗因を強調すれば、乱ペースになりやすい桜花賞はイメージどおりの好条件だろう。例年どおりハイペースとなって前が総崩れなら、磨きのかかった瞬発力から豪快な逆転劇がみられる。 ヴィーヴァヴォドカは裏付けのある高いレベルの時計を重視する。前走は同日1000万より0秒8も上回る好時計勝ち。突き放すまでが速かった瞬発力は逃げ馬としてはレベルの高いパフォーマンス。現実に重賞馬ディアジーナをあっさり退ければ、ここでも何ら見劣ることがない。頭の高い走法でモマれて手も足も出なくなるが、好枠を引いて気楽に乗れる立場なら迷いのないレースに徹するだけ。馬体回復が前提。キャリア3戦目のルージュバンブーが直線包まれる前走の流れは試走としては最高の経験。 勝負付けが終わっている残りのメンバーは逆転のイメージが浮かばない。翌日の未勝利よりわずか0秒4だけ上回ったクイーンC。競り負けたダノンベルベールの戦力はほぼ2歳時並みと成長力に乏しい。前走は直線で窮屈な競馬になったジェルミナルだが、バラけても反応の鈍い瞬発力。ゴール前で急失速した内容に強調点がない。初対戦となるレッドディザイアは深刻な時計不足。前走は未勝利より0秒5も下回る時計。ペースが遅く、ゴール直前の瞬発力も当然といえば当然。 盲点があれば、馬場差の計算が難しいフィリーズ組。単純に比較対象のレースが当日、前日とない。内々で掛かり気味でも抜け出すまでの瞬発力に素質開花を思わせたワンカラットが好枠を引いて前走の再現狙い。レディルージュは勝ち馬よりワンテンポ早く動いたことが結果的に響けば勝負のアヤと納得。 千六ベターなマイネルエルフが距離短縮でハードルが下がった。前走は皐月賞3強の一角アンライバルドと0秒5差、フィフスペトルと0秒3差。前々走が能力どおりの結果だったことを表している。重賞ロードにメドが立てば組みやすい相手になって重賞制覇は目前。 瞬発力にますます磨きがかかるオメガユリシスは本格化ムード。前々勝負で見直せるジョーメテオ。最後セーブする余裕があったアイアンデュークも侮れない。常に完全燃焼のスガノメダリスト、アドバンスヘイローが展開ひとつ。強烈なササリ癖が直らないサンカルロに勝つイメージは浮かばない。 古馬の重賞が初出走になるポルトフィーノが、久々で能力以上に人気を集めれば妙味がない。相手はGT馬も含めて重賞で上位常連の精鋭。アーリントンCであっさり負けた馬が、いきなり横綱相撲になるとは思えない。 短距離に路線を固めればオディールは躍進する。気性、血統からも楽しみになるスピード型は、ひと叩きのステップと千四以下(2110)の条件を強調。ピークを迎えたチェレブリタ、完全復調のレインダンスは勢い重視。ムラというよりジリ脚がネックで取りこぼしも多いザレマは時計がかかった際。前々走並みに走れば上位が狙えるジョリーダンスは変わり身がすべて。 ジャパンC、有馬記念上位馬の凡走がこれだけ続けば、ダービー馬ディープスカイでも過信できない。ジャパンC1着スクリーンヒーローが有馬記念、阪神大賞典で凡走。4着マツリダゴッホの有馬記念惨敗は回ってきただけで度外視できても、5着オウケンブルースリ、6着メイショウサムソンが次走で見せ場もなく終われば、古馬相手の重賞未勝利馬が59`を背負って勝ち切るイメージは浮かばない。本番に向けての一戦というより、今年を占う大事なレース。最低でも見せ場はほしい。 走るたびに良化を示しているヴィクトリーが、得意の阪神コースでさらなる前進が可能になった。重賞2着や若葉S勝ちを含めた阪神(1111)。極度のスランプだった4走前を除けば完璧に近いコース適性の高さを誇る。ホライゾネットによって再生したGT馬は、逃げにこだわれば常に勝ち負けが意識できるまで完調。58`の別定戦ならますます色気が出る。 マツリダゴッホの前走はなむしさを感じさせる大惨敗だった。スタート直後の不利などいいわけにならない鞍上のプレッシャー負け。以前も菊花賞出走がかかったセントライト記念で前の馬に接触して落馬するなど、鞍上の勝負弱さはこの馬とのコンビで改めて痛感させていた。遅すぎた乗り替わりだが、新境地が期待できるGTホース。ここでイメージ一新のスタートを切りたい。 馬体重の変動が大きく、不安定な成績が続くドリームジャーニーだが、はまった際の破壊力は楽にGTで通用するスケールがある。すでに狂ったリズムは修正済み。見た目以上に芯の強い瞬発力型は、時計の裏付けがある阪神二千で真価が問われる。少なくてもこれだけ順調なローテーションはデビュー以来初。昨年よりも確実に期待値アップ。 GT馬相手になるとアドマイヤフジ、サンライズマックスはパワー負けが否めない。カワカミプリンセスも今ひとつ吹っ切れない近走が牡馬との大きな壁そのもの。 道悪下手と思っていたキャプテンベガが前々走の激走は強烈なインパクトがあった。千六(2201)で連対を外した1戦も0秒3差。前走はあくまで距離の壁で不発に終わったと納得できるマイラーとして完成されてきた。手ごろなハンデで差しが利く馬場状態。人気的にも妙味十分。 スタミナ強化のレッツゴーキリシマが得意の千六に登場で注目は当然。条件さえ合えば軌道修正が可能なサイレントプライド。混戦に強いリザーブカード、ショウワモダンも展開ひとつで怖さがある。マイネル軍団に逃げ先行勢が偏ってマイネルスケルツィの残り目。タケミカヅチ、ショウナンアルバはもうワンパンチほしい。
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